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この作品はシェアワールド「らいか大作戦」の一部である
【 MOE-DOLL根幹設定】並びに『DOLL王国と惑星連合との同盟』を最終的に予定されているされている、
【若葉のDOLL 萌ゆる戦乙女】を根幹作品とする

【若葉ワールド】

を前提として書かれた作品です。
DOLLについてより詳しくはこちら
大本である【らいか大作戦】は、
こちらを 参照してください。


この作品の設定は「らいかわーるど」および「M・O・E-DOLL」に準拠しておりますが、メインとなるストーリーとは一切関係ありませんのでご了承ください。










 その日、彼女は悩んでいた。

 まるでこれから一生のことを思い悩むような苦渋に充ちた表情で、究極の選択をしようとしていた。



「う〜ん…お子様ランチ食べたいけど、これ以上食べたらおやつのヒマワリのタネが食べられなくなっちゃうよぉ」

 彼女が立っているのは食堂の前・これから昼食を取るところ…そんな事で悩まないで欲しいなぁ。めるてぃちゃん。






めるてぃのその後

キャラクター原案
かわねぎ様、SAL様、もぐたん様、ひめくり様、ノイン様、keyswitch

原作・原案:かわねぎ様、ひめくり様

作:keyswitch







 と、そこへ、

「どうしたのでしゅか、めるてぃちゃん」

 ちなみに、めるてぃ自身には階級はない。まぁ、不運な事故(?)により、急遽TS9で働くことになってしまったために、正規の手順を踏む事無く、直接司令官から着任を任命されたためである。
 現在は形式上、研修という形で任務に就いているのだが、研修期間が過ぎれば正式に階級が付くことになっている。

「あ、もけ大尉。こんにちはです」

「同じプレラット人だからそんなに堅くならなくてもいいでしゅよ。それにめるてぃちゃんは階級にこだわる必要なんてないでしゅ。

 でも、本当にどうしたんでしゅか?。何か悩みがあるんだったら何でも言ってくだしゃいね」

「あ、ありがとうございます…です。じゃあ…私の今悩んでいることを聞いてくれますか?」

「じゃあ、一緒に昼食を取りながらにちまちょう」

「あ、は〜い♪

 私、お子様ランチお願いしま〜す♪」

 …その瞬間にめるてぃの悩みはすでに終了しているのだった。



「はぁ、美味しかったです」

 ランチも終わり、ラウンジで2人一緒に休憩していた。周りの目が多少ある気もするが、そんなことはじぇんじぇんわかっていない2人だった。

「そうでちゅね。あ、そうだ…一緒に、地球から持ってきたこのヒマワリの種を食べちぇんか?」

 そう言って、懐から『内容量10kg』と書かれた袋を取り出す。………って、懐って何処に持ってたの?

「え〜っ、本当ですかぁ!?

 あ…でも………」

 そう言って、ちょっと寂しげな表情をするめるてぃ。

(君も女の子らしくなったみたいだねぇ。よしよし)

 と、草葉の陰(TS9に草なんて生えているのか?)から某氏が微笑んでいるのだが、それはあえて見なかったこととして、そこら辺にテキトーに流してしまおう。

「ど・どうしたんでちゅか!?。僕がなにか気になることを言ったでちゅか?」

 おろおろしだすもけ。彼も彼なりにめるてぃの事が気にかかっているようだ。

 もっとも彼は『同じ仲間』として心配しているのだが、どうやらその瞬間『だけ』を見た周りからはそう思われなかったらしく…しばらくの間『めるてぃちゃんをいぢめた』として、白い目で見られる事になってしまったのだが、それはまた別のお話で…



「あ、そうじゃないです。もけ大尉は何も気になることなんて言ってませんよぉ。

 ただ…これ以上食べちゃったら、太っちゃうんじゃないかって思っただけなんですぅ」

「うーん、確かに難しい問題でちゅねえ。

 僕達プレラット人は、ちゃんと運動さえすれば太るなんて事は無いのでちゅけれど…めるてぃちゃんは運動すると言っても、今までみたいにプレラット人用のトレーニングマシーンを使えないでちゅからね」

 ちなみに、ここで言うトレーニングマシーンとは………皆様、判ってますよね。その通り、ハ○スターの廻し車の形をしたアレである。

「そうなんですよね。今まではちゃんとトレーニングできたんですけど、この身体になってからは、もうあのトレーニングマシーンは使えないですから。それに、テラン人やキャロラット人の皆さんの道具だと大きすぎて、ボクには使いこなせませんし…」

「難しい問題でちゅねぇ」

「難しい問題ですぅ」

 そう言って2人は、ラウンジでため息を付きながら、ヒマワリの種をムシャムシャパクパクと一心不乱に食べているのだった。

 …まぁ、ハムちゃんズが2人以上集まって話している目の前に、ヒマワリの種を置かれれば、例え頭の中では真剣に考えていようとも、無意識に手を出さずにいられないと言うのが、当たり前といえば当たり前の反応ではあるが。



「でも、そんな事で悩んでも、人生楽しくないでちゅよ。

 それに、運動してないって言ってまちゅが、僕達プレラット人にとってこのTS9で働いていること自体が、運動していると言うことになりまちゅからねぇ」

「え、それってどういう意味ですか?」

「だってそうでちょう?

 特にめるてぃちゃんは、テランの人達と一緒に働いてまちゅから僕達以上に走り回っているはずでちゅ。そう考えると、ちゃんとトレーニングしているんじゃないでちょうか?」

 確かに、今のところ『DOLL対策チーム』の一員として、八面六臂の活躍をして…いるとはあまり聞いたことはないが、それなりに活躍をしているのは確かなようだ。

 もちろん、普通のテラン人・もとい、元テラン人のダイナ少佐とミナス少尉と一緒に働いているのだが、彼女たちは今でも艦隊を率いて飛び回ることが多く、その時などはめるてぃ1人で情報の整理やバックアップなど、本当に目の回るような忙しさで働いているらしい。そう考えると、もけの言っている事は当たらずといえども遠からずといったところなのだ。



「そう………ですよね。悩んでもしょうがないですよね。

 ありがとうございます。こんな私の愚痴なんかにつき合ってもらっちゃって」

「いいんでちゅよ。こんな事ぐらいおやすいごようでちゅ。

 …あ、そろそろお仕事が始まりまちゅね」

「そうですね。じゃあボクはこれで失礼します。今日は本当にありがとうございました」

「うん、じゃあ僕ももどりまちゅね」

 そう言って2人はラウンジを後にする。



 ラウンジには、一粒も残っていない空っぽの袋だけが残されていた。ゴミはちゃんゴミ箱へ入れてリサイクルへ。

 しかし………2人の何処にあれだけの量が入ったんだろう?



★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★





「確かに…悩んでもしょうがないですよね。うん♪」

 そう言って、小走りに走り出しているめるてぃがそこにはあった。どうやら悩みは解決したようで、歌を口ずさみながら元気に走っていた。

「ヤーヤーヤーヤーヤー・ウーラーララ♪ ヤーヤーヤーヤー・ウーラーラー♪」

 …それはやめて…似合いすぎるから………それ以前に、よく知ってるねぇ。



★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★




 とまぁ、いつにもまして元気に飛び回るめるてぃ。だったのだが、

 いつも以上に頑張りすぎると、普通はこうなるわけで…

「ふへぇ〜…疲れたよぉ」

 精根尽きたという感でグッタリとしているめるてぃの姿が、昼間、もけと話していたラウンジにあった。

 まぁ、宇宙空間なので、昼とか夜とかいう区別は全くないのだが、あくまで『標準時間』で話は進んでいるのでその辺りにつっこまないでください。

「ちょっと…頑張り過ぎちゃったかな…

 でも、これぐらい頑張れば、この後の夜食が美味しいよねぇ。でも…張り切りすぎて本当に疲れちゃったぁ」

 たしかに、動けなくなるほど疲れるまで働くのはあまり進められないとは思うんだけど…



 と、そこへ…

「うにゃ。

 どうしたのにゃ、めるてぃちゃん」

「あ、みけね少尉。こんばんはです」

 こう考えると、めるてぃって結構顔が広かったりするんだよねぇ。

「どうしたのにゃ。すごく疲れとるみたいだけど」

「はい。今日はちょっといつも以上に張り切り過ぎちゃって…疲れちゃいました」

「そうなんや…あ、ちょっと待っとってね♪」

 そう言うとみけねは、一旦席を外す。不思議に思いながら待っているとすぐに戻ってきた。そこには…

「はい。疲れてるみたいやからね、あたしのおごり♪」

 そう言って渡されたのは…栄養ドリンクだった。

「ありがとうございます♪」



「でも…大変じゃにゃい?、プレラット人なのにヒューマノイド体型になってもうて…」

「まぁ、確かに大変といえば大変ですけど、皆さん優しいですし」

「そやね。なんたって基地内では人気者やからね」

「そ…そんな…」

 そう言って、恥ずかしさから顔を真っ赤にして俯いてしまっためるてぃを見ながら、

(かぁいい〜。食べちゃいたいくらい♪)

 とみけねが思ったとか思わなかったとか…



 ちなみに、保安カメラでその姿を見てしまった当直のプレラット人は…その瞬間萌え尽きたらしく、その後の記憶が無くなったという。

 そして、仕事終了と同時に『DOLLファンクラブ』に速攻で入会したとか。

(ちなみにこの『萌え尽き』のせいで、この後起こった悲劇的なトラブル…というよりどたばたが記録されなかったらしい。詳細は続きをご覧下さい)



「さて…ウチはこれから仕事があるさかい、これでお開きやけど…

 めるてぃちゃんの魅力は『いつでも何処でも明るく楽しく』やから。

 もし何か手伝えることがあったら、ウチだけやない、みんなに言ってほしいにゃ」

「………はい………」

 その言葉が何よりも嬉しいめるてぃだった。みんなに慕われている…これがどんなにも嬉しいことなのかは、彼女自身は良く解っている。

 



「最初にこんな姿になったときには…もう私の未来なんて無い物と思っていたけど。

 でも、こんなに優しい先輩達が沢山いるところで仕事が出来るようになるなんて…私って幸せ者なのも知れない。

『惑星連合』って、もっとお堅い場所かと思ってたんだけど…考え違いをしていたみたい…」

 彼女のこの一言・半分当たりで半分はずれといって所だろうか。彼女は直接この職場に来たから詳しくは知らないのだが、もけやみけねなどは、アカデミーで厳しい訓練を受けているため、普段はこんなのんびりとしているように見えても、非常時にはすぐに対処できるほどの経験を養ってあるのだ。

 だからこそ、仲間を守ろうと意識も強くなるし、仲間を想う意識も強くなっている。

 落ち込んでいるような仲間がいれば、助けてやろうと思うのが彼らにとっては当たり前の行為なのだから。



★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★





「よしっ!、体力も回復したからディナーを食べにいこーっと♪」

 すっくと立ちあがるめるてぃ。と、



 カリカリカリカリ



「?」
 不思議な音が耳に届く。



 カリカリカリカリ



「何?…何の音?」

 何気なくイスの下を覗くと…そこにいた人物と目が合ってしまう。

 一瞬の静寂の後…

『うっきゃ〜!!??』

 同時に驚かないで欲しいなぁ。



 めるてぃの座っていたイスの隣のイスに、いつの間にか1人の少女がむしゃぶりついていた…こう書くと、どう見ても『変な人』にしか見えないのだが、本人はいたって真面目にイスにかじりついていた。そしてそのイスはもう、4本の脚のウチ1本はなくなっており、現在その少女は2本目も2/3程食べ尽くしていた。

(…えっと………なんなのぉ!?)

 まぁ、めるてぃはDOLLになてしまったものの、すぐにDOLL装甲除去手術を受けたので知らなかったのだが、DOLLは食物以外に金属なども緊急避難的に栄養源として食べることが出来る。

「あの…美味しいですか?」

「美味しくないよぉ〜。でもお腹空いちゃって…かといって何も食べる物が無くて…」

「じゃあ、一緒にご飯でも食べませんか?。もちろんおごりますよ。

 お子様ランチ…よりも普通の定食セットの方がいいんでしょうか」

「え〜っ!!!。お子様ランチがあるのぉ!?。お子様ランチの方がいいよぉ〜♪」

「あ、それで良いんですね。じゃあ…ラウンジですがお子様ランチ1.2人前の出前をお願いします」

「おっ子様ランチぃ♪ おっ子様ランチぃ♪」

 すでに、もう1人の少女は舞い上がっているようだった。



 そして…出前が来るまでの間、しばらく待つことに…

「あの…あなたはいったい…」

 めるてぃの方から声をかける。今まで一度もあったことのない少女だったからだ。

「あ、あたし?。あたしはピナフォアだよ」

「ピナフォアさんって、DOLLなんですか?」

「な〜に言ってるのよぅ。あなただってれっきとしたDOLLじゃないのぉ…ちょっと装甲が違うみたいな気もするけど」

「装甲………!!」

「まるで装甲を外してしまったみたいで…へんなのぉ♪」

 その言葉で…ミナス少尉から聞いた言葉を思い出す。

『DOLL種族は、DOLL以外の知的生命体には同化という形で、自分の仲間を増やそうという行動に出るんだ。でも、ボク達の場合は装甲除去手術でDOLLとしての機能は失われている物の、相手からは仲間として認識されるために、そう言う行動には出ないらしい。

 ただ、あまりにも不自然な言動を行うと、不審に思われて再チェックやメンテと称して、またDOLLナノマシンの注入を行われるらしい。そうなると…普通のDOLLになってしまう可能性がある。

 だから、万が一本物のDOLLに出会ったら、さりげなく逃げてきた方が良いよ』



 もし目の前にいるピナフォアさんが、本物のDOLLだったとしたら………でも、確かめる方法は…

「ピ・ピナフォアさん」

「ん?、なぁに?」

「ピナフォアさんはどうやってこの基地へ?」

「いやぁー、それが恥ずかしい話なんだけどね。

 この空域の近くを飛行していたら、突然メインエンジンに隕石が衝突してしまってね、航行不能に陥っちゃったのよ。

 で、サブエンジンとライフシステムも一緒にこわれちゃって…とにかく、脱出用のシャトルで脱出したってわけ。

 もちろん脱出用だからそんなに飛べないのがわかってたから、とにかく一番近い生命体反応があるところへと飛ばしたらここに着いちゃったのよ」

「はぁ」

「で、一通りざっと調べて、この基地は私達DOLLの物じゃないことが判って、詳しい調査をかねて潜り込んだ…んだけど、何をやっていいのか良く解らないウチに時間だけが過ぎていき…乗ってきたシャトルも食べちゃってどうしようか悩んでたのよ」

 ふつう、シャトルを食べたらどうなるかぐらいは誰にだって判りそうな物なのだが…まぁ、こいつもそんなヤツと言うことか。



「でも、まさか、この基地内にお仲間がいるなんて思っても見なかったわ。

 これからもよろしくね…ええっと」

「め・めるてぃ…です」

「めるてぃちゃん!!」

 そう言って無理矢理握手する………と、ピナフォアの動作が止まる。

「ど…どうしましたか? ピナフォアさん?」

「………めるてぃちゃんの、DOLLナノマシンって、止まってない?」

『ぎくっ』

「もしかして…めるてぃちゃん、体調不良とかになってない!?」

 一応、これは同じDOLL種族を心配する・いわば先ほどの、もけやみけねがめるてぃを心配することと同じ事…なのだが。



「これは…メンテした方が良いわね」

 そう言うと、ピナフォアが無条件でめるてぃを触手でからめ取り、自分の顔に近づける。

「心配しなくても大丈夫だよ。DOLLになったときと同じで、私のナノマシンを投入して不具合のあるナノマシンを修理するだけだからね」

 それこそが、めるてぃが一番恐れていることなのだ。

 何とかピナフォアから脱出を試みようとするめるてぃなのだが、いかんせん体格差がありすぎる。



 めるとぃとピナフォアのくちびるの間隔が徐々に狭まって行く…

 5センチ…4センチ…3センチ…2センチ…1センチ…5ミリ………

(もうだめ!!)

 そう思った瞬間、女神が舞い降りた。





 救世主・食堂のおばちゃんの出番であった。

「ごめんねぇ、材料用意してなくて最初から作ってたら遅くなっちゃって。

 お子様ランチ1.2人前だったよね。

 食べたらここに置いておいてくれればいいよ。後で取りに来るからね」

 食堂のおばちゃんは、てきぱきと並べると、

「冷めないウチにたべてあげてね」

 といって退場する。





「おこさまらんち…」

 その一言に…今までしようとしていたことなど頭の片隅に追いやられてしまうピナフォア。そして、目の前に置かれているそれを見て…涙を流す…

「………うううぅぅぅ…………久しぶりのまともな食事だよぉ。しかも・しかも、ポーンなんかでは絶対に食べられないビショップクラスのじゃないのぉぉぉ。

(詳細はDOLL掲示板の、『お子様ランチ』を参照して下さい)

 これ…これ、本当に私が食べても良い物なの?」

 すでにピナフォアの頭の中には『お子様ランチ』という言葉しか残っていなかった。

「え? ええどうぞ。これがこの基地では普通なのですが………食べないんですか」

「たべるうううぅぅぅぅ」

 そしてその瞬間、ピナフォアは先割れスプーンを手に取ると。一口一口味わいながら…涙を流しながら…余韻を楽しみながら、しっかりとかみしめて食べるのだった。



(よかった…何とか助かったみたい)

 心のなでそう思いながら自分も、専用で作ってもらった0.2人前のお子様ランチを食べ始めた。



「あーおいしかったぁ」

「そうですね。これで、ヒマワリの種があったら最高なのですが…」

「え、ヒマワリの種ってなに?。それも美味しいの」

「もちろんです。おやつとしては最高ですよ。今度一種に食べましょう」

「うん♪」



★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★




 と、そこへ、

「あれ、めるてぃ、まだ就寝してなかったのか?」

 と現れたのはミナス少尉…元DOLLで、めるてぃの上司に当たる人だった。

「あ、ミナス少尉。ボクも寝るところ…なんです………が………」

 何かいつもと違う表情のめるてぃをみて『何かあった』事を察したミナス少尉は…めるてぃの前に座っている少女に目を留めた。彼女は…DOLL・一目で判断する。でも、その顔は見たことがない…



 ミナス少尉を見て焦ったのは…ピナフォアの方も同じ。

(…ま・まさか、この基地に、こんなに何人もDOLLがいるなんて…まさか、この基地ってそんな重要な基地なんでしょうか?)

 まぁ、当たらずとも遠からずって所かな?

「あ、あの…ミナス少尉…ですよね。1つ聞いて良いですか?」

「ええ。…でも、初めて見るDOLLの方ですね。どこかのTS基地から移転した来たのですか?」

「ええっと…この基地って、DOLLにとって、そんなに重要な基地なのでしょうか?」

「へ?」

 すでに話がかみ合っていない。流石にすぐに答えられないミナス少尉だった。



 と、めるてぃが、耳打ちする。

(この、ピナフォアって娘…本物のDOLL見たいです。どうやらまだDOLL装甲除去手術を受けてないみたいなんですよ)

(…って事は…)

(はい。さっきあやうく元に戻らされる所でした)

(…これは、戦闘になるとやっかいだな。言葉で何とかまるめこむしかなさそうだ)

 そう判断する。

(あ、めるてぃ。例の手はいつでも使えるようにして置いて)

(はい)




「ピナフォアさんは何処へ向かう予定だったのですか?」

「うんとね、基地に帰る途中だったんだよ。それがちょっとした事故でここにたどりついちゃったんだ。

 それで、ミナス少尉は何故ここにいるのですか?」

 いきなり振られて…即答できるぐらいなら、もう少し地位の高いところにいるだろう。

「えっと…ね……

 調査………そう、この基地の調査をしてるんだよ」

「でも、調査にしては装備が貧弱じゃないですか?」

「その星に入ったらその星の生命体のフリをするのが…ふ・普通だと思うけどなぁ」 

「でも、標準装備もないなんて…おかしいなぁ」

 それを聞いて慌て出す…そんなモノがあることすら知らない2人にとってはどう答えたらいいのか分からない。



「さっきのメルティちゃんの反応もおかしかった気がするけど…ミナス少尉の方がもっとおかしい気がしますよ。

 ミナス少尉、この頃何かからだの調子がおかしいとかありませんか?」

「ぜ・全然全く問題ないよ」

「ナノマシンの調子とかおかしい信号とか感じませんでしたか?」

「ないない、全くない…」

「そう…ですか」

 これで、何とかなるかと思ったミナス少尉だった…が、

「何処にも問題ないというのは、私みたいな装甲をつけているときはそうなのですが、あなたみたいに装甲がない状態で何の問題が無いというのは絶対におかしいですよ!

 これは………必ずどこかナノマシンにおかしいところがあります。メンテの必要ありですね♪」

 その直後、今度はピナフォアの触手が一瞬判断の遅れたミナス少尉にからみつく。

「しまっ…
 なんでだぁ。ボクはいたって正常だぞぉ!!!」

「おかしくなった人が自分のことをおかしくなったなんて言いませんからぁ。

 大丈夫ですよぉ、ちっともいたくないですからねぇ。すぐすみますから」

 まるで子供に注射を打つようなことを良いながら、自分にミナス少尉を引き寄せる。ミナス少尉は目線でめるてぃに指示を出す。



 めるてぃはミナス少尉のその指示で…行動を起こす。

 それは…とある場所への連絡。そして…





 救世主・食堂のおばちゃんの出番であった。(2度目)

「特上お子様ランチ2.2人前おまちどおさま。

 食べたらここに置いておいてくれればいいよ。後で取りに来るからね」

 それは…まるで神速の行動だった。目くばせしてからメルティが食堂に出前の注文を入れる…それから数秒後には注文した商品が並んでいたのだった。あなどるなかれ『食堂のおばちゃん』

 食堂のおばちゃんは、またもやてきぱきと並べ終えると、

「冷めないウチにたべてあげてね」

 と現れた時と同じようにあっという間に退場する。

 そこには…さっきまでめるてぃとピナフォアが食べたお皿は残っていなかった。流石は食堂のおばちゃんである。いつの間にか片づけていったようだ。





 目の前に並べられた、先ほどより豪華なお子様ランチを見て…ピナフォアは心がおもいっきりゆらぐ。目の前の仲間を救うか・お子様ランチを食べるか…どっちを先に行うか、究極の選択であった。

 どうやら、メンテをしてからでも食べられると判断して、ミナス少尉にメンテ(キス)しようとして顔を近づける。

(遅かったか…判断の誤りはボク自身のミスだ)

 そう後悔したミナス少尉に、ピナフォアのくちびるが触れようとした瞬間…



「ピナフォアさん、食べないんですかぁ。ならボクが食べちゃいますねぇ。

 うわぁ、さっきよりもすっごくおいしそう♪」

 と、いつもよりも大きな声で話しかけるめるてぃ。

 その言葉に………

「あぁっ、だめぇ!。めるてぃちゃん、それはあたしのぉ!!」

 そういって、触手で絡めていたミナス少尉を離すと、ダッシュで席について、

「いっただっっきま〜す♪」

 至福の顔をしながら、お子様ランチを食べ始めた。



「何とか助かった。ありがとう、めるてぃ」

「いえ。でも、これからですよね」

「ああ、何とか言いくるめなければ…」



 食事に夢中になっているピナフォアに声をかけるめるてぃ。お子様ランチを食べている今こそが、彼女を操作しやすいと踏んだのだ。

「ねぇ、ピナフォアさん。ピナフォアさんも僕達と一緒に、ここでこの基地の調査を手伝ってくれませんか?」

「?。どうして」

「そりゃ、人がいればいるほど情報が集まりやすいからに決まっているからだろう」

「そりゃそうだけど…あたしに何のメリットがあるの?」

「ここで働いている間は、毎日・毎食・好きなお子さまランチを食べ放題なんだよ」

「!!??」

 この一言は…ピナフォアにとってはまさに最高の条件だった。ポーンである自分が、元の基地に戻ったとしても、これほどの食事を食べることは出来ないだろう。それがここにいれば毎日・毎食、食べることが出来る…ピナフォアにとって、これ以上の幸福はあるだろうか?

 もちろん、周りは異種族ばかりだ。しかし、少なくとも目の前には2人、仲間のDOLLがいる………多少気になるところもあるのだが…



「で…どうすればいいの?」

 この言葉を『了承』とうけとって…2人はほっと胸をなで下ろす。これで何とか戦闘やメンテは避けられそうだ。

「まず…その姿では目だちすぎるから、ボク達と同じ姿に変身して欲しいのだけど」

「えっと………これでいいのかな?」

 と、見ている間に、ピナフォアの装甲が連合の制服とそっくりになっていった。

「あ…うん。後はこのIDカードだけど、これは今日中に用意しておくから。

 これさえあれば、明日からだけど食堂でお子様ランチ食べ放題になるからね♪。で、今日は…」

「は〜い。今日はお腹一杯になりましたからとりあえずはいいですぅ」




「ええっと…じゃあ、ピナフォアさんは…今日は何処で寝てもらいましょうか?」

「あ、私はいつもの所で寝ますぅ。おやすみなさ〜い」

 そう言うと、ピナフォアは、普通は閉じられているはずの緊急脱出口へと姿を隠す。

「………一体何者なんだろう?」

「………さぁ?」

「もしかしたら、TS9の詳細や構造を一番知っているのは…彼女かも知れない」

「そうかも」

 そういってお互いの顔を見合わせる、ミナス少尉とめるてぃだった。



★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★





 なんだかんだがあって…夜遅く、やっとベッドへはいるめるてぃ。枕元には…少し前にとある場所で知り合いになった、緑の髪で赤い目をした可愛らしい少女がフォトスタンドの中で微笑んでいた。

 もっともその少女の背中には蝶のような羽があり、どう見てもテラン人や地球人ではない。その姿は、まるで伝説に出てくる『妖精』の様な可愛い少女。



『今日はとっても楽しかったね…明日はもっと楽しいといいね…めるてぃ』

 フォトスタンドの少女にそう語りかけられた気がして…

「へけっ」

 と無意識に返事をするめるてぃであった。










続………きません。


★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★



後書き:

 このお話に出てくるキャラクターは、『めるてぃ』以外はそれぞれの作者さまの著作物(?)ですので、ご注意下さい。

 なお、ピナフォアとミナス少尉の行動は、ほとんど全てが『ひめくりさま』と『かわねぎさま』による、チャット内での掛け合いを流用させていただきました。私も一部参加していましたがすべて私のつたない記憶に頼りましたので、原文通りとはなっていないと思いますが、こんないめぇじだと記憶しています。

 ですので、このお話の著作権は、かわねぎさま、およびひめくりさまに帰存する物とさせていただきます。

(他にも司令官が直接襲われるパターンもあるのですが………ナイショ)



 あ、途中に出てきた『某氏』ですか? ………えと…考えてません。テキトーにキャラクターをあてがって上げて下さい。


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