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らいか大作戦外伝
あたしらしく

〜後編〜

作:優 さん
画:MONDO さん



一時間目の授業は社会、先生が地図の見方、縮尺などの説明をしている。
習うってこういうものなんだ。と心の中で感動しながら授業を熱心に聞く。

「そこっ」
と言う声と共に、あたしにチョークが飛んでくる。
コツン、避ける間もなくあたしのおでこにチョークが命中する。

「痛い、どうして?」
あたしはおでこを押さえて、抗議するような目で先生を見る。
自分がどうしてチョークをぶつけられたのかわからなかったからだ。

「あらっ?戸増さん起きてたの?私はてっきり寝ているものかと・・・・」
先生はあたしの抗議の解答につまる。
頼香ちゃん・・・・貴女は何時も授業中は寝ているの?
あたしは心の中で、頼香ちゃんに呆れる。

「ごめんなさい、私の早とちりだったわ」
先生はあたしに謝る。

「いえ、何時も寝ているあたしが悪いんですから仕方ないですよ」
あたしはいつもの自分が悪いと言う風に謝る。

「変ね、戸増さんが寝ているときに、いくら投げても当たらなかったのに、
今日に限ってどうして・・・・」
先生は首を傾げて呟くように言う。
なるほど、頼香ちゃんは教科書にオーラを展開して、チョークをそらしているのね。
普段からこんな訓練をして、オーラ力を高めていたのね。
あたしは、頼香ちゃんのオーラ力の使い方に感心する

「先生もう気にしないで下さい、あたしは平気ですから」
あたしのその言葉にクラスの皆が驚き、
そして・・・・・隣同士で私語をはじめる。

「戸増が『あたし』って自分の事言ってるぞ」
「頼香ちゃん、熱があるんじゃない?」
「いや、恋人に言われてやってるんじゃないか?」
「多分罰ゲームでしょう」
「いやいや、ある刀に触ってあんな風にしか話せなくなったんだよ」
「でも頼香ちゃん変身してないよ」
「ああいう、戸増もいいよな」
「うん」
と言ったような、憶測がクラス中をにぎわす。
そして、収拾がつかなくなると、
バンッ「静かになさい」と、先生が教科書を黒板に叩きつけて叱る。

シ〜ン、クラスはすぐに静かになる。
そして何事も無かったように授業が続けられる。
騒いでいる途中に果穂ちゃんが教室に入ってきたんだけど、
気付いていたのはあたしと来栖ちゃんだけみたい。
授業の終わりのチャイムが鳴ると・・・・。
クラスの大半があたしのところへ押し寄せた。

「頼香ちゃん一体どうしたの?」
「今日の戸増はおとなしいな」
「どうしていつもどおりに喋らないんだ?」
「チョークは痛くなかった?」
「惚れ直しました」ETC。
と言ったようなの質問を受ける。
さすがに、どう応対した物かと戸惑っていると・・・・・。

「頼香ちゃん一緒にトイレに行こう」
来栖ちゃんが助け舟を出してくれた。

「うん、行こう」
あたしは来栖ちゃんのおかげでなんとか質問の嵐を抜ける事ができた。
それにしてもいつもの頼香ちゃんはどういう学校生活を送ってるのかな?
来栖ちゃんと一緒に廊下を歩いていると、

「頼香ちゃん大変だったね」
来栖ちゃんが少し心配そうに言う。

「うん、まさかあんなに驚かれるとはね」

「事情を話すわけにもいかないもんね」
来栖ちゃんはあたしを見ながら笑顔で言う。

「そうね、理由がケーキをご馳走になるためなんて言えないわ」
あたしはそう言って苦笑する。

「わたしの前ではいつも通り話してもいいよ」
来栖ちゃんはあたしが無理して使ってると思ってるみたい。
いつもの頼香ちゃんから考えてみれば当然の事なのかもね。

「いいの、来栖ちゃん今日はこれで通すって祐樹さんと約束したから」
あたしは軽く首を左右に振り、来栖ちゃんの好意を断る。

「そうだね、頼香ちゃんならそう言うと思った」
来栖ちゃんは笑顔であたしに言う。
そんなことを話しているうちに、休み時間が終了する。
二時間目は国語、漢字の筆順、読み方の勉強をする。
あたしは皆と同じ空間で学習できる事が嬉しく、一生懸命漢字を覚えようとした。
本来、学習する事すらかなわないあたしが、ここで頼香ちゃんとして勉強している、
あたしにとってそれは不思議であった。
あっという間に二時間目も終わる。
あたしはそれが残念で仕方なかった。
永遠は無理だろうけど、もっと長く感じていたかった。
そう、思いふけっているところへ、先の質問攻めをしてくれたメンバーが、
あたしのそばに集まってくる。

「頼香さん、ちょっと用事がありますので、こちらに来ていただけませんか」
今度は果穂ちゃんが助け舟を出してくれる。

「わかった、すぐ行くね」
あたしはそう言うと席を立ち、果穂ちゃんの所へと歩いていく。

「頼香さん大丈夫ですか?」
果穂ちゃんが心配そうにあたしに言う。

「うん、大丈夫だよ」
あたし笑顔で答える。

「それにしても、私が予想していた物より、すごい反響ですね」
果穂ちゃんは集まろうとしていた人たちを見て言う。

「そうだね」
あたしは相槌を打つ。

「ああ、女の子の言葉で話す頼香さんが撮れないなんて・・・」
果穂ちゃんは悔しそうに呟く。

「それはやめて」
きっと本物の頼香ちゃんでもそう言うよね。

「冗談ですよ、普段の頼香さんの話し方の方が魅力的ですから」
果穂ちゃんの目は泳いでいる、今さっきの言葉が本音みたい。

「果穂ちゃん、さっきのは冗談に聞えないよ」
あたしは溜息混じりに言う。

「それにしても頼香さん、本当に上手く話していますね、
女の子の言葉で話すのは結構嫌がっていたような気もしますけど」
ギクッ・・・果穂ちゃんの言葉に反応してしまう。

「そ、そんなことは無いぞ」
あたしは慌てて頼香ちゃんの言葉遣いに直す。

「頼香さんが女の子の言葉で話すのが新鮮すぎるのかもしれませんが、
今日の頼香さんは無理に男の言葉を使っているように感じるんです」
ギクギク・・・あたしに動揺が広がる。
ここは深呼吸して落ち着かないと・・・・。
あたしは深呼吸をして、気持ちを落ち着かせようとする。

「深呼吸なんかして、どうしたんです?」
果穂ちゃんはあたしがどうして深呼吸してるのかを疑問に思ったみたい。
まあ、あたしとしては言葉使いから興味がそれたみたいだからいいけど。

「いや、ちょっとな」

「ちょっとなんです?」
果穂ちゃんどうでもいい事に突っ込まないで・・・。
あたしは心の中で文句をいう。

「それより果穂、『新鮮』とは、どういう意味だ?」
あたしは少し冷たい口調で言う。

「え?だからですね・・・」
果穂ちゃんは解答に詰まる、朝の出来事が尾を引いているみたい。

「今回は多めに見てやる、だから・・・」

「だから、なんでしょうか?」

「祐樹さんに男の子の言葉を使ったことは内緒ね」
あたしは片目でウインクをして、果穂ちゃんにお願いする。

「ら、頼香さん?」
果穂ちゃんは目を丸くしてあたしを見る。
頼香ちゃんはこういう事をしないのかな?
あたしはそんことを考えていると、予鈴が鳴る。
あたしはそれを聞くと、急いで教室へ戻った。
あたしのウインクに呆然とした果穂ちゃんをその場に残して・・・。
結局、果穂ちゃんは3時間目には間に合わず遅刻してきた。
果穂ちゃん・・・なにも動けないほど驚かなくても・・・と思うあたしだった。
そして、三時間目が始まる。
三時間目は算数、男の先生が来た。
何故か先生がチョークをたくさん持ってきていることに、
あたしは何となく疑問を感じた。

「クラス諸君、今日は30本チョークを用意した。
授業が終わるまでに何本残るか予想してくれ」
先生の言葉にクラスの皆が爆笑する。
あたしは首を傾げるだけだった。

「予想を当てた者には『スイートリーフ』のケーキ1ピースの引換券をやろう」

「「おおーー」」
先生の言葉に皆が歓声を上げる。

「先着順に残りの本数を決めていってくれ」
先生が言い終わると、教卓の前には20人程度の生徒が並ぶ。
「0」「3」「4」・・・・と番号がドンドン売れていく。
しかし、20〜30の番号が売れ残っている。
先生は10本もチョークを投げるのかな?
そして、番号が売れると授業が始まる。
あたしにとっては簡単な算数の授業、
でも自分もクラスの一人となって授業を受けられる事が嬉しかった。
先生は再々あたしを見ているけど、どうしてかな?
そして、予鈴が鳴り、授業が終わると、皆は先生に文句を言いに集まる。

「先生どうして投げなかったんですか?」

「仕方ないだろう、戸増が居眠りをしなかったんだからな」
先生・・・そんなことのためにチョークをたくさん持ってきてたんですか・・・
あたしは先生に呆れ、そして、頼香ちゃんにも呆れる。
頼香ちゃん・・・貴女はここに何をしに来るの?
あたしは、生徒ともめている先生を横目に、教室を出る。
廊下に出ると「ふぅ〜」と一息つき伸びをすると、廊下を歩く。
少し、うろうろしていると、チャイムが鳴る。
教室に戻り、4時間目の理科が始まる。
理科の授業が始まって20分・・・・・。
ドタドタドタドタ・・・・。
ガラッ、教室のドアが開く。

「果穂〜よくもやってくれたな」
かなりご機嫌斜め(と言うより怒っている)頼香ちゃんが目に入る。
ピシッ、その瞬間、教室が凍りついた。
凍りついたのは、頼香ちゃんの怒り方がすごい訳じゃなくて、
あたしと頼香ちゃんが居る事が原因なの。
頼香ちゃんはその事も気にせずに、果穂ちゃんの席に直行する。
あたしは頼香ちゃんが自分の存在に気が付かないのを幸いに、
こそこそと、教室から出る。
教室から出るのに成功すると、廊下を駆け足で駆け抜け、学校から飛び出した。

「頼香ちゃんが来たんだから仕方ないよね」
あたしはそう独り言を言うと、マンションに向かって歩き出す。
もっと授業を受けて居たかったけど、本物が来たのだから仕方がないと諦める。
五分ぐらい歩いていると、朝、来栖ちゃんと会った公園に着いた。
あたしは公園に入り、あたりを見回す・・・・誰も居ない。
まあこの時間なら仕方のないことである。
あたしはブランコにのり一人こぎだす。
キィキィ、ブランコをつなぐ金具の軋む音が空しく響く。

数分後、「キャメルちゃん」
不意に声をかけられる。
あたしはブランコを降り、声の聞えた方向を振り向くと、祐樹さんが立っていた。

「あっ、祐樹さん」

「学校はどうしたんだい?」
祐樹さんは優しく語り掛ける。

「頼香さんが入ってきたから逃げてきたの」
あたしは簡単にここに居るわけを説明する。

「そうか、頼香がね・・・勿論怒ってたろうね」
祐樹さんが苦笑しながらあたしに尋ねる。

「『果穂〜よくもやってくれたな』って、物凄い形相でしたよ」
あたしは頼香ちゃんの真似をしてみる。

「ははは、本当に頼香が怒っているようだよ」

「やっぱり祐樹さんは優しいですね」

「そんなことは無いよ」
祐樹さんはきっぱりと言う。

「いえ、優しいですよ、あたしの事を知っている人が居たら、皆気持ち悪がったり、
カプセルに早く戻れとか言うと思います、でも祐樹さんはあたしを一人の人間として扱ってくれる・・・」

「僕だけじゃないよ、頼香や果穂さん、来栖さんも君の事を友達と思っている筈だよ」
祐樹さんは真剣にあたしに言う。
祐樹さんが嘘を言ってない事はわかる。
でも・・・・頼香ちゃん達は人間、あたしは作り出されたイーター、
意志はもっているけど、根本的に違う存在なのね。

「そんなことは無いと思うよ」
祐樹さんはあたしの思っていることに答える。

「どうして・・・・・」
あたしが驚いたような顔をすると、

「口に出していたよ」
祐樹さんはにっこり笑って言う。

「キャメルちゃんは頼香たちがそんなことにこだわると思うのかい?」
祐樹さんは微笑んだままあたしに尋ねる。
あたしは無言で首を振る。

「ゆ、祐樹さん?」
祐樹さんに頭を撫でられている事に驚く。

「キャメルちゃん、君は普通の人と同じ感情を持っているだろう。
だから、『自分は回りの人と違う』って自分を卑下したりする必要は無いんだよ」
祐樹さんは優しくあたしを諭す。

「祐樹さん、ありがとう」
あたしは笑顔で祐樹さんに御礼を言う。

「それで、今日の学校はどうだったのかな?」

「すごく楽しかったです。でも・・・・」

「でも?」

「これで終わりかと思うと少し悲しいな」
あたしは正直な感想を言う。

「正直に頼香に話せば、また学校にいけると思うよ」
祐樹さんの言葉にあたしの目を輝かせ、

「本当ですか?」

「うん、大丈夫だと思うよ」

「今度頼んでみます」
あたしはそう言ってふっと気付く。

「祐樹さん大学はどうしたんですか?」
気付いた疑問を祐樹さんにぶつけてみる。

「今日は朝だけで、午後は休講になったんだ。
それでマンションに帰ろうと思って歩いていたら、
キャメルちゃんがブランコをこいでいたから声をかけたんだよ」
祐樹さんはここに来た経緯を説明する。

「どうして、遠くから見てあたしだとわかったんですか?」
あたしは少し疑問に思う。

「朝の状況を考えて見ればわかるよ。
キャメルちゃんは頼香が目を覚ましたら何をすると思う?」
祐樹さんはあたしに尋ねる。
う〜ん、頼香ちゃんが起きたら・・・・・。
まず果穂ちゃんに一服盛られたことを思い出して、
一応身だしなみを整えて学校までダッシュする。
そこまで考えて「なるほど」と手をポンと叩く。

「頼香ちゃんがブランコをこいでるはずは無いわね」

「僕がキャメルちゃんを見分けられた理由がわかったようだね」
あたしの言葉に祐樹さんは笑顔で答える。

「キャメルちゃん、これから暇かな?」
祐樹さんが唐突にあたしに話題を振る。

「あ、はいこれからマンションへ帰ろうと思っていただけですから」

「じゃあ、これからショッピングモールに行くのに付き合ってくれないかな?」
あたしは祐樹さんがどうしてあたしを誘うのかわかりかねた。

「どうして頼香ちゃんじゃなくてあたしを誘うんですか?」
あたしは思い切って祐樹さんに聞いてみる。

「実は頼香にジーンズをプレゼントされた時のお返しをしたいんだけど、
流石に『サイズを教えてくれ』何ていえないし、かと言って適当に買って、
サイズにあわなかったら、頼香が『自分の彼女のサイズぐらい知っとけ』って
拗ねてしまうかもしれないからね」
祐樹さんは苦笑しながら説明する。

「わかりました、あたしに合う物なら頼香ちゃんにも合うもんね」
あたしはその説明に納得する。

「引き受けてくれてありがとう」
祐樹さんはあたしにお礼を述べる。

「いいえ、祐樹さんはあたしの話を真剣に聞いてくれて、
話まで合わしてくれましたから」
朝の事を思い出し、そのお礼を兼ねて引き受ける事を決めた。

「朝の事は気にしないでいいよ、でも果穂さんにはちょっと気の毒だったかもしれないね」

「そうですね、あとで謝らないといけませんね」
祐樹さんの言葉にあたしは苦笑しながら答える。

「じゃあ、そろそろ行こうか」

「はい」
あたし達はショッピングモールへと行く事になった。
歩く事十五分・・・ショッピングモールに到着する。

「頼香は新しくできたティーンズファッションの店で買ったと言ってたからそこに行こうか」

「そうですね」
祐樹さんがそういいながら手をつないでくる。

「ゆ、祐樹さん」
あたしはいきなりの事にビックリする。

「はぐれたら大変だからね、キャメルちゃんが嫌なら離すけど」
あたしは首を軽く振る。
祐樹さんはあたしがビックリするとは思っていなかったみたい。
いつもは頼香ちゃんと手をつないでいるのかな?

「そんなことは無いけど、頼香ちゃんが知ったら大変ですよ」

「ははっ、確かにね頼香に見られると大変だね」
そんな会話を交えながら歩いていると、他の人の視線が妙に気になる。

「祐樹さん、周りの人があたしを見ている気がしますけど、気のせいかな?」
あたしは祐樹さんに尋ねる。

「う〜ん、気のせいじゃないと思うよ、キャメルちゃん制服のままだからね」

「制服ってそんなに目立つの?」
あたしは疑問を口にする。

「小学生はこの時間は学校で授業受けているはずだからね」
そういえばあたしは途中で学校を抜け出してきたんだ。
祐樹さんに言われて気付く。

「それより着いたよ」

「わぁ〜」
あたしは目の前に広がる、色とりどりの服に目を奪われる。

「まずはキャメルちゃんの好きなのを選んで」
その言葉に頷くと、あたしは服を取ってみたりする。
ワンピースにブラウスにジャケット・・・色々な服を手にとって見る。
その中から数着取って、祐樹さんに尋ねる。

「これってここで着替えるんですか?」
あたしは少し顔を赤くして言う。

「そうか、キャメルちゃんはこんなところに来たことはないんだよね」
裕樹さんがあたしの質問に小さい個室みたいな物を指さす。

「あれが試着するための個室だよ」
そう言われて、あたしはその中に入り着替える。
白のブラウスに同じ色のタイトスカートに着替えて試着室を出てみる。

「祐樹さんどうですか?」
あたしは祐樹さんに批評してもらう。

「うん、いいね」
祐樹さんは笑顔で答える。

「ありがとう」
あたしはそう言い、また試着室の中に入る。
そして、持ってきた服やスカートに変え、いろいろな組み合わせをして、
祐樹さんに見せる。
その中で気に入った物を祐樹さんが選び、清算を済ませた。
買ったのは三着であたしが見てもよく似合ってた物だ。

「キャメルちゃん、これに着替えてくれないか?」
と、祐樹さんに紙袋を渡される。
あたしは少し疑問に思いながらも、祐樹さんの指示に従い試着室に入り、
紙袋を開ける。
中にはあたしが最初に着た、ブラウスとタイトスカートが入っていた。
あたしはそれに着替え、脱いだ制服を紙袋にしまうと、
試着室から外に出る。

「祐樹さん、これは?」
あたしは自分が着替えた物を指差して尋ねる。

「今日付き合ってもらったお礼だよ」
祐樹さんはにっこりと話笑って言う。

「でも・・・・あたしも祐樹さんにお世話になったんだから・・・」
『こんな物を貰うわけにはいきません』と言おうとしてその言葉を飲み込む。
祐樹さんの気遣いが嬉しかったからだ。

「いいんだ、それに制服だと人目につくからね」

「ありがとうございます、祐樹さん」
あたしはぺこりと御辞儀をして、御礼を言う。

「何か本当に頼香にお礼を言われてるみたいで照れるな」
祐樹さんは照れ笑いを浮かべる。

「本物じゃなくて悪かったな」
あたしは頼香ちゃんの口調を真似てみる。

「ははは、本物みたいだよ」
祐樹さんは苦笑する。

「ええ、頼香ちゃんを真似てみました」

「それはそうと、キャメルちゃんはこれからどうするんだ?」
祐樹さんはあたしに質問する。

「そうですね、そのあたりを歩いてからマンションに帰るつもりです」

「じゃあ、その紙袋も渡してくれるかな?
頼香に返しておくから」
祐樹さんのその言葉に甘えあたしは祐樹さんに制服の入った紙袋を手渡す。

「あと、頼香にキャメルちゃんのことを伝えておくよ」
祐樹さんは紙袋を手渡されるとそう言って、マンションの方へ歩き出す。

「祐樹さん、今日はありがとうございました」
祐樹さんの後姿を見つめながらお礼言う。
祐樹さんはそれが聞えたのか、手を振ってくれた。
あたしは祐樹さんのその行為が嬉しかった。
しばらく、その余韻に浸っていると、いきなり両頬をつかまれ、強い力で引っ張られる。
あたしは一体何が起こったのか理解できなかった。
ただ、痛みがあることを除けばだけど。

「いふぁいいふぁい」(痛い痛い)
と言おうとするが頬を引っ張られているため、しっかりと喋れない。

「頼香〜、学校サボって彼氏とデートとはいいご身分ね」
後ろから女性の声がする。

「それもわざわざ、私の前で荷物を持って帰ってもらうなんて、
私に彼氏が居ない事へのあてつけかしら?」
女性は少し怒りを交えているような口調だ。
しかし、何故怒っているのかはさっぱりわからない。
あたしは、首を・・・頬を引っ張られているため傾げられないが、
それに近い動作をした。

「さあ、頼香、ごめんなさいは?」

「ふぉふぇんあふぁい」(ごめんなさい)
あたしは頬を引っ張っている手を離してもらうため、素直にそれに従った。

「よし、素直に謝ったから許してあげる」
女性はパッと手を離す。
あたしはそれに合わせて、両頬を手のひらで覆った。
かなり長い時間(おそらく二分ぐらい)引っ張られていたので、
離されてから、痛みがジ〜ンと来る。
そして振り返ると、20代半ばの女性が立っていた。

「ひどいですよ、あたしが何をしたって言うんですか?」
あたしはその女性に尋ねる。

「貴女が私の前で見せつけるようにしたのが悪い」
女性はビシッと自分を怒らせた理由を指摘する。

「だからって、いきなりあんなことをするなんて・・・」
あたしは痛みから目に涙を浮かべる。

「ごめん、ちょっと痛かったかな?」
女性が謝る、しかし、済まなさそうにしているようには見えない。

「ちょっとじゃないです」
あたしのその言葉に、その女性は首を傾げる。
何かまずいこと言ったのかな?
そう考えていると、女性の両手はあたしの両頬に近づく。
そして、両頬を掴み引っ張る・・・・。
まさしく、ゴムを伸ばすように・・・・。

「いふぁいいふぁいいふぁい」(痛い痛い痛い)
あたしの頬に叫ばずにはいられないほどの痛みが走る。

「あれっ?本物?」
頬から手を離すと、女性はまた首を傾げる。
この人、あたしをなんだと思っているの?
あたしはジト目でその人を見つめる。

「あたしに何か恨みでもあるんですか?」
あたしはその女性に反論する。

「実の姉の前であんな事をするからよ」
女性はそれが当然のように言う。
この人、頼香ちゃんのお姉さんなの?
あたしは驚く、テラン人の頼香ちゃんの家族がどうしてこんな辺境の星にいるのだろう、と。

「じ、実の姉だからって、妹の頬を引っ張ったりするな」
あたしは頼香ちゃんの口調にして言う。
少し驚いているため、言葉にその影響が出てくる。

「貴女が恋人と仲良くしてるところを私に見せつけるのが悪い」
女性はビシッと言う。

「し、仕方ないだろう。姉さんが居るなんて知らなかったんだから」

「貴女・・・・頼香じゃないわね」
えっ、どうして?言葉遣いをしっかりしたからばれないはずなのに。
あたしはそんな考えが瞬時に交錯しビックリする。

「ね、姉さん、俺は頼香だ。何いってるんだよ」
あたしは一応ごまかそうと、頼香ちゃんの話し方にあわせて言う。
そう言った途端、女性の目の鋭さが増した。
あたし何かまずい事言っちゃったのかな?

「貴女、何者?あたしの妹そっくりな格好をして、
妹の恋人と仲良くしていたりして・・・・・」
女性は少しずつ怒り口調になってくる。
あたしは思わず後ずさりをしてしまう。
あたしの正体を明かした方がいいのだろうか?
あたしに迷いが生じている隙に、

「正体を見せなさい」
と言って、またあたしの両頬を引っ張り、ゴムのごとくのばす。

「ひゃめへふふぁふぁふぃ」(やめてください)
あたしはやめてくれるように頼むが、言葉にならない。

「変装しているんじゃないの?」
女性はそう言って手を離す。
心なしか頬がたるんだように感じる。
あたしはまた両頬を手のひらで覆い、

「二度したら、あたしの顔が変装でない事ぐらいわかるでしょ」
あたしは涙目になって抗議の目を向ける。

「ごめんなさい、でも貴女は頼香ではないんでしょ?」
女性は少し申し訳なさそうにして尋ねる。
あたしはもうばれているのだからと、こくりと頷く。

「じゃあ、貴女は一体誰?私の妹そっくりだけど」
女性があたしに質問する。

「あたしは・・・・・」
あたしは自分の生い立ちと頼香ちゃんとの関係を自称?頼香ちゃんのお姉さんに話した。

「・・・・と言うわけであたしは頼香ちゃんとそっくりなんです。
信じてもらえるかわかりませんけど」
あたしは全てを話していいのか不安だったけど、
『この人には嘘は通じない』そんな気がした。
だから、全てを話すことにしたのだ。

「そうなの・・・・でも私は信じるわ、頼香が双子な筈はないし、キャメルちゃんが頼香の恋人の祐樹さんっていったかな、その人と
一緒に居た理由にもなるしね」
頼香ちゃんのお姉さんはあたしの言う事を信じてくれたようだ。

「自己紹介はまだだったわね、私は戸増美香、そうは見えないかもしれないけど、頼香の姉よ」
頼香ちゃんのお姉さんが自己紹介をする。

「ええと、美香さんと呼んでもいいでしょうか?」
あたしはその自己紹介を聞いて、どう呼べばいいのかを尋ねる。

「いいわよ、キャメルちゃん」
美香さんはにこりと笑ってあたしに答える。

「では、美香さんどうしてあたしが頼香ちゃんでないとわかったんですか?」
あたしはそれを疑問に感じたので聞いて見る事にした。

「最初見たときは、頼香が恋人と歩いているとしか見えなかったわ。
でも、頼香と思って悪戯したときの反応と言葉遣い、
それと、私の呼び方が頼香とは違ったからかな?」

「呼び方?」

「頼香は私の事を親しみを込めて『美香姉』って呼ぶの」
美香さんが楽しそうに説明する。

「頼香ちゃんらしい呼び方ですね」

「そうね、あの言葉使いに良くあった呼び方ね」
美香さんはあたしの言葉に頷く。
そして、美香さんは少し考えるようなそぶりをすると、

「そうだ、キャメルちゃん今日これから暇かな?」
唐突に美香さんがあたしに質問する。

「え、ええ、特に予定はありませんけど」
あたし、勢いに圧倒されながらも自分に予定がない事を伝える。

「私の家に来ない?」

「えっ、美香さんの家にですか?」

「そうよ」
美香さんは即答する。

「で、でも・・・」

「遠慮はしなくてもいいわよ」

「いいのかな?」
あたしは行っていいのかを迷っていると・・・・。

「じれったいわね」
と言う美香さんの言葉と同時に襟を掴まれ、引きずられるようにして連れて行かれた。
後にキャメルは語る。
あれは赤紙より強制力が強かったと・・・・・。
それから駅に連れて行かれ、電車に乗る(と言うより乗せられた)。
まだ昼間であるためか、席に余裕があるため、あたしと美香さんはすぐに席に座れた。

「美香さん・・・・」

「何?キャメルちゃん」

「押しが強いって言われません?」
あたしは無理矢理連れて来られた事からそう言ってみる。

「う〜ん、言われてことがあるかもしれないわ」
美香さんは少し考えてから言う。
解答がはっきりとしないことから『絶対に言われた事ある』と心の中で呟く。

「でもどうしてそんなことを聞くの?」

「いえ、ちょっと・・・・気になったから・・」
あたしは解答に詰まる。

「もしかして、私が無理矢理つれてきたから怒ってるのかな?」
美香さんは少し不安そうに聞いてくる。

「そんなことはないですよ」
あたしはきっぱりと言う、実を言えば頼香ちゃんの実家はどんなところか楽しみなのだ。

「あ、そういえば美香さんに聞きたいことがあります」

「聞きたいことって?」

「美香さんってこの星の人ですか?」
あたしは頼香ちゃんがテラン人であるのに、
どうしてこんな辺境の星に家族が居るのか疑問に思って質問する。

「そうだけど、それがどうしたの?」
美香さん質問に答えて首を傾げる。

「失礼ですけど、頼香ちゃんは本当に貴女の妹ですか?」
あたしは美香さんがこの星の生まれなのにどうして頼香ちゃんと姉妹なのか気になり、
尋ねてみる。
美香さんはまた首を傾げる、そして、頭の上には?マークがついている。
あたしの言っている意味をわかりかねていると言う感じだ。

「頼香ちゃんはあたしの記憶ではテラン人でこの星の生まれではないですけど」
あたしがわかりやすく言うと、美香さんは質問の意味を理解したようだ。

「キャメルちゃんは地球人の私と宇宙人の頼香がどうして姉妹なのか聞きたいのね」
美香さんの言葉にあたしは頷く。
あたしが頷いた後、美香さんは少し考えるようなそぶりを見せ、黙る。
美香さんが黙る事10分、美香さんの口が開く。

「キャメルちゃんが私に自分の正体を明かしてくれたのだから、
私も頼香との関係を話すわね、でもこのことは人に言っては駄目よ」
美香さんはあたしにこのことは秘密にして欲しいと言う。
あたしはその言葉に黙って頷く。

「キャメルちゃんはどうして頼香があんな話し方をするのかわかる?」
美香さんの言葉にあたしは考え込む。
そういえば、頼香ちゃんの話し方は男っぽいけど、美香さんは普通の女の話し方をしている。
あたしが考え込んで数分・・・。

「頼香はね、私の弟だったの」
美香さんの爆弾発言にあたしは驚く。
朝の果穂ちゃんの驚き方を3倍して、2を加えそれを3乗したぐらいに驚いた。
一瞬冗談で言ってるのかとも思ったけど、美香さんはいたってまじめだ。
あたしが驚きのあまり沈黙していると、美香さんは話を続ける。

「頼之と言って、あの姿になる前は大学生だったの」
そして、美香さんは話しつづけた。
頼之さんはある事故に巻き込まれて、
連合士官ライカ・フレイクスの代わりとして生きることを選択した事。
美香さんが頼香ちゃんと始めてあった時の事。
頼香ちゃんを自分の弟として認め、家族に納得させるのに骨を折ったことなど、
美香さんと頼香ちゃんの関係を長々と語ってくれた。

「・・・と言うわけで、私と頼香は姉妹なの」
美香さんは語り終えると、あたしは涙を流していた。

「美香さんはあたしが憎くないんですか?」
あたしは美香さんの弟を奪ったイーターの仲間である事を説明したのに、
自分が憎くないのだろうかと思い尋ねてみる。

「そんなことは思ったこともないわ」
美香さんはきっぱりと言う。

「どうしてですか?」
あたしにはどうして美香さんがそう言うのかがわからなかった。

「だって、あなた達は生きるために仕方なくやっているんでしょう?」

「はい・・・」

「じゃあ、それは仕方ない事なのよ」

「仕方のない事?」

「人が生きるためにも何かが犠牲になるものなの。
例えば、動物や植物がそう、ただ、あなた達が生きるために人間のオーラを取る事は、
それと同じ事なのよ、だからキャメルちゃんが、引け目を感じる事も憎まれる事もないのよ」
美香さんは優しく言ってくれた。
あたしはそう言われたのが嬉しく、涙をぼろぼろ流していた。

「キャメルちゃんそんなに泣いたら、可愛い顔が台無しよ」
と言って美香さんはあたしを抱き寄せ、優しく頭を撫でてくれた。
美香さんに撫でられている間、あたしは暖かいぬくもりを感じていた。
今までに感じた事のない、何かホッとするもの。
それが何かわからなかったけど、あたしはずっとこうして居たい気がした。
その気持ちよさに、あたしの意識は遠のいていった。

「・・・・・・きてキャメルちゃん」
誰かの声が聞え、あたしは目を覚ます。
目を開けると、女性が目に入る。
あたしは眠っていたようだ

「・・・あっ、美香さん」
あたしは目を覚まして、周りを見渡してみると。
見知らぬ部屋の中にいた。

「ここは?」
美香さんに今居る場所を尋ねてみる。

「私の家よ、キャメルちゃんは私に寄りかかったまま寝てしまったのよ」
美香さんはあたしが寝ていたことを説明する。

「ご、ごめんなさい」
あたしは恥かしさから、顔を赤くして謝る。

「貴女が眠っちゃった後に、駅からタクシーを呼んでここまでつれて来たの」
美香さんはあたしが眠った後のことを説明する。

「すみません、あたしが眠ってしまったから、美香さんに気を使わせちゃいましたね」

「いいのよ、私がキャメルちゃんを誘ったんだから」
美香さんは『気にしないで』と言った感じで言う。

「それじゃ、ここは頼香ちゃんの家・・・・」
あたしは改めてあたりを見回すと、洋服箪笥や鏡台に並べられた化粧品などから、
女性の部屋だとわかる。
あたしがそんなことを考えていると・・・、

「そう、そして、ここは私の部屋、ようこそキャメルちゃん」
美香さんは笑顔であたしに言う。

「奇麗ですね」
あたしは周りを見た感想を言う。

「誉めてくれてありがとう」

「そういえば、どうしてあたしをここに連れてこようと思ったんですか?」
あたしはずっと引っかかっていた疑問を美香さんに問う。

「最初は頼香を連れて来るつもりだったんだけど・・・・・、
頼香を見つけたと思ったらキャメルちゃんだったでしょ」
美香さんは苦笑しながら答える。

「はい」
あたしは頷く。

「その時、うちの両親に女の子の言葉を使う頼香・・・
つまりキャメルちゃんを見せたらどうなるかな?って思ったのよ」
美香さんが今度は楽しそうに話す。
確かに、学校でも皆の反応は変わってたけど・・・、
あたしは学校での出来事を思い出して苦笑する。

「面白そうでしょ?」
美香さんは悪戯っぽい微笑を浮かべて言う。

「そ、そうですけど」
そのために、あたしをここに連れてきたの?
という、考えが浮かぶ。

「緊張しなくてもいいわよ、貴女らしく振舞えばそれでいいから」
美香さんが右目でウインクしながら言う。

「あたし・・・・らしくですか?」

「そうよ、この作戦には貴女が貴女らしくすることが重要なの」
美香さんは少し真剣に言う。

「わかりました」
あたしは自分らしくしていればいいのならと思い、それを承諾した。
そして、あたしと美香さんは、しばらく雑談をしていると・・・。

「「ただいま〜」」
玄関の方から声が聞える。
あたしと美香さんはその声を聞くと玄関の方へ歩いていき、

「「お帰りなさい」」
と、頼香ちゃんの両親に声をかけた。

「あら、頼香ちゃん来てたの」
頼香ちゃんの母、香里さんがあたしに笑顔で声をかける。

「来るんだったら連絡ぐらいしろ、何か買ってきてやったのに」
頼香ちゃんの父、頼敏さんも笑顔であたしに声をかける。

「だって、今日商店街で美香姉さんに無理や・・・もがっ」
あたしが全部を言い切る前に美香さんがあたしの口をふさぐ。

「頼香ちゃん、美香がどうしたの?」
香里さんはあたしが何を言いかけたのかが気になるようだ。

「お母さん達を驚かしたいから連絡を取らなかったのよ」
美香さんは自分が無理矢理連れてきたことをごまかしてるみたい。

「むぐむぐ」
あたしは『苦しいから離して』と言おうとするのだけど、口を塞がれているため、
言葉を発せなかった。

「美香・・・」
頼敏さんが美香さんに向かって落ち着いたような口調で言う。

「何?お父さん」
美香さんは頼敏さんに尋ねるように言う。

「俺の気のせいかも知れんが、頼香が苦しそうにしているように見えるぞ」
頼敏さんの言葉に美香さんは慌ててあたしの口から手を離すが、
もうだめ・・・。あたしの意識は遠くに行ってしまっていた。
気を失う直前に、『頼香大丈夫か?』と言う言葉が微かに聞えた気がした。




気が付くとあたしは、頼香ちゃんの部屋に立っていた。
あたしがどうしてここに居るの?と、呆然として考えていると、

「キャメル、早く着替えないと朝ご飯食べられなくなるぞ」
後ろから突然声がして驚いて振り向いて見ると、
着替えを終えた頼香ちゃんがあたしに同じ制服を差し出す。

「これって?」
あたしは疑問に思って頼香ちゃんに聞いてみる。

「何言ってるんだ、今日から一緒に学校に行くんだろ」
頼香ちゃんはそれが当たり前のように言う。
えっ、あたしが学校へ行くの?
あたしは全く覚えのないことを言われて混乱する。

「何ぼ〜っとしてるんだ、早く着替えろよ」
頼香ちゃんがあたしをせかす。
結局、状況が把握できないまま制服に着替える。

「頼香さん、キャメルさんご飯ですよ」
果穂ちゃんがあたしと頼香ちゃんを呼ぶ声がする。

「「すぐ行くぞ/わ」
制服に着替えた頼香ちゃんとあたしが同時に返事をする。
今日からあたしは頼香ちゃん達と一緒に学校に行くことになっているらしい。

「キャメル、行こうぜ」
と言って、頼香ちゃんは先に部屋を出る。

「頼香ちゃん待って」
あたしは状況の把握ができていなかったから、少し躊躇したのだけど、
学校に堂々といけるのならと、頼香ちゃんの後についていく。
そして、台所に入ると制服姿の果穂ちゃんがご飯をよそっていた。

「果穂ちゃん、おはようございます」
あたしは果穂ちゃんに朝の挨拶をする。

「キャメルさん、おはようございます」
果穂ちゃんが笑顔で挨拶を返してくる。

「今日は頼香さんと同じリボンをしているんですね」
果穂ちゃんはあたしを見て言う。

「果穂ちゃんはどう思う?似合ってるかな?」
あたしは自分の髪を結んでいる大きなピンク色のリボンを触りながら聞いてみる。
このリボンは、頼香ちゃんに『おそろいって言うのもいいだろ?』と、
制服を着た後に手渡されてつけたものだ。
その時何か意図があるんじゃないかと疑ったのは秘密です。

「キャメルさん、似合ってますよ」
果穂ちゃんは笑顔であたしの質問に答えてくれた。

「ありがとう、果穂ちゃん」
あたしはその言葉に御礼を言う。

「果穂、俺とキャメルが同時にこの格好で出てきたら見分ける事ができるか?」
頼香ちゃんはあたしの左肩に手を乗せて果穂ちゃんに尋ねる。
他の人から見れば、双子の少女が仲良く並んでいるように見えるのかな?

「どうでしょうね、雰囲気の違いが読み取れれば見分けられると思いますけど、
私には無理でしょうね」
果穂ちゃんは苦笑しながら回答していた。

「ゆーきさんなら、見分けられると思いますよ」
「そうだな、初めてキャメルが俺達の前に現れた時に、
最初に気付いたのはゆーきだからな」
頼香ちゃんと果穂ちゃんは祐樹さんなら見破れると絶賛してる。

「それなら、試してみない?」
あたしは二人に提案してみる。

「「面白そうだな/ですね」」
二人は同時に答える。

「そう決まったら、ゆーきが来たら一緒に出迎えるぞ」
頼香ちゃんがあたしの方を向いて言う。

「うん」
あたしは頷く。
勿論、祐樹さんがあたしと頼香ちゃんを見間違うはずはないのだけど、
同じ格好をしているのだからと、提案してみたのだ。

「覚めないうちにご飯を頂きましょう」
果穂ちゃんがそう言うと、あたし達はご飯を食べ始めた。
ご飯を食べ初めて数分、ピンポーン玄関のチャイムが鳴る

「ゆーきが来た、行くぞ」
頼香ちゃんがあたしにそう言って玄関の方に歩いていく。
そして、ドア越しに声をあける。
「どちら様でしょうか?」
これはお決まりである。

「頼香、僕だよ」
祐樹さんが返答する。
よく考えてみたら『僕』で通じると言うものどうかと思う。

「ドアは開いているよ」
頼香ちゃんがそう言うと、ガチャ、ドアが開く。

「いつも悪い・・・・・・・ね」
祐樹さんがドアを開けて一瞬固まる。
おそらく、あたしと頼香ちゃんが一緒に並んでいたためでしょうね。
そっくりな娘が同じ格好で一緒に並んでたら、誰でも驚くわね。
『どっちがどっちだろう』とね。
「「さあ、どっちがどっちだ」」
あたしと頼香ちゃんが見事にハモる。
その言葉に祐樹さんは苦笑する。

「こらこら、こんな意地の悪い悪戯をしないでくれよ」
祐樹さんは少し困ったように呟く。

「本当はわからないんだろ」
頼香ちゃんは怒ったように言う。

「頼香ちゃん・・・今のでばれちゃったよ」
あたしはやれやれと言った感じで言う。

「あっ」
慌てて頼香ちゃんは両手で口を塞ぐ。

「いまさら遅いって」あたしは苦笑しながら呟く。

「最初に喋ったのが頼香だね」
祐樹さんの表情はしてやったりと言わんばかりである。

「ゆーき、卑怯だぞ」
頼香ちゃんは頬を膨らませて文句を言う。

「頼香だって、僕の事を試そうとしてたからお互い様だよ」
祐樹さんは笑顔でその文句に応対する。

「む〜」
頼香ちゃんは頬を膨らませたままだ。

「頼香ちゃんの負けだね」
あたしはクスッと笑って言う。

「頼香さん、キャメルさん、早く食べないと遅れますよ」
奥から果穂ちゃんの声が聞える。

「「今行く/わ」」
あたしと頼香ちゃんは一緒に応答する。
そして、ご飯を食べ、祐樹さんに見送ってもらい、学校に向かっているところで、


「キャメルちゃん、キャメルちゃん」
あたしを呼ぶ声がどこからともなく聞えた。
その声が聞えた途端、目の前は真っ暗となった。




「う・・・ん・・・」
あたしは目を開ける。
あたし自信それが不思議だった。
確かあたしは目を開けていたはず・・・・・。
そして目を開けると見えていた光景が一瞬のうちに変わった。
ここは・・・美香さんの部屋?
でもあたしは、学校に行こうとしていた筈。
記憶が混乱する中であたしはあたりを見回す。
そして美香さんと目が合ったところで、

「キャメルちゃん・・・目を覚ましたのね」
美香さんがあたしに声をかける。
その表情は何かホッとしたように見える。

「あたしは一体・・・」
あたしは今、自分がどうしてここに居るのかがわからなかった・。

「ごめんね、あたしが手を離さなかったから」
と言って美香さんはどうしてあたしがここに居るのか説明してくれた。
窒息により気絶したあたしを心配していた、
頼敏さんと香里さんをなんとか説得し、美香さんの部屋につれてきたと言う事らしい。
あたしが気絶していた時間は30分・・・。
じゃあ、あたしが見ていたものって?
あたしは首を傾げて考える。

「キャメルちゃんどうしたの?」
美香さんはあたしが首を傾げていた事を気にしたのか質問してくる。

「実は・・・」
あたしは自分が気絶していた時見ていた(と思う)物を美香さんに話した。

「キャメルちゃん、それは夢よ」
美香さんはあたしの話を聞いてそう答える。

「夢?」
あたしはその言葉を鸚鵡返しする。

「そうよ、人間が寝ているときや、意識のない時に見るものなの」
美香さんが簡単な説明をしてくれる。

「でも、あたしは人間じゃないよ」
あたしはそれが当然のように言う。
しかし、どうしてあたしが美香さんの言う夢を見たのかはわからない。
あたしはしばらく考え込んでいると、

「キャメルちゃんはどうしてそんな夢を見たと思うの?」
美香さんがあたしに微笑みながら質問する。

「わかりません」
あたしは首を左右に振る。
あたしには夢を見る原因となる物がわからなかった。

「夢はね、何時どんなものを見るのかはわからないけど、
その人が強く思ったことを見ることや時には自分の未来を見ることがあるの。
でも大抵は目を覚ました後に忘れちゃうわ」
それを語る美香さんは何か遠くを見ているような気がした。

「もしかしてあたしが見た夢って、あたしがそう願っていたから見たのかな?」
あたしは美香さんの話を聞いて、思ったことを口に出してみる。

「そうだと思うわ」
美香さんは頷く。
あたしは自分も頼香ちゃん達と夢を見る事ができた事が嬉しかった。
そして、ふと思いつき言ってみる。

「美香さんは未来の夢を見たことがあるんですか?」
あたしの問いに美香さんは考え込む。

「あるにはあるんだけど、ほとんど忘れちゃったわ」
美香さんはそう言って苦笑する。
あたしは少し残念に思ったけど、自分が見たものがどういうものかわかって良かったと思う。
もし、わからなかったら自分が夢と現実の区別がつかなくなっていたかもしれないから。
あたしがそんなことを考えていると、
あたしが残念そうにしていたのを気にしたのか、美香さんは、

「覚えている事で話してもいいけど、キャメルちゃんは聞かない方がいいかもしれないわ」
美香さんは少し迷っているようね。

「あたしが聞かないほうがいい事?」
あたしは首を傾げる、今日会った美香さんがどういった夢を見て、
どうしてあたしに聞かないほうがいい夢を見るのだろうと。

「そう、でもそれでも聞きたいというなら約束して、
私の話を聞いても自分を責めない事」
美香さんはあたしに迫るような勢いであたしに言う。

「わ、わかりました」
あたしは美香さんの勢いに押されながらもそれを約束すると言う言葉を発する。

「では、話すわ。
私が見た夢はね、頼之・・・つまり私の弟が行方不明になっている時にね、
夢の中に出てきてこう言うの『美香姉、俺のことはもう諦めてくれ、
俺はもう家族の前に行けないんだ』ってね。
そういった後に、頼之の身体は消えて行くの、いくら呼び止めようと思っても私は声を出せないの。
だから、夢の中の私はただ呆然としてそれを見ているだけだったわ。
頼之の身体が消えたところで目が覚めるの。
それを一、二週間おきに見て、目が覚めた時はいつも私の目は涙の流しすぎで赤くはれていたわ。
その夢も、頼香になった頼之と会ってからは、その夢は見なくなったけどね」

最初の方を語る美香さんはどこか沈んでいたけど、
語り終えた後の美香さんの表情は明るい物だった。
美香さんの話を聞いているうちにあたしの目尻は熱くなり、
終わる頃にはぼろぼろと涙を流していた。
あたしは結局、美香さんとの約束を守れず、自分を責めていた。

「しょうがない娘ね」
美香さんはそう言ってあたしを軽く抱きしめる。
あたしは表現のしようのない安らぎを覚え、自然と涙がとまる。

「落ち着いた?」
美香さんは微笑みながらあたしに声をかける。

「はい」
あたしはこくりと頷く。

「私はね、むしろその夢を見たことに感謝しているの」
美香さんのその言葉にあたしは首を傾げる。

「どうして?」
あたしは疑問に思い尋ねてみる。

「そのおかげで頼香が頼之であることを信じる事ができたのよ。
頼香から私と頼之の思い出や二人しか知らない事を言われたらね、
夢を思い出したの『俺はもう家族の前に行けないんだ』ってね。
確かに頼香になっていたら、頼之として家族の前に出られないわよね」
美香さんは思い出すようにあたしに語る。
あたしが真剣にそれを聞いているのを見ると、一息ついて続ける。

「今は、その夢が私と頼香をつないでくれてたと思ってるわ」

「夢が絆を作ってくれたんですね」

「そうね、一度はずれてしまった絆を夢が繕ってくれたのかもね」

「きっとそうですよ」
あたしの心の中で自分の見た夢が現実になったらなあと思う、
そんな淡い希望が生まれていた。
そして、その後夢に関する話を美香さんと少しした後、
コンコンと、ドアをノックする音が聞えた。

「はい」
美香さんが返事をすると、ドアが開き、香里さんが部屋に入ってくる。

「キャメルちゃん、起きてて大丈夫なの?」
香里さんがあたしの顔を見て心配そうに言う。

「はい、大丈夫ですけど・・・」
あたしは反射的に返答し、
美香さんが説得する時にあたしの事も話したと言ってたのを思い出す。

「ごめんなさいね、美香がちょっとしたことを隠すために貴女を気絶させちゃって」
香里さんは申し訳なさそうに言う。

「いいえ、あたしこそ頼香ちゃんの振りをしていたんですから」
あたしを無理矢理連れてくることがちょっとした事なのかな?
と、心の中でそう突っ込んでいた。

「美香に誘われてやったんでしょう?」

「ええまあ、そうですけど」

「美香がどういった目的でキャメルちゃんを連れてきたかは大体予想はつくわ」
香里さんが美香さんに視線をずらして言う。

「大体って?」
それを言う美香さんは眉を少し引きつらしていた。

「そうね、差し詰め頼香ちゃんが女言葉を話すようになったとか言って驚かせるって魂胆でしょう」
香里さんは美香さんの作戦をズバリ言い当てる。

「美香さんばれちゃってますね」
あたしは苦笑しながら美香さんに視線を向ける。

「そうね」
そう言う美香さんも苦笑していた。

「そういえば、お母さん何か用があったんじゃないの?」
美香さんが香里さんに尋ねる。

「そうそう、ご飯ができたから来なさい、勿論キャメルちゃんもよ」
香里さんはそう言うと部屋を出て行く。

「さあ、私達も行きましょう」
美香さんが香里さんの後をついてい来ながら言う。

「はい」
あたしも美香さんの後に続いた。
そして、台所に入ると四角のテーブルの椅子に頼敏さんが座っていた。

「キャメルちゃん、美香がすまないことをしたね」 
頼敏さんはあたしを見て謝る。

「いいえ、あたしも自分の意志(だと思いたい)でここに来たんですから。
気にしないで下さい」
あたしは頼敏さんに首を横に振って答える。

「冷めないうちにご飯を頂きましょう」
香里さんの言葉があたしと頼敏さんの会話を打ち切る。

「そうね/だな」
香里さんの言葉に頼敏さんと美香さんが同時に反応し、食事が始まる。
そういえば、あたしって人が食べるようなご飯を食べた事あったかな?
と、思いつつ用意された物を食べてみる。

「美味しい」
思わずそう言ってしまった。
食べるたびに感じる満足感それをどう表現しようかと思っていると、
自然に『美味しい』と言う言葉が出てきた。

「ありがとう、キャメルちゃん」
香里さんはあたしの言葉を聞いて嬉しそうに言う。

「そうか、キャメルちゃんは香里の料理が気に入ったのか」
頼敏さんもどこか嬉しそうに言う。
そう言った会話が続き食事が終わると、香里さんがあたしをじっと見て言う。

「改めてみると、キャメルちゃんは本当に頼香ちゃんにそっくりね」

「そうでしょ?私も最初は間違えたわ」

「そうだな、俺は美香に聞くまで全然わからなかったぞ」
美香さんたちがあたしの事で会話をはじめる。

「美香さん」

「何?キャメルちゃん」
あたしは美香さんの近くまで行き、耳元で囁くように言う。

「香里さんと、頼敏さんはあたしの事を全部知っているの?」

「キャメルちゃんから聞いた話は全部話したわ、
話したばかりのときは驚いていたけど、
私の両親は貴女の事恨んだり怒ったりはしないから安心してね」
美香さんは笑顔であたしの質問に答えてくれた。

「それじゃあ、あたしの事を全部知った上で・・・・」

「そうよ、その事をした上でキャメルちゃんと一緒に食事をしていたのよ」
香里さんは微笑みながら言う。

「キャメルちゃんが作られている物であろうがなかろうが今は関係のない事だ。
君は自分が人間でない事を気にしているみたいだが、
俺達と意思疎通ができる時点で君は立派な人間だ、少なくとも俺はそう思わさせてもらう」
頼敏さんは真剣にあたしに話す。
頼敏さんの話が終わった後、あたしは自分を受け入れてくれた事が嬉しくて泣いてしまった。
嬉しいのに泣くって、何か変な感じがしたけど、泣いた後は心地よかった。
あたしが泣き止んだ後、頼香ちゃんの両親としばらく雑談をいていると、

「あら、もう九時だわ」
香里さんが時計を見て言う。

「もうそんな時間?」
美香さんも香里さんにつられて時計を見る。

「キャメルちゃん、家に泊まっていきなさい」
香里さんがここに泊まるように提案する。

「いえ、やっぱり、頼香ちゃんが心配すると思いますので帰ります。
美香さん、頼香ちゃんに電話してくれます?
それですぐに帰れるはずですから」
あたしは自分がいるべき場所早く帰ったほうが言いと思い、泊まる事を断る。

「わかったわ」
美香さんが電話をかけ始めると、

「今度は頼香と一緒に来てくれ、娘が一人増えたと思えばいいからな」

「そうね、双子の娘って言うのもいいわよね」
頼敏さんの言う事に香里さんは頷く。

「でも・・・・」
あたしはそう言われて戸惑う。
自分にここに来る資格なんてないはずだから。

「気にしなくていいのよ、キャメルちゃんはもう家族みたいなものよ」
香里さんは片目でウインクする。

「キャメルちゃん、頼香がもう直転送するって」
電話を終えた美香さんがあたしにそう言うと同時に、
あたしはさんこうに転送される。
さんこうに転送されると、頼香ちゃんが出迎えてくれた。

「キャメル、おかえり」
あたしは拍子抜けする。
何故かと言うと、頼香ちゃんに怒られるとばかり思っていたからだ。

「た、ただいま」
あたしは戸惑いながら言う。

「今日はありがとうな、果穂の毒牙から俺を守ってくれるために、
学校まで行ってくれたんだろ」
あたしは頼香ちゃんにお礼を言われて、余計と戸惑ってしまう。

「ら、頼香ちゃん、それを誰に聞いたの?」

「えっ?ゆーきからだけど?」
そっか。祐樹さんがいいように言ってくれたんだ。
あたしはどうして頼香ちゃんが怒っていないのかがわかってホッとする。

「キャメル、今日は疲れただろ?
今からマンションに転送するからゆっくり休めよ」

「頼香ちゃんは?」

「俺はここでもけに相談する事があるから、それが終わったらマンションに帰る」

「わかった、果穂ちゃんにそう伝えておくね」

「ああ、それじゃあ、転送するぞ」
頼香ちゃんがそう言うと同時にあたしはマンションに転送される。
マンションに戻ると果穂ちゃんに頼香ちゃんの事を伝え、あたしは頼香ちゃんの部屋に入る。
そして、ベッドに腰掛けて、頼香ちゃんの帰りを待っていようと・・・・・、
思っていたんだけど、頼香ちゃんを見ることなくあたしに意識は遠くへ行っていた。



「・・・める、キャメル」
あたしは誰かに起こされる。
そうだ、あたしは頼香ちゃんの帰り待って・・・・その後の記憶がない。
あたしが目を開けると、頼香ちゃんが目の前にいた。

「起きたか?」
頼香ちゃんの問いにあたしは頷く。

「それとこれを着ろ」
と言われて、あたしは頼香ちゃんに学校の制服を手渡される。

「これって?」
あたしは首を傾げる。

「昨日、ゆーきと美香姉に聞いたよ、キャメルは学校に行きたかったんだな。
気付いてやれなくてごめん」
頼香ちゃんはあたしに謝る。

「もしかして、昨日もけさんと相談したことって・・・」

「ああ、キャメルと一緒に学校に行けるかどうかをもけと相談していたんだ。
なかなかもけがうんと言ってくれなかったし、
もけが承諾してくれた後の作業も大変だったんだ。
キャメルを学校に行くとして、俺との関係と名前を決めるのに苦労して、
今日の二時にやっと決まったんだ」
頼香ちゃんあたしのために昨日遅くまで作業していてくれたんだ・・・・。

「頼香ちゃんありがとう」
あたしは頼香ちゃんの心のそこから感謝する。

「あとキャメルの名前と関係だけど、俺の双子の妹で『戸増美里』になるけどいいな」

「どうして名前を変えるの?」

「流石に日本人で『キャメル』と言う名前はないからそうしたんだ。
名前は『美里』は俺の母さんの『里』と美香姉の『美』を取って『美里』にした。
それの方が俺の妹らしい名前だからな」

「わかった」

「俺からの説明はこれで終わりだ、早く着替えろよ」

「うん」

「頼香さん、キャメルさんご飯ですよ」
果穂ちゃんがあたしと頼香ちゃんを呼ぶ声がする。

「「すぐ行くぞ/わ」
制服に着替えた頼香ちゃんとあたしが同時に返事をする。
今日からあたしは頼香ちゃん達と一緒に学校に行くことになっているらしい。

「キャメル、行こうぜ」
と言って、頼香ちゃんは先に部屋を出る。

「頼香ちゃん待って」
あたしは状況の把握ができていなかったから、少し躊躇したのだけど、
学校に堂々といけるのならと、頼香ちゃんの後についていく。
そして、台所に入ると制服姿の果穂ちゃんがご飯をよそっていた。

「果穂ちゃん、おはようございます」
あたしは果穂ちゃんに朝の挨拶をする。

「キャメルさん、おはようございます」
あたしは台所には行ってハッとする。
あたしの夢と全く同じだと・・・。

あたしの見た夢の通りに行動し、
祐樹さんに送り出され学校へと歩き出す。
ここから新たにあたしの『戸増美里』としての学校生活が始まる。




後書き

書き始めて約一ヶ月・・・やっと書き終わりました(汗)
私自身はじめての二次創作の作品となりますがどうでしょうか?
他人の作品を書くって大変ですね。
書いてて本当にそう思いました。
今度は来栖ちゃんを書くぞ〜、と言いたいところですけど、
私自身が書く気が起こるのは何時の事やら(汗)
もしかすると、執筆活動をしばらく休むかもしれません。
ここの作品を書いた途端に燃え尽きましたので(爆)
それでは、またです。

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