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この作品の設定は『らいかワールド』の世界観にほんの少しだけ基づいていますが、らいか大作戦等の本編とは一切まったくなんの関係もありませんのでご了承ください。本編等の詳細設定は http://www.ts9.jp/ をご覧ください。

 住宅街の隅のほうにぽつんと空いたちっぽけな空間。その真ん中にひっそりと立っているまん丸に輝く街灯には、何匹かの羽虫が接近と体当たりをくりかえしている。
 今では虫たちの多くはこぢんまりと茂った草むらの中で求愛の歌を鳴き競っている。
 そんな営みをまったく考えていないかのような不協和な音が一つ、ゆっくりと近づいてくる。それは冴えない大学生がベダルを踏むオバチャリの、油の切れたチェーンから響いている。
「わかってるよ。そりゃ。俺だってせめてズーマーくらいに乗りたいよ。仕方ないだろ、貧乏なんだから」
 そんなことを言ってるから、少しは非凡な体験を味合わせてやることにしよう。きぃきぃがしゃがしゃと夜道を進むオバチャリが薄暗い児童公園を横切ろうとするとき、虫たちの声が一斉に鳴きやむ。
「え? 地震?」
 はっとして公園の中をのぞきこむと2つの人影が見えた。いっぽうは小学生くらいの年齢だろうか。
 そこ! さっきまでいなかったんじゃないかなどとヤボなことを言わない! ただ描写していなかっただけなのだから。
「なんだよ、変質者? 襲われてる?」

 冴えない大学生が無視することもできず、オバチャリを派手なブレーキの音を立てて停めると本人はカッコつけていると思いながら飛び降り、大きい方の影に走りよる。
「いいじゃないか。少しはかっこつけさせろ」
 そういうわけにもいかない。非凡な体験なんだから、もっとすごいことが起きなくては。
 小さな姿に襲いかかろうとしている影のようなものを、後ろからねじ伏せようとした瞬間、冴えない大学生の手は中空をただすり抜けてしまう。
「な?」
 バランスを崩した視界に大きく女の子が見えたが、すぐに全身の力が抜ける。必死な形相をしている女の子の声がどこか遠くのほうで聞こえている。
「も%1j=~x! 転送収容2名! いいから早く!! きゃぁぁぁぁぁぁ」
 いちだんと大きな悲鳴を耳にしながら冴えない大学生の意識は闇に落ちた。




デムパ到来記念 (ヲイ

コンタック600大作戦

作 : 塵芥王


「ん?」
 冴えない大学生が気がつくと、病室のようなところにいた。体が麻痺しているようで動かせない。かろうじて首が動かせる程度だ。
「気がついたでぇ。プログラム始動や」
 目の前に小さな、小学生の頃にさんざん遊んだスーパーボールほどの赤い玉と白い玉が一つずつくっついたものが浮かんでいた。
「しゃべった? 分子模型が?」
 ぼんやりとそんなことを考えていると、急に誰かが姿を現したように見えた。しかしぼんやりとしか見えないので、誰がいるのかはまったくわからない。
(俺はどうしたんだ?ここは天国か?)
 なんとか声を出そうにも一言も出すことができない。周りは自分が寝ているベッドの他には何もない広い空間。そこにベッドだけがぽっかりと浮かんでいるようにも思える。
 そんな冴えない大学生の困惑を知ってか、それとも無視してか、目の前の誰かが話をはじめた。
「蔵家祖頼之(くらけそよりゆき)さんですね。あなたに起こった事故について説明します。その前に自己紹介しておきます。私はコンタック・スミスクラインといいます。信じられない話かもしれませんが、これからお話することはすべて事実です」
 スミスクラインと名乗る存在は語った。女の子みたいな声だが、なんとなく棒読みのような口調だ。
「私は惑星連合所属のコンタック。人工生命体UX−801を追ってこの惑星で活動していました。あなたが公園で見たものです。あれは生命力、オーラを食物として生きています。私たちは『オーライーターバシ』と呼んでいます。
 連合から追われた彼らは辺境の地球にやってきました。イーターバシの一体を追いつめたところにあなたが駆けこんできました。
 イーターバシには実体が無く物理攻撃が効きません。あなたは瞬時に生命力を奪われ、私も強化されたイーターバシの手にかかってしまいました。ここに転送収容しようとしましたが、あなたと私は、すでに瀕死の状態でした」

 コンタックの話に混乱するなというのは、冴えない大学生には無理だろう。なんせ受験勉強で燃え尽きてしまって、今ではほとんど消し炭くらいなものだから。
「うるさい! 少しは落ちついて考えさせろ」
 宇宙人が謎の生命体を追ってきた?
 混乱する頼之に謎の声はなおも説明を続ける。
「二人の生命力と体組織の半分以上はイーターバシに吸収されてしまっていました。もはや二人を治療するのは無理です。体組織もあなたを再生するのは無理です。
 やむなく、データバンクにある私の体構造を元にあなたを再生しました。だいじょうぶ、構造はものすごくシンプルですから、なんの問題もないでしょう」
 そこで声が一息つく。冴えない大学生はほとんど無いに等しい頭脳をフル回転させて必死に考える。どういうことだろうか。自分の体はどうなってしまったのか?、と。
 しかしそこまで聞いて意識がまた遠のきつつあった。最後に面長な顔のようなものが、かき消えるように見えたのは気のせいなのだろうか……

「うん?」
「お、気ぃついたな」
 目の前にはまたまた赤と白の分子模型。しゃべれるのかこの単純な分子構造は。
「自分、3日も眠ってたんやで。体の調子はどないや?」
「分子模型? 女の子の声がしたようだけど?」
「分子模型ちゃうで。「もけい」ちゅう立派な名前があるから、よろしゅうな。んでな、コンタックちゃんは……死んじまいおったわ……」
「俺に説明してただろ? 生命体がどうのこうのって」
 しゃべる分子模型「もけい」にくってかかる。
「あれはな、コンタックちゃんのホログラム映像なんや」
「そういうことです。わかっていただけました?」
 いつの間にか映像が再開するが、ホログラム映像のコンタックはあいかわらず不明瞭なうえに、またしても一方的に説明を続ける。だがそれによって冴えない大学生は自分の置かれた環境をしっかりと認識することになる。
 今、自分は宇宙艦「けんこう」の内部にいること。簡易包装スタイルの航宙艦で連合のポピュラーな巡視艇だということ。本当はイーターバシは普通の人の目に見えることはないこと。コンタックの邪魔をしてしまい、イーターバシにボコボコにされたこと。転送装置がパチモ……もとい、サードパーティ製品のために二人を救えなかったこと。コンタックが最後に自分を治療してくれたこと。そして分子模型も本当はファーマシー星の知的生命体らしい。
「そうだったのか……」

 冴えない大学生はゆっくりとベッドから体を起こしてみる。大丈夫だ。そのまま両足で立ち上がり、顔を洗うのに洗面台を使おうとした。
 鏡には上半分が透明になった楕円形の物体が映っている。中には小さな丸い赤い粒と白い粒がぎっしりと詰まっていて、そこから四本の手足みたいなものがひょろひょろと伸びている。
「えっ、化けもの?」
 びっくりしてひょろひょろの怪物を指さすと、鏡の中の怪物も自分の方を指さしている。自分が頭(と思ってるところ)を抱えると、鏡の中の怪物も両手を上に上げて、楕円のてっぺんを抱えている。さらに勢いでその場でくるりとターンを一周決めてみると、鏡の中でも同じことをしている。。
「そう、今のあなたは私と同じ身体」
 ホログラムのコンタックが言を継ぐ。いつの間にかホログラムの映像が明瞭になっている。そこに映っているのは鏡の中と同じ姿の怪物。ただし、中の粒の色が青と白になっている。
「どうや。コンタックちゃんの体とおなじやで」
 すかさずもけいも肯定する。
「薬のカプセルみたいじゃないか」
「そうやな」
「『そうやな』じゃない! カプセルなんだぞ! まさか中にミクラスとかウィンダムとかいるんじゃないよな」
 それはいないと思う。さすがにマニアすぎだ。どうせなら、もう一ついるはずなんだが、そいつの名前も出してやって欲しかった。いや、実は姿は見せなかったが、実は四つだったという噂も……おっと、これは脱線だ。
「私の身体は嫌い?」
 まるでそこにいるようにコンタックが尋ねる。
「……まあ、なんというか、慣れていない。ところでコンタックって何歳?」
「いくつやったけかなぁ」
 もけいがいつのまにかボロボロの手帳を前にかざしてなにかを探している。
「あった、あった。地球人換算で十一歳やな」
 それを聞いて変わり果てた姿の大学生はぼけっと考える。
 十一歳かよ。人間だったらら発育途上ってところか。うーむ、でもこれ、女の子なんか? 声はそれっぽかったけど。
「出るところもまだ出ていない、発展途上のロリーな身体。トランジスタでもコーク瓶でもない、まだ未熟な蕾だけど、立派な女の子の身体よ。でもあなたはきっと興味津々ね。私にはわかるわ。いつの日か、私にも大人の世界が訪れるように、その体にも大人の時がやってくるようになるはず。その時、あなたに平静な精神を保ち続けることが出来るかしら? きっとあなたは禁断の蓋を開けて、中身に手をのばしたくなるはず。誰もまだ触れたことのない小さな粒をそっと人さし指と親指でつまんで、やさしくなでるに決まっているのよ……」
 表情ひとつ変えず、平板な描写でコンタックが言葉を続ける。変わり果てた大学生は、若干興味が無かったわけでもないが、その気もすっかり萎えてしまった。
「まともに付き合わんでもええで。コンタックちゃんはオンライン小説の読み過ぎで惚けてしまっとるでな」
 もけいも器用に天を仰ぐ。どこが顔だかわからないが、きっと今、上を向いてるところが顔なのだろう。

「……そして、熱に犯された私の身体は、今にも溶け出しそうになってベットの上に突っ伏すの。すぐにも壊れて中身が飛び出してしまいそうだけど、ざわざわとした歓喜に全身の細胞を震わせながら……」
 ホログラムのコンタックはなおも一人で語っていた。昨日の衝撃から八時間あまり。完全に体調は回復し、頼之はコンタックを無視してコンソールから眼下の地球を見つめていた。
「自分、これからどないするん」
「こっちが聞きたいくらいだ」
「そんことでな、話があるんや。コンタックちゃんが地球でやらないかんことやったんだけど」
「地球で?」
 エロ満載のオンライン小説ヲタのあいつがか? 怪訝そうなコンタック(=頼之)を尻目にもけいは続ける。
 イーターバシの残りを掃討するため地上で活動すること。地上では小学生として身を隠して生活していくこと。その準備も完了しているそうだ。イーターバシには通常攻撃が効かず、オーラを使った攻撃でなくてはならないこと。コンタックやある種の地球人にはオーラ使いとしての能力があること。
「ちょっと待て。小学生って、この身体でか?」
「それは大したことやない。前例もあるしなぁ。それとやな、自分もオーラ使いの能力が高いでぇ。もともとのコンタックちゃんの力とも合わせたなら、強力なオーラ使いになるで。間違いあらへん」
「俺がオーラ使い? でもやり方知らんぞ」
「体が覚えてるから心配せんでもええわ。それにその六〇〇番目の改造仕様の身体は最高レベルのオーラ能力があるはずやで」
 嬉しそうにもけいがコンタックの身体に体当たりしてくる。コンタックはといえば、凹みやしないかと心配だが、もけいはぜんぜん気にしている様子がない。
「それとな、これはお願いなんやけど、コンタックスちゃんのかわりにイーターバシを捕まえて欲しいんや」
「俺にあんなのと戦えっていうのか?」
「そんな、無論タダとは言わへん。軍からちゃんと給与が出るわ。僻地手当て込みでこんくらいでどうや?」
 いつの間に取り出したのか、テーブルの上にあるソロバンを、もけいが器用に珠をはじいて数字を並べる。
「ちょっと安くないか?」
「自分、舐めたらあかん。ドル建てやで」
「喜んでやらさせていただきます」
 深々と頭を下げた。
「そかぁ。それは助かるわぁ。おおきにな。実は戸籍とか学校への転入手続きとかは済んどるんでな」
「簡単に言うな」
「艦内コンピュターから自治体データベースにハッキングできるんや」
 一昨年から始まった政府、自治体の電子政府計画。セキュリティは非常に高いと聞いたが、こんなところで利用できたらしい。もけいの説明では地球のコンピューター程度なら難なくアクセスできてしまうらしい。
「名前はどないする? まだ入力してないけどなぁ」
「それじゃ蔵家祖コンタックってことにしといてくれ」
「そか、助かったで。漢字名は考えてなかったんや。どうせ作者はコピペするだけなんやがな。そや、それとな、地球上に住まいも用意しておいたで」

 数日後。市内のマンションの一室。
「いってきまーす」
「コンタックちゃん、これ持ってきや」
 小学校への転校初日、早速もけいに呼び止められた。手渡されたのは、あまり細かく描写すると著作権侵害が怖い形状のバッジだった。
「これでいつでも通信できるで。転送の目標にもなるんや」
「ただ付けとけばいいのか?」
「あと、女の子らしくしときや。言っても無駄やろうけど」
「うるさい」
 当のコンタックはといえば、学校指定のセーラー服が気恥ずかしい。
 ほら、そこ、カプセルな体型で、どうやってセーラー服を着てるかなんて突っこまない! ノークレーム、ノーリターンでお願いします。
 スカートなんて初めてだし、どうも足元がすーすーする。まだ胸もヒップもなんにもないためブラと格闘することがなかったので、着替えはスムーズだったが。
 だから突っこまない! そっと見まもってくれ。とにかく、そんな不安を胸にいだきながら、身体の中身をざわざわ揺らしながら走っていくコンタックであった。

「朝日が丘にいたんですけど、大統領から罷免させられて引っ越ししてきた、蔵家祖コンタックです」
 し〜ん。さすがにリハウスのネタをそのまま使うことが気まずくて、シャレで抜けようとしたら見事に滑ってしまったらしい。
「席は……一番後ろの、果粒(かりゅう)さんの隣に座ってください」
 なにごとも無かったように担任の庄司先生に言われ、こそこそと席に座った。隣の果粒と呼んでいた子が受けていたのが救いということにしておいてくれ。
「蔵家祖です。よろしくね」
「わたし総合感冒薬果粒。よろしくね」
 教壇の前にいたときにはまったく気づかなかったコンタックだが、近くからアップで見てみると、果粒は真四角な身体から手足がひょろりと伸びていた。
「もけいが言ってた前例ってまさか……」
 頭を抱えるコンタック。ダメだ。それは許さん。お前の効用には頭が重いってのも……(ry
「いや、ほんとになんか痛くなってきた気がする……」

 仕方ない。救済措置だ。

「おお、コンタックちゃん、お帰り。おやつ用意してあるさかいな、手ぇ洗ってきてから食べや」
 マンションのダイニングで、びっくりしているコンタックの目の前を、もけいがゆっくりとくるくる回りながらしゃべっていた。
「っておい、肝心の戦闘シーンはどうなったんだ? 一言も無かったぞ」
 気にするな。どうせ元にしているファイルにちょこちょこと手を入れることしかしないんだ、元の方で参照してもらって、ここはとっとと終わらせるんだ。こういうのはな、ダラダラ書いたってしょーがない。勢いとノリが落ち着くちょうど良いところで終わらせないといけないんだ。
「なんなんだよ……」
 おいおい。だから、頭痛は勘弁してくれ。頼む。な。

 翌日。コンタックのマンションの一室。
「……そう。もっと濡らして。しっかりと水を含んでから、私を口にして。そしてあなたの奥深いところまで、ずっと、ずっと……」
 ホログラムのコンタックが一人で悶え、もけいが芋羊羹をほおばっている。平和だ。
「なあ、こんなの許されるのか?」
「安心せぇ。作者も、もう終わりだと言うとるんやし」
「終わるなら、とっとと終わってくれ。もうついていけない」

 しかたない。キャラからリクエストされてしまったからな。こんな平和なところでお終いだ。
 続きは無いぞ。こんなネタでどうやって続けろと言うんだ?そうか。残念だなぁ。かしまし娘ネタとか、嫁に来た年増女のネタとか考えてたのだけどなぁ……。

「続いてなんかたまるか! もう、やめた、やめ!」

 そうそう、今ではコンタック600STだから、そこんとこよろしく♪

(絶対に続きません)


後書き

かわねぎさん、申し訳ありません。

よっすぃーさん、申し訳ありません。


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