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この作品はシェアワールド「らいか大作戦」の一部である
【 MOE-DOLL根幹設定】並びに『DOLL王国と惑星連合との同盟』を最終的に予定されているされている、
【若葉のDOLL 萌ゆる戦乙女】を根幹作品とする

【若葉ワールド】

を前提として書かれた作品です。
DOLLについてより詳しくはこちら
大本である【らいか大作戦】は、
こちらを 参照してください。





恋の行方
作:愛に死す

 科学が発達しいくら宇宙旅行が一般的なものになったとはいえ、普通の庶民にとってはなかなか味わう事ができない。紅顔の美少年アセルは、必死に貯めたアルバイトの給料で休暇を取って宇宙旅行に出かけた。今回申し込んだ旅行は辺境の星々を見て回ってくるだけのものだが、それだけでも宇宙に出た事がないアセルには、大冒険だった。
「ここが宇宙港か、これからの事を考えると本当にワクワクするなぁ」
 顔を紅潮させアセルはタラップを登った。
「これが宇宙船の中かぁ」
 キョロキョロと物珍しそうに艦内を見渡す。
「俺の椅子はと…ここかぁ」
 ドンッとアセルは椅子に座った。
「さて、お隣さんは誰が座るのかな…げっ!」
 横を向いたアセルは驚きの声をあげた。
「おいおいっ、こんな事って!?」
 そこには、目を瞑った大型の猫のような生物が寝そべっていた。大きさは人間ほどもあるだろうか…。もはや、猫ではなく虎である。
「こ、怖いなぁ…早く飼い主が戻ってきてくれないかなぁ」
 恐怖を感じてブルブルと震えながら、アセルは隣に飼い主が座るのを待った。生きた心地が全くしない。
「もう出発時刻が近づいているよ。まだかな…」
 冷や汗を流しながらアセルは飼い主を待ったが、一向に現れる気配がない。
「遂に宇宙船が発射しちゃったよ。スチュワーデスに言った方が良かったのかな…どうしよう…」
 いつ喰われるかわかったものじゃないと焦っている為、アセルは旅行を楽しむ余裕がない。
「ここにいるのはどう考えてもやばいよなぁ…」
 アセルが迷っていると猫型生物が目を見開いて大きな欠伸をした。ギラッと鋭い犬歯が光っている。
「ヒィィィ!」
 思わずアセルは悲鳴をあげてしまった。猫型生物が金色の瞳でアセルの体を射抜く。アセルは恐怖のあまり、体が硬直してしまった。
「あわあわあわっ!」
 意味にならない言葉を吐き出す。
「初めまして、私の名はミリーと申しますにゃ。どうぞ、この旅の間よろしくお願いしますにゃ」
 ところが、猫型生物は官能的な声で喋ると、アセルに向かって優雅に頭を下げた。
「へっ!?」
 どうやら、猫型生物は知的生命体だったらしい。アセルはテラン人以外の種族の事をほとんど知らなかった。
「ああっ、よろしく。俺の名はアセルだよ」
 泡を食いながらも慌てて、アセルは自分の名を名乗った。
「ふぅ、俺って間抜けだよな」
 アセルは自嘲気味に苦笑いを浮かべた。
「どうかされたにょですか?」
 しなやかにミリーは軽く首を傾げた。
「はははっ、実はね…」
 手振り身振りを交えながら、アセルはミリーをはじめどう思っていたのか面白おかしく説明した。
「ニャハハッ、いやっ、笑っては失礼ですにゃん」
 アセルの話し振りがおかしかったのだろう、ミリーは鋭い牙を見せて笑った。
「それは、申し訳ないことをしましたにゃ」
「気にしないで、何も知らない俺が悪いんだから」
 ミリーにつられてアセルも自分のビクビクした様子を思い出したのか、腹がよじれるような大きな声で笑い出した。
「アハハハッ!」
「ニャハハッ!」
 ひとしきり二人は笑うと顔を見合わせた。
「君が隣の席なら楽しい旅になりそうだよ」
「あらっ、私もそう思っていたところですにゃ」
 気があったのかアセルとミリーは雑談を楽しみ始めた。目的地に辿り着くまではワープを繰り返すだけの単調な旅である。気が合う人がいるかどうかで、旅の充実度は随分と変わってくるのだ。二人の旅は快調だった。
「でね、両親が私をお嫁に出そうと画策してにゃ、それが嫌だから飛び出しちゃったにょ」
「見かけによらず君はお転婆なんだね」
「恥ずかしいにゃ」
 ミリーは両手で顔を隠した。
「でも、俺が君と同じ種族だったらほっとかないんだけどなぁ」
 アセルはミリーが礼儀正しく、そして明るい性格の女性だった事を知って軽口を叩いた。
「あら、口がうまいにょね。でも、うれしいにゃん」
 ミリーは照れたのか、尻尾を大きく左右に振った。
「そろそろ目的地かな」
「そうにぇ」
 ワープが解除され、通常空間に船は転移した。
「わぁ!」
「綺麗にゃぁ!」
 そこには、まだ開発されていない青い惑星が眼下に広がっていた。
「やっぱり参加してよかったな」
「私もそう思うにゃ。素敵な人との出会いもあったし…家に戻って両親に強引に結婚させられてもあなたの事は忘れないにゃ」
「ミリー…」
 二人がロマンティックなムードを楽しんでいる時、邪魔をするように警戒音が宇宙船の中に鳴り響いた。
「な、何にゃ!?」
「くっ!?」
 宇宙船の中で緊急事態を告げる赤い光が点滅する。
ドォォォン!
「ウニャァァ!」
「グハッ!」
 大きな爆発音がして、宇宙船の中は激しく左右に揺さぶられた。体を強く打ちつけられ、アセルはうめいた。
「ミリー、大丈夫か?」
「あなたの額から血が…」
「こんなのは掠り傷さ、でも、このままじゃやばいな…」
 どうやら、宇宙船は何者かの襲撃を受けたらしい。
「宇宙海賊か…でも、こんな辺境の地に現れるのはおかしい…」
 アセルは考えを巡らせたが、結論は出なかった。
「逃げてくれ、逃げてくれよ…」
 その祈りも虚しく、宇宙船は再度の攻撃を受け、航空能力のほとんどを奪われた。蛇行しながら重力に引き寄せられ、宇宙船は青い星に向かって落下をはじめた。
「うにゃーん…」
「ここまでなのか…」
 船内は絶望の声で満たされた。
「あはははぁ、我々はM・O・E-DOLL。お前達を同化する。抵抗は無意味だ…って…」
 宇宙船を襲撃したのはあどけなさが残る二人の少女だった。余り知られてはいないが、DOLLという種族である。彼女達の目的は全宇宙の高度知性動物達をDOLL種族に同化する事が目的のはずだが…
「あれぇ、やりすぎちゃったかなぁ」
 黒い装甲を身につけ、長距離砲撃仕様モーターカノンを腕にぶら下げた青い髪の少女はテヘッと舌を出した。
「レミーの馬鹿やろ!出力最大で攻撃したな?いつもお前は間抜けなんだからよ」
 険しい顔をして怒鳴りながら、もう一方の緑の髪をした少女は、拳を振り上げた。
「ふぇーん、シリアお姉さまぁ、そんなに責めなくてもぉ」
「生存者がいるか確認するぞ」
 緑の髪の少女シリアは青い惑星に向けて降下を始めた。
「グスグス、頭を叩かないでくださいよぉ」
 青い髪の少女レミーもそれを追いかけた。

「なんとか生きているようだな…」
 アセルはよろめきながら立ち上がった。
「つぅ、右腕は折れているみたいだな…おっと、それより生存者は他にいないのか?」
 照明が消えて薄暗い船内をアセルは見渡した。
「にゃ、にゃぁぁ」
「ミリー、君は無事だったのか?」
「あなたが庇ってくれたおかげにゃ。まぁ、酷い傷にゃぁ!」
 落下の瞬間、アセルはミリーに覆い被さったのだ。
「これくらい屁でもないさ。しかし、生存者は俺達二人だけのようだな…」
「これからどうするにゃぁ?」
 不安そうな声をミリーは出した。
「とりあえず、救難信号を発進しておこう。あとは食料と水の確保だね」
 しかし、宇宙船の倉庫は攻撃によってほとんど吹き飛ばされてしまっていた。
「これだけじゃ、ほとんどもたないな。外に出て食料を探してくるしかないか…」
「でも、危険だにゃ」
「危なくなったら逃げてくるさ。この星の大気の組成は、人が吸っても問題ないようだし、君はここでちょっと待っていてくれ!」
「うにゃぁ…」
 アセルは右手を壊れて宇宙船の部品で固定すると、外に出てみた。ムッと湿った温かい空気が辺りを満たしている。
「ふぅ、少し暑いな。さて、食べられる物を探さないと…」
 アセルは傷を庇いながら、あちこちを探索した。
「いくら虎のように見えても、女の子は優しくしないといけないからな」
 独り言を呟きながら、歩を進める。
「あれなんか食べられそうな実だな。でも、ミリーは肉食以外大丈夫かな?」
 アセルは宇宙船に戻るとまず自分で実が食べられるか確認した。
「うん、酸っぱいけど、食べられない事はないな」
 数時間して体に異変が起こらない事を確認してからミリーにも勧める。しかし、
「ごめんなさい…」
 ミリーは少しだけしか口をつけなかった。
「そうか、明日は頑張ってみるよ」
 翌日、アセルは獲物を求めて動き回った。兎のような生物を捕らえようとしたが、動きが素早くてなかなか捕まらない。
「こんな事じゃ、ミリーがくたばってちまう!」
 夕暮れ近くになりやっと、アセルは鼠の様な生き物を捕らえる事に成功した。
「ふぅ、こんな物でもないよりましか…」
 アセルが獲物を差し出すと、ミリーは目の色を変えてガツガツと食べてしまった。しかし、量が少ないのであろう、また、物欲しそうな目をしている。
「はははっ、慣れてきたから、もう少し大きな獲物にも挑戦してみるさ」
 そう言いながらも、アセルは体全体が熱を持っている事に気付いていた。
(傷が悪化したのか、それとも風土病にやられたか…)
 努めて気丈に振舞って、アセルはミリーに心配をかけまいとした。
「行ってくるよ」
 アセルは日々、ミリーの為に獲物を取る生活を続けた。しかし、一ヶ月が経過しようとしたある日の事、
「くそっ!こいつを取れれば、食料がだいぶ確保できるのに…」
 いぼいのししのような生き物とアセルは相対していた。爛々とした目がアセルを睨みつけ、鋭い牙でアセルの体を引き裂こうと身構えている。
「負けていられるかよ!」
 懸命に戦ったが、アセルの気力体力もここに来て限界に近づいていた。
「ここまでか…」
 アセルは体当たりを受け、体がバラバラになるかと思われるような衝撃を受けた。
「さよなら、ミリー…」
 観念してアセルは瞳を閉じたが、最後の瞬間はなかなか来ない。アセルが恐る恐る薄目を開くと、鋭い爪と牙でいぼいのししモドキをし仕留めるミリーの姿があった。
「やるなぁ、ミリー…」
 アセルは安堵の余り、ガクッと気を失ってしまった。
「ここは…?」
 アセルが目を覚ますとそこは宇宙船の中だった。
「大丈夫かにゃ、アセルぅ」
「そんな心配そうな顔をするなよ、ミリー、大丈夫さ…」
 そう言いながらも、アセルは体中の力というものが抜けきってしまったようになっていた。
(もう、俺も長くはないな…)
 覚悟を決めながらも、ミリーに優しく微笑む。
「ミリー、俺は君を愛している…」
「うにゃぁ…私もあなたを愛しているにゃ…だから、早く元気になってにゃ…」
「ああっ…」
 しかし、翌日になってもアセルは起き上がる事すらできなかった。
(ここまでだな…)
「ミリー、お願いがあるんだ」
「何かにゃ?」
「俺を食べて、君だけでも生き延びて欲しいんだ…」
「そんな事言わないでにゃ。一緒に帰るにゃ」
「俺が君と一緒になるには、それしか方法がないよ…君には家族もいれば友人もいるだろう…俺には、家族と呼べる人はいないから…」
 アセルは目を瞑った。
「君と一緒にいる事が出来ない、この身が呪わしい…」
 どんどん、呼吸が浅くなり、顔が穏やかになっていく。
「にゃ!?お願い、目を覚ましてにゃ、起きてにゃ!」
 ミリーの呼びかけにアセルは全く反応しない。
「にゃんで、こんな時でさえ、私は愛しい人の体を抱きしめてあげる事もできにゃいの!?」
 ミリーはポロポロと大粒の涙をこぼした。そんな中、上空では二人の少女が生存者を探していた。
「お姉さまぁ、もう一月近くになりますぅ。帰りましょうよぉ」
 レミーはべそをかいていた。
「馬鹿やろぉ!誰のおかげでこんな苦労をしていると思っているんだ!」
 苛々した表情でシリアは怒鳴り声を出した。
「ううっ、私のせいですぅ。許してくださいよぉ」
 目を潤ませてレミーはシリアに頭を下げる。
「ふぅ、帰ったらお子様ランチをおごれよ」
「はいですぅ」
 シリアに許してもらえそうとわかり、レミーはうれしそうな表情を浮かべた。
「うんっ、微弱な電波が発進されているな。これは、救難信号か…行ってみるか…」
 アセルの命の火が消えようとしていた瞬間、宇宙船に二人の少女が入ってきた。
「生存者は二人だけのようだな」
「ねぇ、貴女達は救助隊の人なにょ!?お願い、愛する人を、、アセルを助けてにゃ!」
 藁にもすがる思いで、ミリーは助けを求めた。
「我々はM・O・E-DOLL。お前達が我々と同化すれば、二人とも助かる事ができる」
 シリアは感情のこもっていない声で告げた。
「抵抗は無意味な事だ…」
「そうですよぉ、私達と一緒になればぁ、永遠の命がぁ、約束されるんだからぁ、ねっ、お姉さまぁ」
 レミーはシリアの腕に抱きついた。
「あなたたちはぁ、見たところぉ、違う種族ですよねぇ、どんなに頑張ってもぉ、一緒にはなれないのにぃ、愛しているなんてぇ、変ですねぇ」
 確かに、ここで助かったとしてもアセルとミリーにはお互いの生活があり、結局は別れなければならない。
「私達とぉ、一緒になればぁ、それもかなうかもしれませんよぉ」
 子悪魔的な表情をレミーは浮かべた。
「お前は黙っていろ!」
「グスグスッ、叩かないでくださいよぉ」
 シリアに頭を叩かれ、レミーは涙を目の端に溜めて沈黙した。
「わかったにゃ。まずは、彼を救って!」
 しばらく考えていたが、全てを理解したうえで、ミリーはDOLLに懇願した。
「それは、我々と同化するという事だな。わかった…」
 シリアがアセルに口付けをすると、アセルの体に変化が起こった。体が徐々に縮み始め、肌がきめ細かく白くなっていく。胸には僅かな膨らみができたようだ。その一方で股間の膨らみが今は何処にも見当たらない。
「うっ…」
 アセルが熱に浮かされたように呻き声をあげた。服を破ってシリアと同じような装甲が姿を現す。
「ああっ!」
 傷を負っていたはずのアセルの体は、傷一つない滑々としたものに変わっていた。しかし、その外見はどう見ても十二歳くらいの少女そのものである。
「俺…いや、僕は助かったのか…」
 アセルは目を見開いた。
「これで、お前は我々の仲間だ」
 シリアが心なしかうれしそうな表情で言う。
「さぁ、次はお前の番だ」
「それは、僕にやらせてくれ!」
 アセルはシリアに頼み込んだ。
「別に構わないが…」
「ありがとう」
 アセルはミリーの方を向いた。
「できれば、僕は君に自らの意思でこちらに来て欲しい…」
 真摯な目でアセルは語りかけた。容姿がどれだけ変わろうとも、その目の輝きはアセルそのものである。
「ええっ、この身がどうなろうと、あなたと一緒に暮らせるなら…」
「ミリー、愛している…」
 アセルの口付けを受けると、ミリーの体は捻れ始めた。体全体から毛が抜け落ち、骨格が変化していく。
「にゃぁ…」
 数分後、そこに立っていたのは、猫耳と尻尾のついた可愛い少女だった。八重歯が口元にちょこっとはみ出している。
「うれしいにゃぁ」
 ミリーはアセルに飛びついた。
「あなたを抱きしめる事ができるにゃぁ」
「これで、僕らは永遠に一緒だね…」
 アセルとミリーは、お互いの愛情を確かめ合うように、熱い口付けを交わした。その後、アセルとミリーはどんな事があっても離れ離れになる事なく行動を共にする事ができるようになったのです。


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