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新性紀エヴァンゲンドウ

 




「なぜ、あんな事をしたの!」
 作戦部長である葛城ミサトに碇シンジが怒られている・・・。そしてそれを心配そうに見つめる美少女がいる・・・。
 髭眼鏡・・・もとい、ゲンドウこと六分儀ヒトミであった。

「私が・・・私が勝手なこと言ったから・・・・・・」
 目尻には涙・・・、破壊力抜群である。

 本来ならばゲンドウはここネルフの最高責任者である。このような言い訳をする必要はないはずなのであるが。
 今は悲しいかな、中学2年生の美少女・・・フォースチルドレンとしてビヤ樽・・・ゲフン、ゲフン、ミサトの指示に従わなければならない立場である。

 自分の指示が間違っていたとは思えない、そしてシンジの判断も間違ってはいないと思える・・・。
 それなのにシンジの処分は三日間の営倉入りに決まってしまった・・・。

「どうして? シンジくんは悪くないのに・・・」
 怒りのために頬を紅潮させ、涙を流すヒトミ・・・はっきりいって萌え萌えである。
 怒りを見せているのにも関わらず、ミサトの反応は『くすくす、シンちゃんのために一生懸命になっちゃって。恋する乙女ってヤツよね〜』と言うモノだった・・・。思いっきり逆効果である。
 もっとも、ヒトミも『この無能なビヤ樽め! 絶対、減俸にしてやる』等と考えていたのでお互い様かもしれないが・・・。

 周りの人間の反応はヒトミに好意的だ。ヒトミは金髪の悪魔(猫又マッド)の策謀により、女の子な言動を繰り返してしまった・・・そしてシンジのために怒り、涙する姿を皆に見られている。つまり周囲の人間のヒトミへの評価は【恋するシンジのためにガンバル健気な娘】で固まってしまっていたのだ。
 こうなると当然、シンジにも話が伝わる訳で・・・・・・。
   

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第三話『あれ、始まりし後』

 
 

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「くっ、何なのだ? この痛みは・・・」

 ヒトミは今朝から謎の鈍痛に悩まされていた・・・。下半身が重く感じる、違和感もあるようだ。
 我慢できない程の痛みでは無いので、今日も学校へは行ったのだが、ヒトミにとって中学の授業が面白い訳がなく退屈な思いをする事になる。気を紛らわす事が何もない状態が続き・・・必要以上に痛みを意識する事になってしまっていた。
「くそっ、何だと言うのだ・・・」
 自宅に戻っても、痛みのせいで集中力が続かず何もできない・・・ヒトミは苛立っていた。

 そんな時、シンジが営倉入りを解かれ帰宅してきた。
「ごめん・・・心配かけちゃった?」
 シンジはヒトミを見ると、こう語りかけた。
 ちなみにシンジは家に帰る前に青葉シゲル、日向マコトといった人物からヒトミが心配していた事を聞かされている。もちろん、ミサトも脚色した話をシンジに聞かせていた。
 すべての話を信じ込んだ純真な少年・・・碇シンジはすっかりその気になっていたのだった(笑)。

「問題ない・・・わ」

「僕のために怒ってくれたんだってね・・・ありがとう・・・」
 無意識に『女殺しの微笑み』が発動! しかも自分に好意を持っている(シンジ主観)少女が相手である。その威力は当社比200%増しであった。

 ドッキーン!

 ヒトミの鼓動が激しくなり、頬が赤く染まる・・・。
『なぜだ! シンジは息子だぞ!! なぜ私はこんな反応をしてしまうのだ?』
 自らの反応にとまどうヒトミ・・・赤面してうつむく様子はすっかり恋する乙女である♪ 本人は否定するだろうが・・・。

「気にしないで・・・当然の事だから・・・・・・」
 痛みのせいで上手く言葉が出ない・・・。シンジを傷つけるつもりは無いのだが、これでは誤解してしまうだろうか?

「でも、嬉しかったんだ・・・」
 シンジは寂しげな微笑みを浮かべていた。
「今まで僕の事を心配してくれる人・・・いなかったから・・・」

『陰があってステキ・・・(うっとり・・・)って、ちょっと待て・・・私は今、何を考えた?』
 10年間もほったらかしにした息子の独白に罪悪感を感じるならともかく、頬を赤く染め、シンジの表情に見入ってしまっていたのだ。ヒトミは加速度的に壊れていた。良いことである♪

『私は今でこそこんな姿だが、シンジの父親だぞ! 今のは気の迷いだ・・・きっとそうだ! そうに違いない!』
 ヒトミは考え込んでしまっていたが、シンジは久しぶりに会えたのが嬉しいのだろう。ヒトミに付きまとい話かける。

「ヒトミちゃんは大丈夫だった? ミサトさんに怒られたりしてない?」
「平気・・・」

 シンジはめげずに会話を続けるが、ヒトミは痛みが気になるのと、考え事をしているのとで、素っ気ない返事しか返さない。すると何とかヒトミの注意を引こうとして、シンジが話しかける。素っ気ない返事が帰ってくる、また話かける・・・。しばらくはこんな悪循環が続いていた。
 だが、普段なら微笑ましく思えるかもしれないその行動は、痛みを堪えストレスを感じていたヒトミの逆鱗に触れてしまう行為だった。しつこい男は嫌われるのだ(笑)。

「お調子者には用はない! 黙るなら黙れ、でなければ帰れ〜!!」

 ヒトミは気がつくと思いっきり怒鳴っていた。

「そんな・・・ひどいや〜〜!!」
 シンジはショックを受けて、外へ飛び出していく・・・その気になったといっても、しょせん根性なしは根性なしなのだった。

  

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「お腹・・・痛い・・・」
 雨の中、飛び出したシンジが心配ではあったが、謎の腹痛はますます酷くなり思うように体が動かない・・・。
『いったい私の体はどうしたと言うのだ? これほど体調が悪くなる理由など無いはずだ!』

 勘の良い読者の方は気付いているだろうが、女の子が病気でも無いのに腹痛に悩むとなれば理由はあれに決まっている。しかし、TS娘であるヒトミは気付かない・・・あるいは無意識に現実逃避しているのかもしれないが・・・。
 ヒトミが現実を思い知らされるのは、お約束通りトイレに行った時だった。

「うっきゃああああああああああ〜〜〜!」

「血・・・血が・・・・・・」
 そう・・・ヒトミは男に戻ろうとするTS娘に止めをさしてきた生理を、まだ3話だと言うのに早々と体験する羽目になったのだ。
 ショックで顔面蒼白になる。もちろんヒトミも生理の事は知識として知ってはいた・・。しかしこんな場合、知識など役にたたない・・・ヒトミはただパニックを起こしている。女性であっても初めての生理には衝撃を受けると言う。ましてヒトミは本来男性だったのだ・・・受ける衝撃も並大抵のモノではない・・・。

「あうあう・・・・・・どっ・・・どうしたら・・・」
 とにかく何とかしなくては・・・、なんとかってどうやって? まず汚れたショーツを洗って・・・って、違〜う! その前に生理用品を・・・・・・持ってるわけな〜い! どうしよう・・・え〜ん、ど〜しよ〜(涙)。

 ヒトミのパニックはミサトが帰宅するまで続いたそうだ。

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「もう、落ち着いた?」
 ミサトが優しく声をかける。
「すみません・・・もう・・・大丈夫です・・・」
 顔を赤くしてヒトミが答える。
『ええい! なぜ私がこんな事を経験しなくてはならないのだ! ユイ・・・恨むぞ・・・(泣)』
 帰宅したミサトに世話を(そりゃあもう色々と♪)してもらって。ようやく落ち着いたヒトミである。

「でも、びっくりしたわ〜、帰ったらヒトミちゃんが顔面蒼白で座り込んでるんだもの」
 もちろん女の子の特権? であるぺったんこ座りであった(笑)。
「えっと・・・すみません・・・(真っ赤)」

「今日はシンちゃんに頼んで、お赤飯よね〜〜♪ あれっ? シンちゃんはどこ? 先に帰った筈よね?」
 すでに帰宅している筈のシンジの姿が見えない事にようやく気付いた(薄情)ミサトが問いかける。

「あっ・・・あの・・・実は・・・・・・」
 ヒトミが今までの事を説明するとミサトは実にあっさりと、こう言った。
「あ〜あ、そりゃシンちゃんが悪いわ。ヒトミちゃんは気にする事ないわよ」

「えっ・・・でも・・・・・・」

「いいの、いいの〜。女の子はデリケートなんだから、シンちゃんには良い薬よ〜」

「でも・・・」

「デリカシーの無い男は嫌われるってね〜〜♪ 良い勉強っしょ〜♪」

「・・・・・・」
『チルドレンのメンタルケアもお前の仕事だろうが!(怒)』
 ミサトは当てにならない。そう判断したヒトミは自らシンジを探すべく出かける事にした。

「あれっ、ヒトミちゃん出かけるの?」
「はい・・・生理用品とか・・・買っておかないと・・・」

『できれば2度と使用したくないが・・・年頃の少女なら生理用品くらい自分で用意するものだろう』
 ヒトミは自分の心は男であり、少女の演技をしているだけだ。こう考えている。まあ、今の所はその通りだが、将来はどうだろうか?(邪笑)。

「ふーん、シンちゃんを迎えに行くんだぁ? ヒトミちゃん、やっさし〜♪」
 ニヤリ、という笑み付きでミサトが呼びかけてくる。

「なななっ・・・なんで・・・そんなこと・・・」

「だって、生理用品なら私のをあげたでしょー? 急いで買いに行く必要はないものねぇ〜♪」
 ミサトは邪悪な笑みを浮かべながらさらに言葉を続ける。
「生理痛を押して、探しに行くんだぁ。シンちゃん愛されてるわね〜♪」

「・・・問題ない(真っ赤)」
 生理、生理と強調され恥ずかしくなった、ヒトミの顔はトマトの様に真っ赤である。
 もっともミサトは図星を指されたゆえの反応だと勘違いしており『やっぱりね〜、シンちゃんの事が好きなのね。うんうん青春だわ〜♪』等と思っていた。

『いかん、このままでは玩具にされる』
 そう思ったヒトミは思わず逃げるように出かけたのだが・・・。

『もう、照れちゃって、ヒトミちゃんってば可愛い〜(はーと)』
 誤解が深まってしまった・・・。

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『シンジは何処に行ったのだろう・・・』
 一応、生理用品を購入した後でシンジを探すヒトミ・・・とはいえシンジはこの街に来て間がないので迷ってる可能性もある。またシンジの好みや嗜好を知らないヒトミにはシンジが行そうな場所の心当たりが無い。
ただ闇雲に探し回るのみ・・・見つからないのは当然だ・・・。

ちなみに相田ケンスケ少年に生理用品を購入する姿を目撃され、写真に撮られていたりする(笑)。ヒトミは気付いていない(今の所はだが)。真っ赤になりながら品物を受け取るヒトミはとても愛らしく、後に販売された写真にはプレミアがついたそうだ・・・。理由? 写真の事がヒトミにばれたからだ。ケンスケがボコられ、ネガは取り上げられて焼却された。だからそれまでに販売された十数枚しか写真が存在しないのである。

 それはともかくとして街をさまようヒトミに話を戻そう。
『ここにもいない・・・か・・・いったい何処にいるのだ? シンジ・・・』
 ヒトミは当ても無くシンジを探し続けていた。すでに辺りは暗く、傘をさしているとはいえ体は雨に濡れてしまい冷え切っていた。
「寒い・・・」
 自分の体を抱きかかえる様にして歩き続ける・・・。まるで迷子の子供の様に、その姿は儚く寂しげに見えた・・・。
 どの位の時間が経ったのだろう・・・ヒトミの時間感覚がマヒし始めた時だった。

 バシャッ、バシャッ、バシャッ、バシャッ、バシャッ 

 水を蹴立てて走り寄る人影があった。

「はあ・・・はあ・・・はあ・・・・・・ごめんね・・・ヒトミちゃん」
 シンジである。シンジはヒトミに駆け寄ると大胆にも抱きしめた。
「シンジ・・・くん?」
 いきなりな行動に驚き、フリーズするヒトミ・・・。
「ごめん・・・ごめんね・・・・・・」
 (僕は馬鹿だ・・・こんなに冷え切っちゃって・・・・・・体調が悪いのも知らないで・・・彼女を苛立たせて・・・・・・その挙げ句に飛び出して心配までかけて・・・ごめんねヒトミちゃん・・・)

「どうして・・・?」
 何故、シンジは自分を見つける事が出来たのか? 不思議に思い聞いてみる。
「全部ミサトさんに聞いたんだ・・・僕が馬鹿だった、ヒトミちゃんにまで心配かけて・・・本当にごめん」

 種明かしをすると、動揺していたヒトミはすっかり忘れていたのだが、チルドレンには陰ながら護衛(監視とも言う)が付き、行動を見守っている。ミサトは護衛からの報告を聞き、頃合いをみてシンジの携帯に連絡をとったのだ。
 その頃、シンジは演習ごっこ中のケンスケに出会い、ヒトミが生理用品を購入していたことを聞いていた。
「シンちゃん! ダメでしょ〜、女の子に心配かけちゃあ・・・ヒトミちゃんが探してるわよ〜」
 ミサトはシンジを優しく諭す・・・・・・。反省したシンジがミサトに教えられた場所に駆けつけて目にしたのは、今にも泣きそうな一人の少女が立ち竦んでいる姿だった。

「ごめん・・・もうこんな事はしないから・・・僕が君を守るから・・・」
 なかなか大胆な事をのたまうシンジくん・・・君の腕の中で震える少女は君の父親なんだが(苦笑)。知らぬが花とはこの事だろうか。
『何故こうなるんだ〜〜!!』
 ヒトミはシンジに抱かれながら心の中で血涙を流しながら絶叫していた。赤面症になったのか、シンジの恥ずかしいセリフを聞いただけで頬を赤らめてしまう・・・。端から見ると喧嘩して仲直りしたカップルにしか見えない。

「もう・・・良いよ・・・」
 謝り続けるシンジにヒトミが許しを与える。
「でも・・・・・・」
「良いって・・・帰ろう?」
「うん・・・」
 許してもらえるの? とシンジが爽やかな笑顔を浮かべる。抱かれたまま、その笑顔を見たヒトミの動悸が高まる。
 ドキドキドキドキ
『あっ、可愛い♪ っておい(汗)』

 二人共、顔が赤い・・・お互いを意識してしまう、自然に良い雰囲気になり唇が近づいて・・・・・・。

「お二人さ〜ん? 見せつけるのも程々にね〜ん♪」
 ミサトの声が邪魔をした・・・。何時の間にか迎えに来ていたらしい、邪魔をしたのはわざとだ、ニヤニヤと笑っている。

 あわてて離れる二人、シンジもヒトミもこれ以上はないくらいに顔を赤く染めている。シンジは『惜しかったな・・・でもヒトミちゃんって可愛い♪』等と考え、ヒトミは『危なかった・・・危うく雰囲気に流される所だった。私は何をやっているのだ?』等と苦悩していた。もっとも頬を染めて俯く姿はただ恥ずかしがってるとしか見えないのだが(笑)。

「ほらほら、二人共ぼーっとしてないで帰るわよん♪ 早くえびちゅも飲みたいしね〜♪」
 ミサトが二人を車へ誘う。
「「はい」」
 二人は思わず苦笑すると、車に向かって歩き出した。

 チャラリララ〜ン!
シンジ君の恋心がレベルアップ!
気になる人→守りたい人になりました。
親愛が10上がりました。
近親相○度が30上がりました。

 息子に恋心を抱かれ、本人もその気に成りかねない・・・ヒトミちゃんの明日はどっちだ!!

続く


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