セマウル乗りに韓国へ(1)
宇宙暦 81219.2〜81221.9  (地球暦 2004/3/21〜3/22)


 韓国にでも行ってみるかな。そう思ったのは去年の秋にANAのマイレージを貯めだした頃だった。そのうち会社で中国出張があるだろうからパスポートは取らされるし、1年もあれば韓国までの15000マイル位貯まるだろうとの皮算用だった。
 色々とネットで韓国旅行情報を見ているうち、格安航空券よりもソウル発の航空券が比較的安くて有利である様な話を見つけた。韓国発韓国行になるので、リピートする必要があるのだが、韓国国鉄を全線乗るには何度か足を運ぶ必要があるな、という事で検討してみる事にした。
 そのうち、九州新幹線「つばめ」の試乗会があるというので、それを絡めて九州→ビートルで釜山→セマウルでソウル→ソウル発券航空券というルートを考えた。ソウル→関西→羽田→鹿児島の往復チケットを購入する事にした。
 結局は試乗会に外れたり、祖父の葬儀があって日程が変更になってしまったのだが、3/20からの日程で行く事になったのである。


 ・大阪→門司 ムーンライト九州 14系シュプール車
 ・門司→小倉 813系
 ・小倉→博多 快速 813系
 ・博多駅前→中央埠頭 西鉄バス
 ・博多港→釜山港 JB103便 ジェビ2

(のんびり若狭路より続く)
 大阪でのオフ会が終わり、ムーンライト九州で博多へと向かう。例によって14系のシュプール車なので、ゆっくりリクライニングして寝る事が出来る。と思っていた。だが、車内の暖房が暑く、袖をまくってもまだまだ暑い。昨日のムーンライトながらの疲れもあるのに、なかなか眠れない。結局2時間強しか眠れなかった。ちなみに前の座席の網ポケットに入れておいたペットボトルのお茶は、暖房によってほとんどお湯に変わっていた。
 この日は時刻表に注記があって、博多に着くのが**分遅くなるとの事。暑いし遅いので、門司で乗り換える事にした。途中で朝食も食べてしまえば良いだろうと、小倉で途中下車する。その後の快速に乗り継いでもムーンライト九州よりも早く博多に着くのである。
 博多に着いたら、そのまま博多港へのバスターミナルへ。それほど待たずに中央埠頭行きのバスが到着した。海外旅行向けのキャリーを持っている乗客が4名おり、やはり港まで一緒……すなわち韓国まで一緒という事だ。
 ターミナルが狭いなりにもごった返していたのは、8:30発ビートル101便、9:15発コビー(未来高速社)、9:30発ビートル103便の3便の乗客がいるからだろう。自分の乗るビートル103便の搭乗手続きはまだ始まっていないので、その間にターミナル使用のチケット(\400)を買った上でターミナル内をうろちょろとして時間を潰す事にした。ついでに乗船名簿を今のうち書いておこう。101便やコビーの乗客を見ていると、ツアーで行く人が多いようだ。
 搭乗手続きが開始されると、窓口に行ってまずはチケットの引き替え。ネットで予約・支払していたので、その時のカードと乗船名簿とパスポートを提示してチケットを受け取る。片道\13000。座席指定も出来るので、2階の窓側をお願いする。結構空席があるようだ。
 搭乗手続きを済まして2階の出国ロビーへと移動する。出国審査は便毎であり、まだコビーの客の処理を行っているところだったので、椅子に座って待つ事にする。
 しばらくして出国手続き開始。ターミナル使用料のチケットを係員に見せて検印を受け、出国審査へ。空いているところに並んで順番を待つ。コビーに乗るので先に行かせてくれという慌てている親子連れがいたが、記載事項が不備との事で、門前払いされていた。普通は出国カードはいらないはずなので……やっぱり緑のパスポートだったり(ぉ)。その韓国人親子をしり目に、審査官にパスポートを提出して出国印を受ける。ここを進めば、もはや日本国外という事になる。そういえば飛行機のように安全検査はないのね。
 まだコビーが出航していないのと折り返しのビートル待ちの間、待合室で座っている。小さな免税店もあるのだが、ブランド品もタバコも興味はないのでスルー。今酒買っても重いだけだしね。

 いよいよビートル103便の乗船案内。桟橋へと向かうと停泊しているのは韓国側受け持ちの「ジェビ2」だ。性能には何ら変わりないのだが、JR九州持ちの船でない事にちょっとがっかり。2階に上って指定された座席に座る。進行方向左側数列以外は空席であり、結構乗船率は低いようだ。
 いよいよ出航。ジェットフォイルのエンジン音は普通の船とはさすがに違う。博多港を出てどんどん進むのだが、いつから船体を浮き上がらせる「翼走」になるのだろうか。その瞬間が楽しみである……と思ったら、いつの間にか翼走していた。全然分からなかった。
 出航してからしばらくして船内の免税店が営業する。ここでビールを買って飲む事にする。国内の税金がかからないので値段は\150。ウォンも使えて1500Wなのだが、両替レートを考えると若干ウォンの方がお得か。
 2階への階段を上るときに、クルーからのお薦めお土産という掲示が目に入った。ひまわりの種のチョコレート(500W)がお手軽でお薦めという事だ。ハムスター飼いにとってはつい反応してしまう単語に、お土産に買っていこうと決意する。なんでもコンビニで買えるそうだ。メモ代わりにデジカメで撮っておこう。
 しばらく進んでいくと船速が落ちて、とうとう止まってしまった。とたんに波に揺られてどんぶらこ。翼走状態がほとんど揺れていなかったのがよく分かる。水中翼に異物が引っかかったための停止ということで、しばらく除去作業を行った後に再び翼走となった。
 進行方向左手には対馬がしばらく見える。おかげで外洋に出たという感じがしないし、まだ日本の領海だ。対馬からの電波を拾うらしく、船内から家に携帯で電話してみたのだが、海外旅行に行くという雰囲気では無いかも。
 時間はあるうちに、入国カードと税関の申告カードを記入する。ガイドブックでは漢字で書いても良いらしいが、裏に英語で書けとも書いてあったので、英語で書いていく。署名だけは漢字だ。税関の方は申告する物はないので「申告品無」の所にチェックしていくが、ノートパソコンをどうしようかと考えてしまう。400US$以上の物品のだと申告が必要なのだが、中古で自分用途の物は申告は必要でない様な事をネットで見た事もある。結局、「申告しないで持ち込んだのがばれたら高額の罰金取るよ」という脅し文句に負けて、「有」にチェックしてみた。ま、申告が必要なかったらそう言われるだけだしね。
 途中、ムーンライトの疲れもあってうつらうつらしているうち、太極旗を掲げた貨物船数隻とすれ違う。船名がハングル文字で書かれているのを見て、韓国に来た事をわずかに実感。釜山港ももうすぐだ。

 遅れもなく釜山に入港し、下船となる。ディバックとノートパソコン用バックだけの、いつもの旅行スタイル。それなのに踏み出した所は外国という事に、イマイチ実感がわかない。なにせ港だけにコンテナが山積みになっているのだが、お馴染みのJR貨物コンテナを見ると本当に韓国に来てしまったのか怪しく感じてしまう。
 入国審査官にパスポートと入国カードを「アンニョンハセヨー」と言いながら提示する。審査官は黙々と処理してスタンプをポン。この間一言も無し。あのー、初めて勇気を出して話した韓国語なんですけど。一人で勝手に気まずくなって、小声で「カムサハムニダ」とつぶやきながらパスポートを受け取る。
 その後で荷物のX線検査。え、入国時にあるの、と思いながらも、荷物をベルトコンベアに乗せる。金属探知のゲートもあるので、慌てて小銭の入った財布と時計をX線の方に流そうと思ったら、身振りで「それはやらなくていい」と言われる。金属探知器も必ず引っかかるベルト金具が問題なかったので、設定が緩い様だ。
 それが済むと、いよいよ税関。ノートパソコンをなんて言おう、と構えていると、申告書を無造作に集める係員が一人。記載事項なんて見もしないでフリーパス。手渡して通り過ぎたけれども……これが韓国人気質の「ケンチャナヨ」って奴ですか。
 その後で銀行があるので、手持ちの円をウォンに替える。この時点で財布の中には1000円札が13枚。とても海外旅行に行く金額ではないような気もするが(汗)、そのうち10000円分を「イルマンエン」とか言って窓口に差し出す。係員は無言で10枚チェックし、ウォン札を渡してくれる。今日のレートだと10000円→106000ウォン(100ウォン=94.3円)。よくガイドブックや旅行記で「お札が10倍に増えるのでお金持ちになった気分」とか書いてあるが、元が1000円札10枚だけに、札の枚数はほとんど変わらなかったりもする。
 そして、いよいよターミナルの到着ロビーへ。そこにも銀行の窓口があったのだが、レートも同じだし、行列が凄いのでさっき両替しておいてよかった。ま、1万円位だとレートがどうのこうの言うほどの物ではないんだけどね。


 ・中央洞→釜山駅 釜山地下鉄1号線 1000系

 これから何をしよう。まずは観光案内所で日本語のパンフレットを数枚貰っていく。有料のインターネット端末があったので、いつも行くチャットに到着報告をしようと思ったのだが、10分100ウォンで硬貨しか使えない。手持ちは札しかないので、諦める事にしよう。
 まずは釜山駅に行って明日のセマウルの切符を購入しよう。ついでにホテルにチェックインしてしまって荷物を置いてくる事にしよう。釜山駅は最寄りの中央洞駅から地下鉄で1駅だ。まずは地下鉄に乗ろう。
 港からは皆送迎バスやタクシーで街中に行くみたいで、歩いてターミナルを後にするのは私と現地人一人だけ。すれ違う人も無く標識にハングルが溢れる道をとぼとぼと歩きながら、韓国に来たんだなという感傷に浸ってみる。
 ちょっと歩けば地下鉄の駅だ。地下道に入ってみるとそんなに深くない所に改札が。コンコースは薄暗く、日曜日の昼間というのに人気も少ない。まずは最初の買い物として、自動券売機で切符を買う事にした。料金は700ウォン。小銭がないのだが、1台だけ1000ウォン紙幣が使えるとおぼしき券売機があったので、試しにそれを使ってみる事にした。700のボタンを押してから、お金を入れる。ちゃんと切符と100ウォン玉3枚のお釣りが出てきた。切符は日本の切符より横が長いものだった。
 そのまま地下鉄に乗っても良いのだが、ジェビの船内で見たひま種チョコを買おうと、近くの「LG25」というコンビニに入ってみる。だが、置いていなかったのでがっかり。入ったついでに、お腹も空いたので軽くおにぎりでも買おうと思い、棚の前まで行った。が、
ハングル読めねぇ!(←文字大)
どれがどの具か分からない。キムチ系が多いのかなと思いながらも、適当に3種類手に取ってみる。何の具が入っているのかちょっとしたギャンブル、ロシアンルーレットならぬコリアンルーレットだ(笑)。ちなみに一つ700ウォン。日本に比べると安いね。「イゴジュセヨ」と言ってレジに差し出す。店員が何か言っているのだが、「2100ウォンです」なのだろうか「レジ袋いる?」なのか、全然聞き取れず。ま、コンビニは会話が無くても買い物が成立するから楽だ。ちなみにレジ袋は無いとガイドブックで読んでいたので、慣れた風を装っておにぎりを受け取って店の外に出た。

 ふたたび地下鉄の駅に入り、切符を自動改札に入れる。バーを押して入るタイプだ。ホームの両方に電車が入る「島式ホーム」で、日本と違うのは右側通行という事。行き先案内の掲示はハングル、漢字(中国語繁体字)、英語で書いてあるので、漢字を頼りにどちらの電車に乗れば良いか確認する。駅に番号が振ってあるので、それを頼ればいいので便利である。今度の4月から東京の営団地下鉄が東京メトロになるに伴い、通し番号を入れるので、便利になるのだろう。
 入ってきた電車はステンレスにオレンジの帯の車両。車両番号から1000系と言うのだろう。車内にはLED式の電光掲示板が次の駅名と開くドアを示してくれる。ハングルは読めないが、英語で表示してくれるのは大助かりだ。1駅だけだから間違えようも無いけどね。
 一駅だけのプサン地下鉄初体験を済ませると、まずはどこの出口に行けばいいのかということ。プサン駅前広場と書いてある出口が数カ所あるので、近いところからでてみる。すると、KTX開業を控えて新築の駅舎がそびえていた。駅前広場や駅構内はまだ建設中だったが、ちょっと圧倒されてしまった。日本の半端な新幹線の駅より立派じゃん。
 人の流れに合わせて、駅の中へと入っていく。ここでも案内は中国語と英語が併記されている。まずは明日のセマウルのチケットを買おうと思ったのだが、どの窓口で買えばいいのだろうか。鉄道会員用の窓口もあるので、それが書いていないところに並ぶ事にした。
 韓国国鉄のホームページから明日のセマウルのスケジュールをプリントアウトし、朝9時の列車に赤丸を付けて、ハングルで「3/22プサン→ソウル特室大人1枚」と書いて窓口に差し出す。「旅の会話集」から単語を拾って覚えた「セマウル ソウルカジ トクシル ハンジャン ジュセヨ」と言ってみる。さて、通じるか……緊張の一瞬が過ぎ、窓口のお姉さん曰く「明日ですね」……日本語流暢じゃいないですかぁ。
 その後は日本語で会話。特室(グリーン車)でソウルまで45000ウォン。クレジットカード(JCB)で支払いをする。カードリーダーが客側に向いているので、操作がやりにくそうだったのだがお姉さんが通してくれた。暗証番号は入れない、というかフリーワードとして「9999」を入れていた。思ったより簡単に、しかも日本語で買えたのだが、最後はしっかりと「カムサハムニダ」と言って窓口を後にした。
 定期券サイズで裏に磁気ストライプが一本入っているマルス券。ハングル表記の中、読めるのは英文字で書かれた「BUSAN」「SEOUL」「1st」と数字だけ。ま、これだけ読めれば十分だけどね。韓国の鉄道旅行を紹介しているサイトではドットプリンターのマルス券が掲載されていたが、KTX開業を控えて新型になったのだろう。
 ほっとしたところで、コンコースのベンチに座ってちょっと休憩。先程のおにぎりを食べてみる。まず一つめ。ビニールを外してノリと合体させるのは日本のコンビニの物と変わらない。ノリは表面に塩がふってある、いわゆる韓国海苔。かぶりつく前に2つに割ってみると、
真っ赤なご飯!!(←大文字)
げ、キムチライス!? と思ったが、どうやらケチャップライスで、焼き肉が中に入っていた。辛い物でなくて良かった。そして二つ目は……ツナ……にしては赤い。ツナマヨネーズの唐辛子和えの様な物だった。三つ目は小魚アーモンドのちょっと辛み系の様な具。食べてみると、3つとも美味しかったので、よかった♪

 一息ついたところで、駅の中にあるセブンイレブンを覗いてみる。今度はひま種チョコがあるかどうか……ありました。一つ500ウォンなので、4つ買い求める。ある意味趣味と実益を兼ねたお土産である。
 その後、インターネット予約しておいた駅前のホテルへと向かう。ハングルの看板なんて読めないのだが、サイトに写真があったのですぐに分かった。写真がない場合、予約するよりも実際に温泉マークの「旅館」に飛び込んだほうがわかりやすいのかも知れない。
 まずホテルのフロントでは開口一番「日本語できます?」。予約サイトには日本語可と書いてあったので確認の意味もあったのだが、日本語はダメで「English,OK?」との事。それならと片言の英語で予約している事を告げ、ネット予約のバウチャーを渡して宿帳に記入する。ダブルのシングルユースで予約は45000ウォン、部屋に書いてあった室料は42000ウォンなので、差額が予約手数料\300と思えば納得がいく物だった。
 部屋にはいると、まず靴を脱いでスリッパに……って事は洋室ではないという事。床がほんのり暖かい。
オンドゥルベヤダッタンディスカー!!
オンドル部屋にダブルベッドを入れていた部屋だった。荷物を下ろして整理して、ショルダーバック一つで出かけられる事にした。ショルダーバックはスリの恰好の餌食という話も読んだが、中身はノートパソコンを取り出してパンフレットと地図だけにしたので、万が一の時でもあきらめが付く。
 その後で部屋をチェック。冷蔵庫にはサービスのミネラルウオーターがあり、水回りは歯ブラシとシャンプーが無い。この辺は韓国のデフォルトらしいので、後でコンビニでシャンプーでも買っておくとしよう。そしてテレビのチェック。ケーブルテレビだか衛星放送だかでチャンネルは多く、日本のNHK-BSも映る。その中で言葉が分かるのはもちろんNHKだけだ。いわゆる有料放送は……喘ぎ声は日韓共通の様だった(何。


 ・釜山駅→南浦洞 釜山地下鉄1号線 1000系

 まずは繁華街へ。最寄り駅は地下鉄の南浦洞(ナンポドン)駅とチャガルチ駅だが、南浦洞から歩く事にしよう。再び地下鉄の駅に入り、700ウォンで切符を買う。釜山駅は行き先別の相対式ホームで、それぞれに改札がある。つまり、入口を間違えると反対方向に連れられてしまうのだ。南浦洞方面の終点は「新平」なので、それを確認して改札に入る。
 南浦洞駅は二つめ。さすがにここは人が多い。地上に出てまずは歩いてみる。お腹がちょっと満たされたものの、本格的に食事がしたい。韓国で焼肉というのも手だが、せっかくなのでその他の物を食べてみたい。候補としては、参鶏湯(サムゲタン)とあわび粥の店。とりあえず目に付いた方に行ってみる事にする。
 参鶏湯の店の方へちょっと歩いてみたが見つからなかった。見落としたのだろうか。歩いているうちに本屋があったので、ちょっと入ってみる事にした。当然ハングルなのだが、絵や写真で何の本であるか位は分かる。
 まず目に付いたのが日本の漫画本のハングル版。これは背表紙の絵で判別できたが、ドラゴンボールとか遊戯王とかハンター×ハンターとかコナンとか、日本でも有名どころだ。お土産に買っていくのも良いかと思ったが、とりあえず見合わせ。
 カー雑誌は当然あったが、鉄道雑誌というのは無いようだ。う〜ん、韓国では鉄道趣味はメジャーではないのか、軍事施設だから制限があるのか、その両方なのか。後はパソコン雑誌を見てみたり、ついでにパソコンソフトの単行本を見てみたり。アドビとかマイクロソフトとかはソフト名が英文字だから、何の本であるかよく分かる。中身は分からないけど。
 それはさておき、食べ物屋を探しながら、ついでにDVDショップを探してみる。お土産に買っていきたい物があるのだ。韓国産アニメ「テコンV」のDVDボックス。色々とツッコミどころ満載らしく、オフ会に持って行けば受けるだろうという目論見だ。パンフレットには国道レコードという店が載っているので、そこに行ってみる事にした。
 目指すはDVDのフロア。真っ先にアニメのコーナーに行ってみると、日本のアニメのDVDボックスが色々と。パッケージにハングルが皆無なのを見てみると輸入物なんだろう。そして、目指すテコンVは、しっかりと背表紙にハングルが。読めないよ(笑)。でも近くにいた子供は「あ、ロボットテコンブイだ〜」と、読めるんだよね。当たり前か。
 値札が付いていないのでいくらなのか分からないのだが、とりあえずレジに持って行って「オルマイヨ?」よ聞いてみる。「サムマン……」しか聞き取れなかったが、3万ウォン台らしいのは分かったので、カードと一緒に差し出す。何か聞いてきたが、分からないぞぶりを見せたのだが、「一回払い?」だったのだろうか。結局31800ウォンだった。うん、これで目的を一つ達成できた。

 いい加減お腹が空いたので昼食にする。あわび粥の店が近いので、ガイドマップ片手に路地を入っていく。「済州家」という店ですぐに見つかった。「アンニョンハセヨ〜」と言いながら入っていく。そしてアジュンマ(おばさん)にあわび粥を注文する。
 まずは粥の前に小皿が並べられる。小魚、韓国海苔、キムチ3種類(白菜、大根、胡瓜)と計5皿。程なくメインのあわび粥がやってくる。全体が黄色くなった粥の中にアワビの切り身が浮いている。うん、美味しそうだ。
 熱いからこうして小皿に取るように、と説明してくれ、さらに海苔をこう入れると美味しいよ、と説明してくれる。単体だと淡泊すぎるので、確かにそうした方が美味しさが拡がった。
 ふぅふぅ冷ましながら平らげると結構満腹になった。代金は1万ウォンと値が張るが、なかなか美味しかった。注文程度の日本語が出来るとガイドブックに書いてあるが、このアジュンマ、なかなか日本語が上手である。最後は日本語で「ごちそうさま、美味しかった」と店を出た。この言葉を韓国語で何と言うか分からなかったのもあるけどね。

 腹がふくれた後は、今回の目的の一つ、眼鏡を作りに行く。フレームのネジにガタが来て、作り直したいと思っていたのだ。国際市場という通りに眼鏡屋が何軒もあるらしく、割引券付きのガイドブックを頼りに歩いてみた。目指すお店は「元一眼鏡(ウォンイルアンギョン)」という名で、漢字の看板ですぐに見つける事が出来た。
 店員に日本語で声をかけると、日本語で対応してくれる。「日本語あまり得意じゃないですけど」と言っていたが、なかなかどうして、上手な日本語だった。それはさておき、今の眼鏡と同じ度数で作ってもらう事にする。今までのはガラスの圧縮レンズなのだが、プラスチックの圧縮レンズで対応できるとの事。それは高いのではないかと危惧していたが、フレーム込みで割引券使って19000円とのこと。それなら結構安い。それではと、作ってもらう事にした。
 ちょっとだけハプニングがあったのだが、古い眼鏡をチェックしているとき、店員さんが「このガラスレンズだと重いですねー」とか言いながら、レンズをコンコンと指で弾いていたのだが、フレームのネジが緩んでいるだけに、数度目でレンズがすぽーんと飛んでいってしまった。レンズの端が欠けてしまったので、こちらは新しいのを入れ直しますとの事。まぁ、古い奴は予備用にするつもりだったので、別にいいんだけどね。
 眼鏡が出来るまで市場を歩いてみる事にする。お店の看板は日本語が多いので、何の店だか良くわかる。微妙に間違っている日本語が面白かったり。この雑踏とパワーは今の日本には無い物だろう。「別世界にいる自分」を味わいながら、決して買い物はせずに(笑)雰囲気を楽しんでいた。

 1時間後に眼鏡を受け取った。代金はカードで支払ったのだが、190000ウォン。為替レートを考えると、日本円で19000円払うよりほんのわずか得している。まぁ、円は3000円しか持っていないのだが(汗)。
 その後は、再度街中を散策する。先程DVD店に行く途中の街中に登りエスカレーターがあり、結構人が行き来していたので、気になっていって見る事にした。
 どうやら、竜頭山公園へ向かうエスカレーターらしい。江ノ島エスカーみたいなものか。こちらは無料なので、上まで登ってみる事にした。上にはちょっとした広場に李舜臣将軍像と釜山タワーが建っている。銅像の人は秀吉の朝鮮出兵での朝鮮側英雄で、果敢に秀吉軍を押し返したという事らしく、日本人が記念写真撮るところでは無いなぁ、とばかりに素通り。ナントカと煙は高いところに、とばかりに釜山タワーの展望台に登ってみる事にした。
 タワーの脇に水族館が併設されているので、せっかくなので共通券を買ってみる事にする。が、水族館といっても小さな水槽がいくつか並んでいるだけだったので、そのしょぼさにちょっとがっかり。いや、このチープさが場末の観光地らしさなんだと自分を納得させて、タワー展望台へのエレベーターに乗った。展望台から港町と街並みをしばらく眺めていた。
 その後はぶらぶらと街歩き。釜山に来てまで、と思うが、ついついペットショップを探してしまい、しっかり見つけてしまった。ハムスターは一匹1500ウォンと、日本の1/10の値段。ただし飼育状況は劣悪で、ロボとジャンガリアンと仔ゴールデン(目が開いたばかり、離乳後)が一つの大ケージに入れられて売っていた。他にも路上で仔猫、子犬、ミニウサギ(3万ウォン位)を売ってたりするのだが、買っていく人もいたり。ペットショップ街があったが、こちらは犬専門店なのでちょっとがっかり。あ、もちろん愛玩用だ。


 ・チャガルチ→新平 釜山地下鉄1号線 1000系
 ・新平→南浦洞 釜山地下鉄1号線 1000系

 街歩きに疲れたところで宿に帰ろうと思ったが、そのまま帰るのは勿体ないし、時間が余っている。それではという事で、地下鉄にちょっと乗ってみる事にした。街歩きで最初に降りた南浦洞の次の駅、チャガルチまで来ていたので、そこから釜山駅と反対方向の終点まで往復乗ってみる事にした。帰りはまたチャガルチで降りて、なにか食堂にでも行こうかと思う。
 1号線は、終点の手前までずっと地下区間を走る。それ故、車窓が楽しめる訳でもなかったのが残念。終点の新平も、住宅地という感じで、なんら面白みもなかった。折り返しの電車は反対側のホームから出るのだが、改札が別々なので、一度改札を出て、切符を買い直す必要がある。
 とりあえず、もう一度チャガルチに戻るつもりので、700ウォンの切符を買う。電車は一度引き上げ線に入って、出発ホーム側に入ってくるので、また同じ編成に乗る事になる。帰りも景色が見えないので、大人しく乗っている事にした。
 ガイドマップを見ていたら、参鶏湯の店があるというので、チャガルチではなく南浦洞で降りる事にした。ここで問題が一つ。チャガルチまでは700ウォンなのだが、南浦洞までは800ウォンなのだ。精算するには、自動改札に切符を入れた後で不足分の硬貨を改札機に入れるようなのだが、あいにく紙幣だけで100ウォン玉を持っていない。駅員も改札口にはいないので、どうしたものか。どうしようもないので、切符を入れてみて反応を見てみよう。駅員が飛んできたら1000ウォン札を見せればなんとかなるだろう。ケンチャナヨだ。
 と思ったら、何ごともなく通過できた。10円ごときチェックしていないと言う事か? ま、ケンチャナヨなのだろう。疑問に思いながら地上に出て街を歩いているうちに、気が変わって、参鶏湯よりも屋台で何かを食べたくなってきた。そう考えはじめると、屋台が多く出ていそうな所へ向かってみる事にした。

 道の真ん中にどんと食べ物を出す露店が並ぶ通りがある。モッチャゴルモクというらしい。通行人は道の両側を小さくなって通る位だ。お腹も空いたのでここで夕飯にしよう。何か韓国語でアジュンマに客引きされたので、何があるかという感じで聞いてみたら、キンパッだという事らしい。確か海苔巻きだったな。それにしてみよう。一本指で一人分と表現して、椅子に座る。
 出てきたのはご飯を海苔で巻いただけの具無しの「チュンムキンパッ」とニラのキムチと鶏肉の唐辛子辛子漬け、カクテキだった。皿ではなく、ラップを引いて、その上にどかんと盛っていく。一人2500ウォン。付け合わせのおかずは当然辛いのだが、それがまたいける。
 食べながら、低い視線から行き交う人を眺めてみる。このモッチャゴルモクの雰囲気は日本には無い物だ。もちろんキンパッの付け合わせの味も日本には無い物。言葉もわからずふらりとここに来てこれを食べて、自分もこの風景にとけ込んでいるのかなぁなどと思ったり。

(つづく)


シャトル発着所に戻る

セマウル乗りに韓国へ(1)

セマウル乗りに韓国へ(1)
宇宙暦 81219.2〜81221.9  (地球暦 2004/3/21〜3/22)


 韓国にでも行ってみるかな。そう思ったのは去年の秋にANAのマイレージを貯めだした頃だった。そのうち会社で中国出張があるだろうからパスポートは取らされるし、1年もあれば韓国までの15000マイル位貯まるだろうとの皮算用だった。
 色々とネットで韓国旅行情報を見ているうち、格安航空券よりもソウル発の航空券が比較的安くて有利である様な話を見つけた。韓国発韓国行になるので、リピートする必要があるのだが、韓国国鉄を全線乗るには何度か足を運ぶ必要があるな、という事で検討してみる事にした。
 そのうち、九州新幹線「つばめ」の試乗会があるというので、それを絡めて九州→ビートルで釜山→セマウルでソウル→ソウル発券航空券というルートを考えた。ソウル→関西→羽田→鹿児島の往復チケットを購入する事にした。
 結局は試乗会に外れたり、祖父の葬儀があって日程が変更になってしまったのだが、3/20からの日程で行く事になったのである。


 ・大阪→門司 ムーンライト九州 14系シュプール車
 ・門司→小倉 813系
 ・小倉→博多 快速 813系
 ・博多駅前→中央埠頭 西鉄バス
 ・博多港→釜山港 JB103便 ジェビ2

(のんびり若狭路より続く)
 大阪でのオフ会が終わり、ムーンライト九州で博多へと向かう。例によって14系のシュプール車なので、ゆっくりリクライニングして寝る事が出来る。と思っていた。だが、車内の暖房が暑く、袖をまくってもまだまだ暑い。昨日のムーンライトながらの疲れもあるのに、なかなか眠れない。結局2時間強しか眠れなかった。ちなみに前の座席の網ポケットに入れておいたペットボトルのお茶は、暖房によってほとんどお湯に変わっていた。
 この日は時刻表に注記があって、博多に着くのが**分遅くなるとの事。暑いし遅いので、門司で乗り換える事にした。途中で朝食も食べてしまえば良いだろうと、小倉で途中下車する。その後の快速に乗り継いでもムーンライト九州よりも早く博多に着くのである。
 博多に着いたら、そのまま博多港へのバスターミナルへ。それほど待たずに中央埠頭行きのバスが到着した。海外旅行向けのキャリーを持っている乗客が4名おり、やはり港まで一緒……すなわち韓国まで一緒という事だ。
 ターミナルが狭いなりにもごった返していたのは、8:30発ビートル101便、9:15発コビー(未来高速社)、9:30発ビートル103便の3便の乗客がいるからだろう。自分の乗るビートル103便の搭乗手続きはまだ始まっていないので、その間にターミナル使用のチケット(\400)を買った上でターミナル内をうろちょろとして時間を潰す事にした。ついでに乗船名簿を今のうち書いておこう。101便やコビーの乗客を見ていると、ツアーで行く人が多いようだ。
 搭乗手続きが開始されると、窓口に行ってまずはチケットの引き替え。ネットで予約・支払していたので、その時のカードと乗船名簿とパスポートを提示してチケットを受け取る。片道\13000。座席指定も出来るので、2階の窓側をお願いする。結構空席があるようだ。
 搭乗手続きを済まして2階の出国ロビーへと移動する。出国審査は便毎であり、まだコビーの客の処理を行っているところだったので、椅子に座って待つ事にする。
 しばらくして出国手続き開始。ターミナル使用料のチケットを係員に見せて検印を受け、出国審査へ。空いているところに並んで順番を待つ。コビーに乗るので先に行かせてくれという慌てている親子連れがいたが、記載事項が不備との事で、門前払いされていた。普通は出国カードはいらないはずなので……やっぱり緑のパスポートだったり(ぉ)。その韓国人親子をしり目に、審査官にパスポートを提出して出国印を受ける。ここを進めば、もはや日本国外という事になる。そういえば飛行機のように安全検査はないのね。
 まだコビーが出航していないのと折り返しのビートル待ちの間、待合室で座っている。小さな免税店もあるのだが、ブランド品もタバコも興味はないのでスルー。今酒買っても重いだけだしね。

 いよいよビートル103便の乗船案内。桟橋へと向かうと停泊しているのは韓国側受け持ちの「ジェビ2」だ。性能には何ら変わりないのだが、JR九州持ちの船でない事にちょっとがっかり。2階に上って指定された座席に座る。進行方向左側数列以外は空席であり、結構乗船率は低いようだ。
 いよいよ出航。ジェットフォイルのエンジン音は普通の船とはさすがに違う。博多港を出てどんどん進むのだが、いつから船体を浮き上がらせる「翼走」になるのだろうか。その瞬間が楽しみである……と思ったら、いつの間にか翼走していた。全然分からなかった。
 出航してからしばらくして船内の免税店が営業する。ここでビールを買って飲む事にする。国内の税金がかからないので値段は\150。ウォンも使えて1500Wなのだが、両替レートを考えると若干ウォンの方がお得か。
 2階への階段を上るときに、クルーからのお薦めお土産という掲示が目に入った。ひまわりの種のチョコレート(500W)がお手軽でお薦めという事だ。ハムスター飼いにとってはつい反応してしまう単語に、お土産に買っていこうと決意する。なんでもコンビニで買えるそうだ。メモ代わりにデジカメで撮っておこう。
 しばらく進んでいくと船速が落ちて、とうとう止まってしまった。とたんに波に揺られてどんぶらこ。翼走状態がほとんど揺れていなかったのがよく分かる。水中翼に異物が引っかかったための停止ということで、しばらく除去作業を行った後に再び翼走となった。
 進行方向左手には対馬がしばらく見える。おかげで外洋に出たという感じがしないし、まだ日本の領海だ。対馬からの電波を拾うらしく、船内から家に携帯で電話してみたのだが、海外旅行に行くという雰囲気では無いかも。
 時間はあるうちに、入国カードと税関の申告カードを記入する。ガイドブックでは漢字で書いても良いらしいが、裏に英語で書けとも書いてあったので、英語で書いていく。署名だけは漢字だ。税関の方は申告する物はないので「申告品無」の所にチェックしていくが、ノートパソコンをどうしようかと考えてしまう。400US$以上の物品のだと申告が必要なのだが、中古で自分用途の物は申告は必要でない様な事をネットで見た事もある。結局、「申告しないで持ち込んだのがばれたら高額の罰金取るよ」という脅し文句に負けて、「有」にチェックしてみた。ま、申告が必要なかったらそう言われるだけだしね。
 途中、ムーンライトの疲れもあってうつらうつらしているうち、太極旗を掲げた貨物船数隻とすれ違う。船名がハングル文字で書かれているのを見て、韓国に来た事をわずかに実感。釜山港ももうすぐだ。

 遅れもなく釜山に入港し、下船となる。ディバックとノートパソコン用バックだけの、いつもの旅行スタイル。それなのに踏み出した所は外国という事に、イマイチ実感がわかない。なにせ港だけにコンテナが山積みになっているのだが、お馴染みのJR貨物コンテナを見ると本当に韓国に来てしまったのか怪しく感じてしまう。
 入国審査官にパスポートと入国カードを「アンニョンハセヨー」と言いながら提示する。審査官は黙々と処理してスタンプをポン。この間一言も無し。あのー、初めて勇気を出して話した韓国語なんですけど。一人で勝手に気まずくなって、小声で「カムサハムニダ」とつぶやきながらパスポートを受け取る。
 その後で荷物のX線検査。え、入国時にあるの、と思いながらも、荷物をベルトコンベアに乗せる。金属探知のゲートもあるので、慌てて小銭の入った財布と時計をX線の方に流そうと思ったら、身振りで「それはやらなくていい」と言われる。金属探知器も必ず引っかかるベルト金具が問題なかったので、設定が緩い様だ。
 それが済むと、いよいよ税関。ノートパソコンをなんて言おう、と構えていると、申告書を無造作に集める係員が一人。記載事項なんて見もしないでフリーパス。手渡して通り過ぎたけれども……これが韓国人気質の「ケンチャナヨ」って奴ですか。
 その後で銀行があるので、手持ちの円をウォンに替える。この時点で財布の中には1000円札が13枚。とても海外旅行に行く金額ではないような気もするが(汗)、そのうち10000円分を「イルマンエン」とか言って窓口に差し出す。係員は無言で10枚チェックし、ウォン札を渡してくれる。今日のレートだと10000円→106000ウォン(100ウォン=94.3円)。よくガイドブックや旅行記で「お札が10倍に増えるのでお金持ちになった気分」とか書いてあるが、元が1000円札10枚だけに、札の枚数はほとんど変わらなかったりもする。
 そして、いよいよターミナルの到着ロビーへ。そこにも銀行の窓口があったのだが、レートも同じだし、行列が凄いのでさっき両替しておいてよかった。ま、1万円位だとレートがどうのこうの言うほどの物ではないんだけどね。


 ・中央洞→釜山駅 釜山地下鉄1号線 1000系

 これから何をしよう。まずは観光案内所で日本語のパンフレットを数枚貰っていく。有料のインターネット端末があったので、いつも行くチャットに到着報告をしようと思ったのだが、10分100ウォンで硬貨しか使えない。手持ちは札しかないので、諦める事にしよう。
 まずは釜山駅に行って明日のセマウルの切符を購入しよう。ついでにホテルにチェックインしてしまって荷物を置いてくる事にしよう。釜山駅は最寄りの中央洞駅から地下鉄で1駅だ。まずは地下鉄に乗ろう。
 港からは皆送迎バスやタクシーで街中に行くみたいで、歩いてターミナルを後にするのは私と現地人一人だけ。すれ違う人も無く標識にハングルが溢れる道をとぼとぼと歩きながら、韓国に来たんだなという感傷に浸ってみる。
 ちょっと歩けば地下鉄の駅だ。地下道に入ってみるとそんなに深くない所に改札が。コンコースは薄暗く、日曜日の昼間というのに人気も少ない。まずは最初の買い物として、自動券売機で切符を買う事にした。料金は700ウォン。小銭がないのだが、1台だけ1000ウォン紙幣が使えるとおぼしき券売機があったので、試しにそれを使ってみる事にした。700のボタンを押してから、お金を入れる。ちゃんと切符と100ウォン玉3枚のお釣りが出てきた。切符は日本の切符より横が長いものだった。
 そのまま地下鉄に乗っても良いのだが、ジェビの船内で見たひま種チョコを買おうと、近くの「LG25」というコンビニに入ってみる。だが、置いていなかったのでがっかり。入ったついでに、お腹も空いたので軽くおにぎりでも買おうと思い、棚の前まで行った。が、
ハングル読めねぇ!(←文字大)
どれがどの具か分からない。キムチ系が多いのかなと思いながらも、適当に3種類手に取ってみる。何の具が入っているのかちょっとしたギャンブル、ロシアンルーレットならぬコリアンルーレットだ(笑)。ちなみに一つ700ウォン。日本に比べると安いね。「イゴジュセヨ」と言ってレジに差し出す。店員が何か言っているのだが、「2100ウォンです」なのだろうか「レジ袋いる?」なのか、全然聞き取れず。ま、コンビニは会話が無くても買い物が成立するから楽だ。ちなみにレジ袋は無いとガイドブックで読んでいたので、慣れた風を装っておにぎりを受け取って店の外に出た。

 ふたたび地下鉄の駅に入り、切符を自動改札に入れる。バーを押して入るタイプだ。ホームの両方に電車が入る「島式ホーム」で、日本と違うのは右側通行という事。行き先案内の掲示はハングル、漢字(中国語繁体字)、英語で書いてあるので、漢字を頼りにどちらの電車に乗れば良いか確認する。駅に番号が振ってあるので、それを頼ればいいので便利である。今度の4月から東京の営団地下鉄が東京メトロになるに伴い、通し番号を入れるので、便利になるのだろう。
 入ってきた電車はステンレスにオレンジの帯の車両。車両番号から1000系と言うのだろう。車内にはLED式の電光掲示板が次の駅名と開くドアを示してくれる。ハングルは読めないが、英語で表示してくれるのは大助かりだ。1駅だけだから間違えようも無いけどね。
 一駅だけのプサン地下鉄初体験を済ませると、まずはどこの出口に行けばいいのかということ。プサン駅前広場と書いてある出口が数カ所あるので、近いところからでてみる。すると、KTX開業を控えて新築の駅舎がそびえていた。駅前広場や駅構内はまだ建設中だったが、ちょっと圧倒されてしまった。日本の半端な新幹線の駅より立派じゃん。
 人の流れに合わせて、駅の中へと入っていく。ここでも案内は中国語と英語が併記されている。まずは明日のセマウルのチケットを買おうと思ったのだが、どの窓口で買えばいいのだろうか。鉄道会員用の窓口もあるので、それが書いていないところに並ぶ事にした。
 韓国国鉄のホームページから明日のセマウルのスケジュールをプリントアウトし、朝9時の列車に赤丸を付けて、ハングルで「3/22プサン→ソウル特室大人1枚」と書いて窓口に差し出す。「旅の会話集」から単語を拾って覚えた「セマウル ソウルカジ トクシル ハンジャン ジュセヨ」と言ってみる。さて、通じるか……緊張の一瞬が過ぎ、窓口のお姉さん曰く「明日ですね」……日本語流暢じゃいないですかぁ。
 その後は日本語で会話。特室(グリーン車)でソウルまで45000ウォン。クレジットカード(JCB)で支払いをする。カードリーダーが客側に向いているので、操作がやりにくそうだったのだがお姉さんが通してくれた。暗証番号は入れない、というかフリーワードとして「9999」を入れていた。思ったより簡単に、しかも日本語で買えたのだが、最後はしっかりと「カムサハムニダ」と言って窓口を後にした。
 定期券サイズで裏に磁気ストライプが一本入っているマルス券。ハングル表記の中、読めるのは英文字で書かれた「BUSAN」「SEOUL」「1st」と数字だけ。ま、これだけ読めれば十分だけどね。韓国の鉄道旅行を紹介しているサイトではドットプリンターのマルス券が掲載されていたが、KTX開業を控えて新型になったのだろう。
 ほっとしたところで、コンコースのベンチに座ってちょっと休憩。先程のおにぎりを食べてみる。まず一つめ。ビニールを外してノリと合体させるのは日本のコンビニの物と変わらない。ノリは表面に塩がふってある、いわゆる韓国海苔。かぶりつく前に2つに割ってみると、
真っ赤なご飯!!(←大文字)
げ、キムチライス!? と思ったが、どうやらケチャップライスで、焼き肉が中に入っていた。辛い物でなくて良かった。そして二つ目は……ツナ……にしては赤い。ツナマヨネーズの唐辛子和えの様な物だった。三つ目は小魚アーモンドのちょっと辛み系の様な具。食べてみると、3つとも美味しかったので、よかった♪

 一息ついたところで、駅の中にあるセブンイレブンを覗いてみる。今度はひま種チョコがあるかどうか……ありました。一つ500ウォンなので、4つ買い求める。ある意味趣味と実益を兼ねたお土産である。
 その後、インターネット予約しておいた駅前のホテルへと向かう。ハングルの看板なんて読めないのだが、サイトに写真があったのですぐに分かった。写真がない場合、予約するよりも実際に温泉マークの「旅館」に飛び込んだほうがわかりやすいのかも知れない。
 まずホテルのフロントでは開口一番「日本語できます?」。予約サイトには日本語可と書いてあったので確認の意味もあったのだが、日本語はダメで「English,OK?」との事。それならと片言の英語で予約している事を告げ、ネット予約のバウチャーを渡して宿帳に記入する。ダブルのシングルユースで予約は45000ウォン、部屋に書いてあった室料は42000ウォンなので、差額が予約手数料\300と思えば納得がいく物だった。
 部屋にはいると、まず靴を脱いでスリッパに……って事は洋室ではないという事。床がほんのり暖かい。
オンドゥルベヤダッタンディスカー!!
オンドル部屋にダブルベッドを入れていた部屋だった。荷物を下ろして整理して、ショルダーバック一つで出かけられる事にした。ショルダーバックはスリの恰好の餌食という話も読んだが、中身はノートパソコンを取り出してパンフレットと地図だけにしたので、万が一の時でもあきらめが付く。
 その後で部屋をチェック。冷蔵庫にはサービスのミネラルウオーターがあり、水回りは歯ブラシとシャンプーが無い。この辺は韓国のデフォルトらしいので、後でコンビニでシャンプーでも買っておくとしよう。そしてテレビのチェック。ケーブルテレビだか衛星放送だかでチャンネルは多く、日本のNHK-BSも映る。その中で言葉が分かるのはもちろんNHKだけだ。いわゆる有料放送は……喘ぎ声は日韓共通の様だった(何。


 ・釜山駅→南浦洞 釜山地下鉄1号線 1000系

 まずは繁華街へ。最寄り駅は地下鉄の南浦洞(ナンポドン)駅とチャガルチ駅だが、南浦洞から歩く事にしよう。再び地下鉄の駅に入り、700ウォンで切符を買う。釜山駅は行き先別の相対式ホームで、それぞれに改札がある。つまり、入口を間違えると反対方向に連れられてしまうのだ。南浦洞方面の終点は「新平」なので、それを確認して改札に入る。
 南浦洞駅は二つめ。さすがにここは人が多い。地上に出てまずは歩いてみる。お腹がちょっと満たされたものの、本格的に食事がしたい。韓国で焼肉というのも手だが、せっかくなのでその他の物を食べてみたい。候補としては、参鶏湯(サムゲタン)とあわび粥の店。とりあえず目に付いた方に行ってみる事にする。
 参鶏湯の店の方へちょっと歩いてみたが見つからなかった。見落としたのだろうか。歩いているうちに本屋があったので、ちょっと入ってみる事にした。当然ハングルなのだが、絵や写真で何の本であるか位は分かる。
 まず目に付いたのが日本の漫画本のハングル版。これは背表紙の絵で判別できたが、ドラゴンボールとか遊戯王とかハンター×ハンターとかコナンとか、日本でも有名どころだ。お土産に買っていくのも良いかと思ったが、とりあえず見合わせ。
 カー雑誌は当然あったが、鉄道雑誌というのは無いようだ。う〜ん、韓国では鉄道趣味はメジャーではないのか、軍事施設だから制限があるのか、その両方なのか。後はパソコン雑誌を見てみたり、ついでにパソコンソフトの単行本を見てみたり。アドビとかマイクロソフトとかはソフト名が英文字だから、何の本であるかよく分かる。中身は分からないけど。
 それはさておき、食べ物屋を探しながら、ついでにDVDショップを探してみる。お土産に買っていきたい物があるのだ。韓国産アニメ「テコンV」のDVDボックス。色々とツッコミどころ満載らしく、オフ会に持って行けば受けるだろうという目論見だ。パンフレットには国道レコードという店が載っているので、そこに行ってみる事にした。
 目指すはDVDのフロア。真っ先にアニメのコーナーに行ってみると、日本のアニメのDVDボックスが色々と。パッケージにハングルが皆無なのを見てみると輸入物なんだろう。そして、目指すテコンVは、しっかりと背表紙にハングルが。読めないよ(笑)。でも近くにいた子供は「あ、ロボットテコンブイだ〜」と、読めるんだよね。当たり前か。
 値札が付いていないのでいくらなのか分からないのだが、とりあえずレジに持って行って「オルマイヨ?」よ聞いてみる。「サムマン……」しか聞き取れなかったが、3万ウォン台らしいのは分かったので、カードと一緒に差し出す。何か聞いてきたが、分からないぞぶりを見せたのだが、「一回払い?」だったのだろうか。結局31800ウォンだった。うん、これで目的を一つ達成できた。

 いい加減お腹が空いたので昼食にする。あわび粥の店が近いので、ガイドマップ片手に路地を入っていく。「済州家」という店ですぐに見つかった。「アンニョンハセヨ〜」と言いながら入っていく。そしてアジュンマ(おばさん)にあわび粥を注文する。
 まずは粥の前に小皿が並べられる。小魚、韓国海苔、キムチ3種類(白菜、大根、胡瓜)と計5皿。程なくメインのあわび粥がやってくる。全体が黄色くなった粥の中にアワビの切り身が浮いている。うん、美味しそうだ。
 熱いからこうして小皿に取るように、と説明してくれ、さらに海苔をこう入れると美味しいよ、と説明してくれる。単体だと淡泊すぎるので、確かにそうした方が美味しさが拡がった。
 ふぅふぅ冷ましながら平らげると結構満腹になった。代金は1万ウォンと値が張るが、なかなか美味しかった。注文程度の日本語が出来るとガイドブックに書いてあるが、このアジュンマ、なかなか日本語が上手である。最後は日本語で「ごちそうさま、美味しかった」と店を出た。この言葉を韓国語で何と言うか分からなかったのもあるけどね。

 腹がふくれた後は、今回の目的の一つ、眼鏡を作りに行く。フレームのネジにガタが来て、作り直したいと思っていたのだ。国際市場という通りに眼鏡屋が何軒もあるらしく、割引券付きのガイドブックを頼りに歩いてみた。目指すお店は「元一眼鏡(ウォンイルアンギョン)」という名で、漢字の看板ですぐに見つける事が出来た。
 店員に日本語で声をかけると、日本語で対応してくれる。「日本語あまり得意じゃないですけど」と言っていたが、なかなかどうして、上手な日本語だった。それはさておき、今の眼鏡と同じ度数で作ってもらう事にする。今までのはガラスの圧縮レンズなのだが、プラスチックの圧縮レンズで対応できるとの事。それは高いのではないかと危惧していたが、フレーム込みで割引券使って19000円とのこと。それなら結構安い。それではと、作ってもらう事にした。
 ちょっとだけハプニングがあったのだが、古い眼鏡をチェックしているとき、店員さんが「このガラスレンズだと重いですねー」とか言いながら、レンズをコンコンと指で弾いていたのだが、フレームのネジが緩んでいるだけに、数度目でレンズがすぽーんと飛んでいってしまった。レンズの端が欠けてしまったので、こちらは新しいのを入れ直しますとの事。まぁ、古い奴は予備用にするつもりだったので、別にいいんだけどね。
 眼鏡が出来るまで市場を歩いてみる事にする。お店の看板は日本語が多いので、何の店だか良くわかる。微妙に間違っている日本語が面白かったり。この雑踏とパワーは今の日本には無い物だろう。「別世界にいる自分」を味わいながら、決して買い物はせずに(笑)雰囲気を楽しんでいた。

 1時間後に眼鏡を受け取った。代金はカードで支払ったのだが、190000ウォン。為替レートを考えると、日本円で19000円払うよりほんのわずか得している。まぁ、円は3000円しか持っていないのだが(汗)。
 その後は、再度街中を散策する。先程DVD店に行く途中の街中に登りエスカレーターがあり、結構人が行き来していたので、気になっていって見る事にした。
 どうやら、竜頭山公園へ向かうエスカレーターらしい。江ノ島エスカーみたいなものか。こちらは無料なので、上まで登ってみる事にした。上にはちょっとした広場に李舜臣将軍像と釜山タワーが建っている。銅像の人は秀吉の朝鮮出兵での朝鮮側英雄で、果敢に秀吉軍を押し返したという事らしく、日本人が記念写真撮るところでは無いなぁ、とばかりに素通り。ナントカと煙は高いところに、とばかりに釜山タワーの展望台に登ってみる事にした。
 タワーの脇に水族館が併設されているので、せっかくなので共通券を買ってみる事にする。が、水族館といっても小さな水槽がいくつか並んでいるだけだったので、そのしょぼさにちょっとがっかり。いや、このチープさが場末の観光地らしさなんだと自分を納得させて、タワー展望台へのエレベーターに乗った。展望台から港町と街並みをしばらく眺めていた。
 その後はぶらぶらと街歩き。釜山に来てまで、と思うが、ついついペットショップを探してしまい、しっかり見つけてしまった。ハムスターは一匹1500ウォンと、日本の1/10の値段。ただし飼育状況は劣悪で、ロボとジャンガリアンと仔ゴールデン(目が開いたばかり、離乳後)が一つの大ケージに入れられて売っていた。他にも路上で仔猫、子犬、ミニウサギ(3万ウォン位)を売ってたりするのだが、買っていく人もいたり。ペットショップ街があったが、こちらは犬専門店なのでちょっとがっかり。あ、もちろん愛玩用だ。


 ・チャガルチ→新平 釜山地下鉄1号線 1000系
 ・新平→南浦洞 釜山地下鉄1号線 1000系

 街歩きに疲れたところで宿に帰ろうと思ったが、そのまま帰るのは勿体ないし、時間が余っている。それではという事で、地下鉄にちょっと乗ってみる事にした。街歩きで最初に降りた南浦洞の次の駅、チャガルチまで来ていたので、そこから釜山駅と反対方向の終点まで往復乗ってみる事にした。帰りはまたチャガルチで降りて、なにか食堂にでも行こうかと思う。
 1号線は、終点の手前までずっと地下区間を走る。それ故、車窓が楽しめる訳でもなかったのが残念。終点の新平も、住宅地という感じで、なんら面白みもなかった。折り返しの電車は反対側のホームから出るのだが、改札が別々なので、一度改札を出て、切符を買い直す必要がある。
 とりあえず、もう一度チャガルチに戻るつもりので、700ウォンの切符を買う。電車は一度引き上げ線に入って、出発ホーム側に入ってくるので、また同じ編成に乗る事になる。帰りも景色が見えないので、大人しく乗っている事にした。
 ガイドマップを見ていたら、参鶏湯の店があるというので、チャガルチではなく南浦洞で降りる事にした。ここで問題が一つ。チャガルチまでは700ウォンなのだが、南浦洞までは800ウォンなのだ。精算するには、自動改札に切符を入れた後で不足分の硬貨を改札機に入れるようなのだが、あいにく紙幣だけで100ウォン玉を持っていない。駅員も改札口にはいないので、どうしたものか。どうしようもないので、切符を入れてみて反応を見てみよう。駅員が飛んできたら1000ウォン札を見せればなんとかなるだろう。ケンチャナヨだ。
 と思ったら、何ごともなく通過できた。10円ごときチェックしていないと言う事か? ま、ケンチャナヨなのだろう。疑問に思いながら地上に出て街を歩いているうちに、気が変わって、参鶏湯よりも屋台で何かを食べたくなってきた。そう考えはじめると、屋台が多く出ていそうな所へ向かってみる事にした。

 道の真ん中にどんと食べ物を出す露店が並ぶ通りがある。モッチャゴルモクというらしい。通行人は道の両側を小さくなって通る位だ。お腹も空いたのでここで夕飯にしよう。何か韓国語でアジュンマに客引きされたので、何があるかという感じで聞いてみたら、キンパッだという事らしい。確か海苔巻きだったな。それにしてみよう。一本指で一人分と表現して、椅子に座る。
 出てきたのはご飯を海苔で巻いただけの具無しの「チュンムキンパッ」とニラのキムチと鶏肉の唐辛子辛子漬け、カクテキだった。皿ではなく、ラップを引いて、その上にどかんと盛っていく。一人2500ウォン。付け合わせのおかずは当然辛いのだが、それがまたいける。
 食べながら、低い視線から行き交う人を眺めてみる。このモッチャゴルモクの雰囲気は日本には無い物だ。もちろんキンパッの付け合わせの味も日本には無い物。言葉もわからずふらりとここに来てこれを食べて、自分もこの風景にとけ込んでいるのかなぁなどと思ったり。

(つづく)


シャトル発着所に戻る