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魔法少女リーフ

第四話 お買い物

作:優 様



 僕達が、デパートに向かっていると、
「皐月〜」
 どこからか、皐月を呼ぶ声が聞えた。
 その声に、僕達が振り向くと、皐月と同じ年ぐらいの
 セミロングの長さの髪をした少女が、僕達の方へ向かって走ってきた。
「春香、どうしたの?」
 皐月が、息を切らせて走ってくる少女に言う。
「はぁはぁ、デパートに行こうと思って歩いていたら、
皐月を見つけたから、走って来ちゃった」
 少女は笑って言う。
「皐月さん、この方は誰なの?」
 僕は皐月に、この少女は誰なのか尋ねてみる事にした。
 勿論意識しないと、こんな女言葉にはならない。
「あ、葉月ちゃんは春香の事知らないのね」
 皐月はぽんと両手で叩いて言う。
「皐月、この人は?」
 春香と呼ばれた少女は、僕を珍しいものを見るかのように見る。
「えっと、こちらは葉月ちゃん、私の妹よ」
(皐月、ちゃんと説明しないと、その発言は誤解を招くぞ)
 僕がそう思っていると、
「皐月、その説明省略しすぎよ、間違っては無いけど」
 弥生さんが注意するように言う。
「皐月、妹いたの?」
 春香と呼ばれた少女はビックリするように言う。
「ほら、誤解してるじゃないの」
 弥生さんが溜息をついて言う。
「お母さんわかったわ、葉月ちゃんは身寄りが無くて、
 私の家で引き取ることになったの」
 皐月が、今度は詳しく僕のことを説明する。
 僕のことと言っても、表面上のことだけである。

 決して、僕が魔法少女であるとか、
 元はお父さんだとか、魔法少女として未熟であるとかは言ってない。
 これを言うと、いろいろな意味で大変だからだ。
 もっとも、言ったところで信じることは無いのだが。
「そうなの?」
 春香ちゃんは僕に申し訳なさそうな表情で尋ねる。
「うん」
 僕は頷く。
「ごめんなさい、何か余計なことを聞いたみたいで」
 春香ちゃんは、僕に謝るように言う。
「でも、気にしないでいいよ、今は家族がいるからね」
 僕は笑顔で言う。
(本当は『今は』じゃなくて『今も』なんだけどね)
「でも・・・」
「う〜ん、そこまで気にするなら、友達になってくれる?
 僕にはこの辺りに知り合いがいないから」
 僕は春香にそう言うと、春香は表情を明るくして、
「いいわよ」と答えた。
「そういえば、あたしの自己紹介まだだったね、
あたしは、山口春香よろしくね、あたしのこと、
春香って呼んでね。
皐月とは幼稚園から一緒なの」
 春香は一通りの自己紹介を終える。
「僕は、小笠原葉月よろしくね、春香さん」
「さん付けはいらないわよ」
「でも、皐月さんにはさん付けしてるから」
 僕がそう言うと、春香ちゃんは少し考えて、
「それなら、ちゃん付けで呼びあおうね」
 と、笑顔で言ってくれた。
「うん」
 僕はそれに頷いた。
「二人とも自己紹介が終ったみたいね」
 弥生さんが、微笑みながら言う。
「それで、春香はどうするの? 私達もデパートに行くのだけど」
「春香ちゃんが良かったら、一緒に行きます?」
 皐月と弥生さんが春香ちゃんに尋ねる。
「いいんですか?」
「勿論」
 春香ちゃんの問いに皐月が答える。
「人数は多いほどいいものよ」
弥生さんはその理由を説明する。
「では、ご一緒させていただきます」
 春香ちゃんはそういうと、ぺこりと御辞儀をする。
 こうして、僕達は4人でデパートへ行く事となった。
 20分後、デパートに到着した。
「お母さん、最初はどこに行くの?」
 皐月が弥生さんに尋ねる。
「そうね、最初は家具を買いに行きましょう」
 弥生さんが皐月の疑問に答える。
(家具?何か必要な物あったかな)
「葉月ちゃんの使ってたものは、古くなったから、買い換えようと思ってるんだけど、どうかな?」
(なるほど、僕に必要な家具って言うのは、皐月の部屋にあったものか)
「でも・・・・・」
 僕は春香ちゃんがいるため、即『お願いします』とは言いにくいのだ。
「葉月ちゃん買って貰いなよ」
 皐月がそれを勧めるように言う。
 皐月は僕の言いたいことが、わかったようだ。
「葉月ちゃんは気にしなくていいのよ、葉月ちゃんも今日から、家族の一員になるんだから」
 弥生さんも理解している。
「今日から?」
 春香ちゃんが、不思議そうに言う。
「うん、買い物が終った後に役所に行って、手続きをするの」
 僕は、春香ちゃんの疑問を取り去るために言う。
 まあ、そのうち行くことになってるから、嘘にはならないだろう。
「それでは、お言葉に甘えます」
 僕はぺこりと御辞儀をして言う。
 そして、僕達は家具屋に向かった。
 その途中、皐月が春香ちゃんに、
「春香は別のところに行く予定があるのなら、無理に来なくてもいいわよ」
 と言うと、春香は「一日御一緒するわ」と言って、全部一緒に回る事となった。
 そんなやり取りが会った後に、家具屋に着いた。
「どんな家具がいるんだ」
 僕は弥生さんに近づいて、ささやくように言う。
「そうね、洋服ダンス、クローゼット、鏡台、あと模様替えに必要な物ね」
(予算は大丈夫なのか?)
 僕の頭の中にその言葉が浮かんだ。
「予算は、和樹さんの蓄えが結構あるから大丈夫よ」
 と、僕の考えていることを読んでいるかのように言う。
 そう言うと、弥生さんは中に入って行った。
 それに、ついて行くように、僕と皐月、春香は中に入っていく。
 中に入ると、色とりどりの家具(と言っても、ほとんどが木製で、色は、木その物の色なのだが)がある。
「何にするの?」
 と、弥生さんが僕に聞いてくるが、
「弥生さん、どれが良いか選んでいただけます?」
 と丁寧口調で言う。
「そうねえ・・・・・・・」
 と言うと、弥生さんは適度な大きさの、物を選ぶ、
 僕はその選んだ物の、色を指定することで、
 あっさりと、家具屋での買い物は終了した。
 買った物は、そのまま持って帰ることは不可能なので、
 翌日届くように、弥生さんが配達を頼んだ。
 ちなみに、色を指定したのは、クローゼットのみだった。
 洋服ダンスは木製で、鏡台も弥生さんが指定した物に異存が無かったからだ。
 弥生さんが配達を頼んでいる間、
(これが僕の部屋に入るのだろうか?)
 と、僕は考えていた。
「次は、下着ね」
 弥生さんがそう言うと、僕は溜息をついた。
(あそこに行くのか・・・・)
 普通女性の下着売り場に男は行かない。
 まあ、ごく稀に買いに来る人もいるだろう。
 宴会用とか、ニューハーフの人などが例?にあげられる。
 そう考えているうちに、婦人用下着売り場に到着した。
 その中に入ると、僕の視界にカラフルな物が目に入った。
 そして、顔が真っ赤になっていくのを感じた。
「葉月ちゃん、どれにする?」
 弥生さんがそんな僕を気遣ってか、そう声をかけてくれた。
「弥生さん、これはどうやって決めるの?」
 僕は、弥生さんに聞えるぐらいの声で言う。
「自分のサイズがわかっていれば、自分で決めればいいけど、葉月ちゃんサイズは・・・・わかるわけないわね」
(わかるわけ無いよ、昨日女の子になったばかりなんだから)
 弥生さんのその言葉に僕はそう考える。
「そうね、店員さんに測ってもらいましょう」
 弥生さんはそう言うと店員さんを呼ぶ。
「何か御用でしょうか?」
 店員さんが来て、用件を伺って来る。
「この娘のサイズを測って欲しいんですけど」
 弥生さんがそう言うと、店員さんは不思議そうな顔をする。
 おそらく、この年ぐらいになると、自分の物は自分で買いに来るからだろう。
「実はこの娘、かなりの恥ずかしがりやさんなんです」
 弥生さんは店員さんに説明する。
 弥生さんが説明すると、店員さんは納得したように「それでは、こちらにどうぞ」と言う。
 僕は店員さんについていくと、個室に通された。
「すみませんが、服を脱いでもらえますか?」
 店員さんは僕に言うと、
「脱がないとだめですか?」
 と僕は反論するように言う。
(人に裸を見せないといけないのか、なんだか恥ずかしいな)
「服の上からでも、測ることはできますが・・・・」
 と言って、店員さんは言うのを止める。
(どうしたのだろうか?)
「途中で言うのを止めないで下さいよ、気になります」
 僕は店員さんが言いかけた事が気になり、尋ねてみる。
「でも・・・・」
 店員さんは言い辛いみたいだ。
「言ってください、気になりますから」
 僕は店員に迫るように言う。
 言いかけた内容は気になる物だ。
「失礼ですが、お客様の胸の大きさでは、服を脱いで頂かないと、サイズはまったくわかりませんので」
(なるほどね)
 僕は店員の言葉に納得する。
 今は、自分の胸が小さいことなどは、気にしていないからだ。
 いきなり昨日女性になったことに比べれば、胸の大小などは、些細なものだろう。
「それなら、仕方ないですね」
 僕はそう言うと、着ていた服を脱ぎ始める。
「済みません、失礼なことを言ってしまいました」
 店員さんは申し訳なさそうに言う。
「気にしないで下さい、僕が望んだことですから」
 僕がそう言うと、店員さんは安堵の表情を見せ、
「それでは、サイズを測らせて頂きますね」
 と言って、僕の体にメジャーを当てる。
 そして僕の3サイズを測ってもらった。
 測ってもらっている間、僕は恥ずかしくて逃げ出したくなった事は内緒だ。
 そして、僕の3サイズは・・・・これも内緒だ。
 これを言うと、皐月に何をされるかわからないからだ。
 サイズを測り終わると、店員さんに、ブラジャーを持ってきてもらった、
 色々と、試してみたが付けたときの感触が微妙に違う。
 自分に合うものを5つほどショーツと一緒に購入した。
 下着を購入した後に、皐月は近くに来て、
「葉月ちゃん、下着はどうだった?」
 と悪戯っぽく微笑んで言う。
 その言葉に、僕は顔を赤くする。
 春香ちゃんは皐月の隣で、その言葉で顔を赤くした僕を不思議そうに見ている。
 この年ぐらいの女の子は、こんなことぐらいでは驚かないのだろうか?
「皐月、葉月ちゃんをからかわないの、葉月ちゃんは恥ずかしがりやさんなんだから」
 弥生さんは皐月への注意と、春香への説明の意味をこめて言う。
「弥生さん、ありがとうございます」
 僕は弥生さんに感謝するように言う。
「葉月ちゃんは家族になるんだから、私のことは『お母さん』と呼んでね」
 弥生さんは右目でウインクして僕に言う。
「はい、お母さん」
 僕は弥生さんに言われた通り、言ってみるが、違和感を感じざるをえなかった。
 僕から見れば、昨日の妻が今日は母親なのだ。
 違和感を感じるのが、普通だろう。
 僕がそんなことを感じていると、
「次は洋服を買いに行きましょう」
 と弥生さんが言うと、僕達は下着売り場をでた。
 下着売り場を出ると、何となくホッとする。
 まだあの場所に慣れてないためだろう。
 僕がそんなことを感じていると、婦人服売り場に着いた。
 婦人服売り場に着くと、皐月と春香は目の色を変えて中に入っていった。
 どうしてだろうと、僕は辺りを見回した。
 そして、広告を見つけて、成る程と納得した。
 看板には『冬物売り尽くしセール 冬物は全品半額』と書いてある。
 多分、春香ちゃんがデパートに来たのは、このためだろう。
「あれが目的だったのか?」
 僕がそうもらすと、
「女の子は、少ないお小遣いをやりくりして、自分洋服を買うのよ」
 弥生さんは、皐月と春香ちゃんの行動の説明をする。
「僕には、まだわからないよ」
 僕が溜息をついてそう言うと、
「そうね」
 と弥生さんはクスッと笑って言う
「僕達は何を買うの?」
 僕は弥生さんに質問してみる。
「そうね、少し冬用のものを買って、後は夏用と春用の物をそろえないと」
 弥生さんは少し考えて言う。
「あの中に入るの?」
 僕は、半額セールに群がっている女性達を指差して言う。
「予算はあるから、他のものを探しましょう」
「そ、そうだね」
 僕は、あの中に入る自信はなかったので、ホッとする。
「最初は春用のものを買わないと」
 弥生さんがそう言うと、僕と弥生さんは、
 売り尽くしセールの場所から少し移動する。
 すると、ものすごい数(元男から見て)の洋服が目に入った。
「この中から選ぶの?」
 僕は、弥生さんに質問するよう聞いてみる。
「そうよ」
 弥生さんは即答して、
「7〜8着程選んでね」
「そんなにいるの?」
 僕は驚いた、男のときは服など、3〜4着ほどあれば十分だったからだ。
 僕があまり外を出歩かないからかもしれないけど。
「これでも少ないくらいよ」
 弥生さんが、やれやれといった感じで言う。
「サイズは今さっき測ったからわかるわね」
 弥生さんが言うと、僕はこくりと頷いた。
「一応、決まったら私に見せてね。葉月ちゃんにファッションセンスがあるとは思えないからね♪」
 弥生さんは何か嬉しそうに言う。
「・・・・・・」
 僕にファッションセンスがないのは認めよう、何故それを嬉しそうに言うんだ?
 僕が不思議そうな顔をすると、
「昔は皐月と一緒に洋服を選んでたわ、でも、あの娘は自分で選ぶようになったから、今日、葉月ちゃんと一緒に選ぶことができるのが嬉しいの」
 弥生さんが、嬉しそうにしていたわけを説明する。
「皐月はもう中学生だからな」
 僕は父親として、意見を言う。
「そうね、でもここでその言葉遣いやめてね」
 弥生さんは僕に微笑みながら言う。
「わかったわ、お母さん」
 そう言うと、僕は洋服を選びに行く。
 まずは、ワンピースを探そうと思い、自分に合う色の物を探す。
 そして、皐月の物と一緒のワンピースを見つける。
 純白のワンピースだ。
(皐月はこのワンピースお気に入りって言ってたな)
 と思い、昨日自分がそのワンピースを破った事を思い出す。
 不可抗力とはいえ、罪悪感を感じる。
 僕はそれと同じ物の、淡い黄緑の物と白いワンピースを選び、
 弥生さんに見せに行く。
 弥生さんに、選んでみた物を見せると、
「葉月ちゃん、それは皐月が持ってなかった?」
「うん、昨日着てみて似合ってたから、欲しくなったの」
 僕は女の子らしくして言う。
「試着はしたの?」
「ううん、まだよ」
「一応着てみたほうがいいわ、同じ物に見えても着心地が違うことがあるわ」
 そして、弥生さんと一緒に試着室へと行く。
 僕は試着室に入ると、選んだ物を試着してみる。
 着心地は昨日のワンピースより良かった。
 よく見ると、材質は絹とかいてある。
 そして、弥生さんに見せる。
「葉月ちゃん似合ってるわよ」
 と言ってくれた。
 そしてもう一つの方も試着して、弥生さんに見せると、
「これも買いましょう」と言ってくれた。
 その後、僕は弥生さんに言って、今度は一緒に選んでもらうことにした。
 最初から、こうした方が良かったような気もするけどね。
 弥生さんと一緒に選んだ結果。
 白と水色のブラウスとそれに合わせた色のギャザースカート。
 夏用に、白と薄い緑色をした、サマードレス。
 今回は冬用を見送る事となった。
 後数着、弥生さんが決めてくれた服とスカートを買うことになった。
 僕としては、女性用のジーンズも欲しかったのだが、
 弥生さんに却下されてしまった。
 精算の時数万かかったことにはビックリした。
 そして、皐月たちはこんな高い物を、
 小遣いのやりくりで買っているんだなと感心した。
 弥生さんにそのことを聞くと、
「女の子って、そんなものよ」
 と、それが当たり前のように言う。
 そして、弥生さんは皐月たちを呼び、
 婦人服売り場を後にした。
 これで、僕に必要な物がそろったため、
 地下食料品売り場に行くことになった。
 そして、必要な食材を買い、デパートをでるとき、
 僕はあることを思いついて、
「皆は先に帰っていて、僕はちょっと用事があるから」
「用事って?」
 皐月が質問してきたが、
 僕は「内緒♪」と言って、デパートの中に入っていった。
 僕はデパートに入ると、洋服売り場を目指した。
 その途中に、レンタルビデオの店が目に入り、
(ここのところビデオを見てないな)と思いつつ中に入っていく。
 中に入って、色々な物を探してみる。
 そして、色々な物を見ているうちに、
 あるコーナーが目に入った。
『魔法少女』と札に書かれている。
 何となく気になり、そのコーナーに行ってみると、
 ミンキーモ○、魔法使い○リー、魔法のステージ・ファン○シーララ、
 おじゃ魔○どれみ、あかずきんチャ○ャ、ETC・・・・・
 などが目に入ってきた、中には、自分が幼少の頃に、放映していた物もあった。
(結構多いな)
 僕はこの量の多さに、感心していた。
 そのうち、自分もこの中に入るようになるのだろうか?
 そして、奥の方に入っていくと、
『TS魔法少女』と言う札がかかっていた。
(TS魔法少女って・・・・)
 勿論TSとはトランスセクシャルの略である。
 しかし、それに魔法少女がついている。
 僕は、その中に吸い込まれるように入っていった。
 その中に入ると、三つの作品が並べてあった。
『魔法少女ラスカル・ミーナ』
『魔法少女♪奈里佳』
『魔法の双子みらくる☆ティンクル』
 僕は少しあらすじを見て、
 自分の境遇に似ている所があることから、
 今後のことで、何か参考になると思い、
 全巻をレンタルした。
「明日ゆっくり見よう」
 そう独り言をもらすと、
 僕は、デパートに入った、本来の目的を済ますために、
 洋服売り場へと歩き出した。
 そして、洋服売り場に着くと、僕はさっき買った白いワンピースと同じで、
 サイズを皐月に合わせたものを購入した。
 昨日、これと同じ物を不可抗力とはいえ、駄目にしてしまったから、
 その代わりである。
(皐月受け取ってくれるかな?)
 と思いつつ、商品を受け取った後、デパートを後にした。
 その帰り道、皐月と春香が歩いているのを見かけたので、
 声をかけてみた。
「葉月ちゃん用事は終ったの?」
 皐月が僕の声に振り向いて言う。
「うん、終ったよ」
 僕はにっこり微笑んで言う。
「用事ってもしかしてその紙袋の中身?」
 春香は僕が提げている、紙袋を指して言う。
「うん、これを買いに行ってたの」
 僕は、春香の質問に答え持っていた紙袋を、
 皐月に手渡す。
「私に?」
 皐月は少し驚いたようだ。
 そういえば、僕は皐月にこういうものをプレゼントした覚えがないな。
 そんなことを考えていると、
「中を見ていい?」
 皐月は早く中身を見たいようだ。
「どうぞ」
 僕がそう言うと、皐月は袋を開けて、中を見る。
「これって」
 皐月はそう言うと、僕のほうに視線を向ける。
「昨日、皐月さんのお気に入りを駄目にしちゃったから、その代わりにね」
 僕は、頬を人差し指でかきながら、照れくさそうに言う。
「お父さん、ありがとう」
 皐月はそう言うと、僕に抱きついてきた。
「さ、皐月、春香ちゃんがいるんだぞ」
 僕がそう言うと、皐月はハッとしたような顔をして、僕から離れる。
 そして、僕と皐月は春香ちゃんの方へ目をやると、
 春香は目が点になっていた。
 目が点になって数秒後、ようやく焦点が定まり口を開く。
「皐月・・・・・今、葉月ちゃんにむかって『お父さん』って言わなかった?」

続く


後書き まずはごめんなさい、今回もリーフとしての出番はありませんでした、
次話では、何とかしたいと思います(汗)

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