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魔法少女リーフ

第九話 忘れられた戸籍(前編)

作:優 様



窓からの日差しによって僕は目覚める。
女の子になってから四日目の朝を迎えた。
最初は戸惑ったこの身体も次第になれてきたような気がする。
起き上がって軽く背伸びをすると、鏡を覗いて軽く寝癖の着いた髪を梳かす。
何時の間にかこれが日課になっているのでは?と髪を梳かしながら苦笑していた。
髪を梳かし終わり箪笥から下着を出して着替えているところへ・・・、ドアがばたんと開かれ樹が勢いよく中に入ってきた。

「と、と、父さんたいへ・・・・」
樹は全部言い終える前に絶句してしまった。
当然といえば当然だろう、その時僕はブラジャー相手に苦戦しているところで、
樹が入ってきたことに驚き、それを床に落としてしまった。

「樹・・・一体どうしたんだ?」
僕は樹が突然中に入ってきたことに驚き、理由を聞こうとするが、
樹は僕の身体を指差し「は、は、は、・・・・・・」

「は?」
僕は樹の言葉に首を傾げる。
そして樹の指差した所に目をやると・・・・・・僕は自分が裸にあることに気付き・・・・・・、
頬が真っ赤に染まり、大声で悲鳴をあげてしまった。

「ご、ご、ごめんなさい」
樹は僕の悲鳴を合図に急いで部屋を出る。
それと同時に、廊下を誰かが走る音が聞える。

「樹、そんなところで何をしてるの?」
と、これは皐月。

「葉月ちゃんはどうしたの?」
これは弥生さん。

「一体何があったんだ?」
そして、言うまでも無く和広さん・・・達の三人の声が聞こえる。
しかし、樹はこれに答えなかったみたいだ。
答えられる筈も無いし、答えたとしたら何をされる事やら。
そして、三人が僕の部屋のドア(樹が開けたまま)にたどり着くと、
三人は硬直する(僕は顔を真っ赤にしておろおろしていた)・・・・。

「「は、葉月ちゃん!?」」
と弥生さんと皐月の両名は僕のあられもない姿を見て驚く。
ちなみに和広さんは、直にその場から離れ、樹に事情を聞いていたらしい。

「あ、皐月、弥生さん・・・・」
僕は両名が叫ぶ声にハッとして弥生さん達のいる方に振り向く。

「一体どうしたの?」
弥生さんが心配そうに尋ね、

「も、もしかして樹がやったの?」
皐月が驚いたまま僕に尋ねる。

「え〜と・・・」
僕が質問に戸惑っていると・・・・・。

「困る前に何か着て」
弥生さんに言われて僕は慌てて服を着始める。

「で、何があったの?」
僕が服を身につけようとしているときに、皐月が質問する。

「うん、僕が下着(ブラジャー)をつけようとしていたら、樹がノックもせずに慌てて中に入ってきて何かを言おうとしていたみたいで、
それを言い切る前に、樹は僕が裸である事に気付いて慌てて出て行ったんだ」
僕は多少嘘を混ぜて言った。
全てを隠さず言うと、弥生さんはともかく皐月の性格を考えると樹に容赦しないだろう。
そう思った上での嘘だ。

「それじゃあ、葉月ちゃんが悲鳴をあげる前に樹が出て行ったのね」
弥生さんの問いかけに僕は頷く。

「お祖父ちゃん、樹、入ってもいいわよ」
僕が着替え終わったのを確認して、皐月が廊下にいる二人に声をかける。
皐月に呼ばれて二人は何かばつが悪そうに入ってきた。

「さあ樹、どうして葉月ちゃんの部屋にノックもせずに入ったのか説明してくれるわよね」
皐月は冷笑を浮かべて弟に尋ねる。
その理由がたいした事が無ければ直にでも襲い掛かる(言い方は悪いが)気だ。

「皐月・・・そんな言い方したら樹が話せるものも話せなくなるじゃない」
弥生さんは溜息まじりに言う。
この状況では樹がどうして慌てたかによって運命(皐月に酷い目にあわされる)が決まるといってもいいのだが・・・。

「樹、その手に持っている葉書が原因か?」
僕は樹が持っている葉書を見つけて、尋ねる。

「あ、うん、父さんこれを見たら驚くよ・・・」
樹はおずおずしながら手紙を僕に差し出す。

「何々・・・・」
僕はまず手紙の差出人の確かめる。
対馬真樹・・・・・僕の妹の名前だ。


『親愛なる和樹兄さんへ
瑞樹兄さんと私が同じ日に休暇が取れましたので、
この手紙が届く翌日に、瑞樹兄さんと一緒に樹君と皐月ちゃんの中学校入学祝を持参し、
そちらに参りますので、くれぐれも外出などしないようにお願いしますね♪』
と書いてある。
簡単に要約すると、せっかくの同じ日に休暇をとって祝いに行ってやるんだから、
勝手に外出するなよというものだ。
我ながらかなり乱暴な要約だと思う。

「ええええぇぇぇ〜〜〜」
と僕は悲鳴に近い叫び声を上げてしまった。
何故僕の兄妹が来る事に悲鳴をあげるのかというと、

僕は三人兄弟で上に三つ違いの兄がいて、下に十違う妹がいる。
兄はごく普通の独身サラリーマンでごく普通の人である。
子供がいないため、ここに訪れて樹と皐月を良く可愛がってくれる。
兄はいいのだ、兄は・・・。

問題は妹の真樹である。
僕が中学生になった頃は、ゆっくり玄関まで歩いてきて見送ってくれる可愛い妹だと思っていたのだが・・・・。
僕が高校生、社会人になるに連れて、凄まじいブラコンぶりを発揮していったのだ。
例えば僕が高校生の頃・・・真樹が小学校一年生の時・・・僕が高校から帰るのを校門の前まで毎日迎えに来る。
もし、家に彼女でも連れてきて真樹がいたりしたなら、真樹は必死になって彼女を追い返そうとしたものだ。
その方法は様々で、昆虫類、爬虫類を投げつけたり、お茶に山葵を入れたり、靴の中に画鋲を入れたりと、
とても小学生とは思えないような嫌がらせをしていた物だ。
おかげで僕には女性が寄り付かなくなった。

特に弥生さんとの結婚の時など大変だった・・・「お兄ちゃんに裏切られた」「捨てられた」「どうしても結婚するんだったら自殺してやる〜」など、過激な事を言って僕と弥生さんを困らせていたのは(脅していたとも言う)忘れられない一こまだった。
結婚してから、弥生さんへの嫌がらせがなんとかやんだ物の、僕を訪ねてきては抱きついてくるのだ。
弥生さんも妹だからと仕方がないと言ってその事については諦めている。
そんな感じで今でも尋ねてきたら『お兄さん久し振り〜』と言って抱きついてくるのだ。
ちなみに僕がたまたま外出していない日に尋ねてきた時には、僕の代わりに皐月や樹に抱きついたり、頬ずりしたりなど僕の代わりに可愛がられているのだ(本人曰く)。
つまり、樹が慌てた理由は真樹が来る→父に会いに来る→父はいない(本当はいるが)→自分にとばっちりが来る。と推測できる。

「ど、どうしたの?葉月ちゃん」
弥生さんは僕が悲鳴に近い声をあげたため、心配そうに僕を見つめる。

「ど、ど、どうしよう・・・」
僕は酷く動揺したせいか、葉書を手から落としてしまった。
落ちた手紙を弥生さんが拾い上げ、和広さんと手紙を読んで、

「・・・・これは、ごまかすしかないわ」
少しの間をあけて一言。

「わしもそうするしかないと思う」
和広さんは弥生さんの意見に賛成のようだ。

「・・・つまり俺と皐月姉さんで、真樹叔母さんの相手をしなきゃいけないのか?」
樹は露骨に嫌そうな顔をして言う。
無理も無い、真樹の相手をするということは樹が女装をさせられる事を意味するのだ。
今でこそほとんど行われない事だが、樹は年に1、2回女装をさせられている。
真樹は僕がいない時に尋ねてくると、樹と皐月のどっちが可愛いかを樹に女装をさせて比べて遊ぶのだ(あくまでも本人は可愛がっていると言っている)
何故かその結果は樹の方が可愛いと言う結論に達しているのだからわからない。
一度外出もした事もあるらしいのだが、樹に視線が集中して居心地悪かったと皐月はもらしていた。
樹の方は恥かしさが先行して視線を感じる暇は無かったらしい。
と言う事から、僕がいないときの真樹の往来は子供達にとって苦痛でしかなかったようだ。
もう、二十代後半にさしかかろうとしているのにこの妹はまだブラコンが抜けないのである。

「樹、皐月、兄さんが一緒に来るから真樹のことは大丈夫だと思うぞ」
僕は何か覚悟を決めようとしている樹達に慰めの言葉をかける。

「でも、瑞樹伯父さんってお父さんのお兄さんだから・・・・・・」
皐月が何か含んだような言い方をする。

「それどういう意味?」
僕は少し怒り口調で言う。
何となく言いたい事がわかるからだ。

「そうね、瑞樹さんも和樹さんも、真樹さんの押しには勝てないわ」
うう、皐月だけでなくて弥生さんまで・・・・。
僕はいじけに入ってしまった。

「どーせ、どーせ」
僕は畳に向かって9の字を書き始めた、『の』の縦に書いたため9になっている。

「葉月ちゃん、いじけてる場合じゃないぞ、早く対策を立てないと・・・」
と言う和広さんの言葉に耳も貸さず、僕は30分いじけ続けた。
無意味に僕がいじけた時間30分が過ぎると、真剣に僕の兄妹が来る事に対してどう対応するかの家族会議を始めた。

「どうしたものかな?」
僕はテーブルに頬杖をついて呟くように言う。

「すまない、わしの不注意から始まった事だ」
「「お父/祖父さん、それはいわないで」」
和広さんの一言に僕と弥生さんが同時に反応する。

「しかし・・・」

「今はそんなことを言ってる場合じゃないでしょ」

「そうだよ、そんなことは後で議論すればいいんだよ」
子供達が祖父に対して『今は関係ないから気にしないで』と遠回しに言う。

「そうだな・・・」
和広さんも孫達の言いたい事がわかったのか頷くような素振りを見せた。

「それで本題に戻るけど・・・」

「そうね、どうした物かしらね・・・」
弥生さんも溜息まじりに答える。

「葉月ちゃんが今日家にいなければ良いんじゃない?」

「じゃあ、姉さんは突然真樹さんや瑞樹さんが尋ねて来た時、どうするつもりなんだ?」
皐月の提案に樹が質問をする。

「友達だって言えばいいわ」

「皐月・・・葉月ちゃんは養子としてここに来る事になっているの、だから友達だって嘘をついてもすぐにばれてしまうわ。
そのときにどうして嘘をついたのか問われる方がずっとよくないと思うわ」
皐月の樹への解答に弥生さんが反対する。

「それならお母さんはいい案があるの?」
弥生さんに反対された事に怒ったのかはわからないが、皐月が弥生さんにくらいつくように質問する。
「そうね・・・やっぱり和樹さんが葉月ちゃんを連れてきて『この娘は友人の娘で友人が亡くなって身寄りが無くなり可哀相だから家の養子にすることにした』とでも言えば疑わないと思うわ」

「それが一番言い方法だろうね」
僕はそれに頷くと同時に、ピンポーンと玄関のチャイムが鳴る。
それと同時にこの場にいる家族全員に戦慄が走った。

「ど、どなたでしょうか?」
弥生さんが恐る恐るドア越しに尋ねる。

「すみませーん、デパートの者ですけど、ご注文の品をお届けにあがりました」
その声を聞いた途端家族全員が安堵する。
実際僕の兄妹が来るのは変わらないのだが、なぜかほっとする。

「はーい」
弥生さんがドア越し返事をし、ドアを開く。

「えっと、お届けの品は家具が数点ですがあってますね?」
開かれたドアの前に引越し屋らしい男性が立っており、注文の品の確認をする。

「はい、あってますよ」
弥生さんがその男性に間違っていない事を伝える。

「中に持ち運んでよろしいですか?」
という男性の質問に、
「ええ、どうぞ」
と言って、僕の部屋へ案内し、運び込んでもらう。
数十分後、家具の配置は終わり、僕の部屋は仕事に関する物以外は、女の子の部屋と化した。
純白のカーテン(これは普通)、木製の洋服箪笥、少々値が張りそうな姿見など等、そして、何故か全長1億ナノメートル(1m)がうりとかいてあるの巨大なハムのぬいぐるみが机の横に置かれていた。

「このぬいぐるみは?」
弥生さんに買うときはなかったはずのぬいぐるみがあるのか聞いてみると、

「何でもキャンペーン中で、ある程度の額の買い物をするとついてくるらしいの」
という事でどうやら、非売品のおまけらしい。
ある人が聞いたら、きっとほしがるだろう。

「一つ聞いていいかな?」

「何?」

「僕の部屋にこの家具を持ち込んだのはいいんだけど・・・・、兄さんや真樹が僕の部屋に入ったらどう思う?」
僕は今作られた心配事をどうするか弥生さんに尋ねる。

「部屋に入らなければ問題はないわ」
「真樹が僕の部屋に入らないと思う?」
と言う僕の回答に弥生さんは沈黙してしまう。

「・・・・・・無理よね」
数分後、弥生さんの口から出た一言はそれだった。
そして、再度家族会議に掛けようとしたところで・・・・。
ピンポーン・・・・チャイムが鳴る。
状況が状況であるため、「ギクッ」・・・と家族全員が飛び上がりそうになったのは言うまでもない。
弥生さんが玄関に近づき、「ど、どちら様でしょうか?」
と、驚きを隠せないのか声が裏返っている。

「和樹の兄の瑞樹です」

「す、すぐ開けますので」
まだ声が裏返っている弥生さんである。
がちゃ、ドアを開くと。
背の高い男性と、20代の若くて奇麗(性格はともかく)な女性が現れる。

「ご無沙汰しております」
背の高い男性が丁寧に御辞儀をして挨拶をする。

「お久し振りです、瑞樹伯父さん」
いち早く落ち着きを取り戻した皐月が挨拶をする。

「大きくなったね皐月ちゃん、以前あったのは二年前だったかな?」
弥生さんが動揺している事に気付くことなく、皐月に兄さんの注目がいく。

「1年半ですよ」
と言う具合に兄さんと皐月が話し始めた。
一緒に来た真樹はというと・・・・。

「樹君久し振り、元気にしてた?」
僕がその場に居ない(本当は居るが)からか樹に目標?を定め話し掛ける。

「お、お、お久し振りです、真樹叔母さん」
樹がそう言うと、慌てて口を両で塞ぐ。
どうやら真樹に『叔母さん』はまずいようだ。

「樹くーん、お姉さんと呼びなさいって言ってるでしょ!!」
言うが早いか行動に移るのが早いか、僕が樹に視線を移した時には樹はグリグリの刑に処されていた。

「ごめんなさいは〜?」
真樹が樹苛めながら言う。
ちなみに居たらとめてくれるはずの兄さんは皐月と喋っていてそれに気付かず。
弥生さんとめるべきか迷っており、真樹を止めてくれる人は実質居ない状態だった。

「こら真樹やめないか、その状態じゃあ樹が何もいえないだろう」
今の自分の状態(子供の女の子のになっている事)を忘れてつい言ってしまう。
慌てて口をふさぎ、どういう反応をするか少し見ていると、

「樹君この娘だれ?」
お決まりと言えば、お決まりともいえる反応なんだけど・・・、
気付くの遅いよ・・・と心の中で突っ込む。

「えっと・・・・」
僕の一言のおかげ(?)かとりあえず真樹の刑から逃れたのだが・・・
樹は僕が何故ここにいるかを問われていた。

「真樹さん私から説明するわ。

「この娘は和樹さんの友人の娘で、その友人が亡くなって身寄りがないらしくて、
このままでは孤児院に行くしかないみたいだったのよ。
それでは友人に申し訳ないしその娘も可哀相だからうちの養子として引き取るって和樹さんが少し前に連れてきたの。もう養子として戸籍に入れてるわ」
弥生さんが僕の説明を淡々とこなす。
今さっき樹苛められていたのを止めるのを迷っていたのが嘘のようだ

「は、葉月です、初めまして」
僕は弥生さんの説明にあわせて、挨拶をする。

「あ、初めまして、和樹の兄の瑞樹です」
瑞樹兄さんは簡単な自己紹介をする。

「和樹さんから聞いています、真面目な人だそうですね」
僕は何となくいつも兄に対して思っていた印象で言う。

「ありがとう」
瑞樹兄さんは照れくさそうに言う。

「ね、私の事はなんて言ってた?」
真樹が興味津々に尋ねてくる。

「え・・・と、我が儘で手がかかるけど可愛い妹だって言ってました」
そう言った後、弥生さん頷いていたのは真樹は気付かなかったようだ。

「う・・・・」
僕のもっていた印象の感想は真樹の顔を引きつらせた。
後半は納得してるみたいだけど前半に対しては納得していないようだ。

「・・・本当に兄さんがそう言ってたの?」
「はい」
「う〜」
真樹は不満そうな顔で僕をにらむ。
正直に言ったらまずかったかな?
そう思うものの真樹が手を出して来なかったのでよしとした。
それから、のんびりと雑談をしていると。

「そう言えば和樹は?」
瑞樹兄さんは思い出したように言って、僕の姿が無いことに気付く。

「仕事に追われてるんじゃない?」
真樹は僕が仕事のためでてこないと思っているようだ。

「そ、そうなんだ父さんは仕事中なんだ」
樹は慌てて僕が出てこない事を仕事のためであと言う真樹の意見に同調する。
しかし慌てすぎて逆に怪しく見える。

「弥生さん、そうなのか?」
瑞樹兄さんは確認を取るかのように弥生さんに尋ねる。

「はい、今は仕事に集中したいみたいですので、会えないと」
落ち着いている弥生さんは淡々と答える

「そうですか・・・・しかしこの娘を引き取った経緯を詳しく聞きたいので呼んでもらえませんか?」

「和樹さんは『気が散ってしまうと困るから誰も通さないでくれ』と言ってましたので・・・」
弥生さんは申し訳なさそうに回答する。

「それならば仕方ないですね、和樹にはまたの機会に問いただしてみます」
瑞樹兄さんはあっさり引き下がった。
仕事の話を出されたからかな?

「真樹残念だったな、おまえは久しぶりに和樹の手料理を食べられると楽しみにしていたのにな」
瑞樹兄さんは真樹の方に向き直って少し残念そうに言う。

「兄さんもでしょ」

「はは、ばれたか」
真樹のつっこみに瑞樹兄さんは笑ってこたえる。
つまり・・・二人とも入学祝いにかこつけて僕の手料理を食べに来たと言うこと?
僕は困惑のしてしまう。
そこまでして僕の手料理を食べに来るのを喜ぶべきか、呆れるべきか・・・と。

「あ、そうそううっかり忘れるところでしたがこれを」
瑞樹兄さんは少し大きめの直方体の箱を二つ弥生さんに渡す。

「お義兄さんすみません」
弥生さんはお礼を述べて箱を受け取る。

「制服です、俺は図書券や文房具券にした方がいいと思ったんですが、
真樹がもう注文してて・・」

「あ、酷い、瑞樹兄さんが私に押しつたんでしょ」
真樹は頬を膨らませすねたような仕草をする。
成人して数年になるがまだ子供っぽい所は抜け切れていない。
まあそこが真樹らしいのかもしれないけど。

「まあ、袖を通してみてください、サイズがあわなければかえてきますので」
そう言われ、弥生さんは瑞樹兄さん進めるがままに箱を開けてみると・・・
両方とも女子用の制服だった。

「受注ミスかな?」
中をのぞき見て僕は口に出してしまう。

「真樹?」
一堂が真樹に視線を注ぐ。

「樹君って女の子でしょ?」
真樹は僕たちの反応に首を傾げる。

「お、俺は男です」
樹は精一杯否定する。

「え?でも戸籍には性別は女って書いてあったわよ」
その真樹の一言に皆絶句してしまった。




後書き
ここのところ執筆ペースが落ちているため、
10k書くのに1週間以上かかっています(汗
次が出るのはいつだろう?(汗
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