戻る





・・・こちら連合第3管区所属輸送船ジェスフォー、Trans Space9入港許可を・・・
・・・こちらTrans Space9、貴船のコードを・・・
・・・WRJ3−0034704オーバー・・・
・・・コード確認、第3ポートへ、レーザーシンクロ・・・
・・・第3ポートラジャー、シンクロ・オートパイロットオン・・・
・・・オートパイロットリンク・トラクタービームシュート・・・
・・・カウントダウン10・・・
・・・3・・・2・・・1・ロック!・・・
・・・ガントリーロック・・・
・・・ようこそTrans Space9へ、貴船を歓迎します・・・




連合宇宙宇宙基地Trans Space
1から9までのNoを持つそれは連合の動脈たる存在であり、多くの艦船がそれを旅立ち帰着する
人はTrans Spaceで、艦船の修理・休養・補給などを行いまた旅立つ。
内部に工場・宙港を備えたTrans Spaceとは、まさに宇宙に浮かんだ一つの都市といえるのである!

そのTrans Spaceを管理運営する機関が当然惑星連合に存在している
Trans Spaceを効果的に運営し、より宇宙開拓の効果を上げ惑星連合の発展を促すのが目的なのである!
そこには当然効率が優先されている
何故なら運営資金は連合での税金で賄われているからなのだ
同じ資金でどれだけ寄与するか、そこが問題なのであった!
その運営部門を”連合航宙局”という


「シュルツバーン中佐、前期の集計を終わりました」中尉はそう言いながら、持参したバインダーを机に置いた。
「ああ、ご苦労・・・で、なにか気付いた所はあったか?」
「特に変わった事は・・・グラフを作成してありますから、書類をご確認ください」そう言ってバインダーを開け、数枚の書類と光ディスクを出し部屋から出ていく。
「ふぃ・・・全Trans Spaceの予算改革だったな・・・」足を組替え、”Trans Space1”と書かれたディスクを端末に押しこむ。
画面には膨大な数のグラフと、莫大な金額が映し出される。
シュルツバーンはそれをスクロールさせながら確認していた。

連合にとってなくてはならないTrans Space。
だが維持費は莫大であり、連合においてかなりの費用を伴う!
連合市民に認められているとはいえ、その負担はけっして軽いとはいえなかった!
連合市民の為のものが、連合市民を圧迫する事が有ってはならない!
惑星連合は自身の改革を進めた。
そんな中シュルツバーンは、Trans Spaceの予算が適正か改革できないかを委ねられることとなった。

このシュルツバーン中佐は人間電算機(古!)の異名をもち、計画的に物事を進めるのは連合随一と言われている!
中佐は申告書不備で500円!の伝表すら破棄したと言われる。
座右の銘は”規律!”(爆)で、将軍すら容赦がないと言われているのである。
その中佐が能力を全開にし不備がないか、目を皿にしていた。

「Trans Space4・・・進度97.25%達成率99.89%か」
書類を見くりながら自分でサインしたこととの差異をチェックしていく!
「Trans Space8・・・改革完了、効果率102%・・・」頷きながら、書類に一つずつサインを入れていく。
「Trans Space9・・・これで最後か」最後のディスクを入れながら時計に目を向けると、もうかなり時間をオーバーしていた。
・・・明日にするか?・・・不意にそんな考えが浮かぶが
”俺の1日よりTrans Spaceの1秒の費用のが大きい!”
と、彼は判断し、作業を進めていた。


「Trans Space9・・・進度96.13%達成率97.64%か・・・」いくつもの資料に目を通し、総合的な判断を下していた。
「全TSとも問題は・・・・」中佐はそう判断し上位への報告書を書き始めて手を止めた。
なにか変だ?!
不意に中佐の心が曇っていった。
・・Trans Space9は一番新しいTSのはず・・・不意に彼の心にその事が蘇り、再びディスクを端末に入れる。
「他のTSと同レベルのはずは?・・・」いくつかのデータを抜き出し他TSとの比較を行うと、そのデータでは達成率が大幅に抜きん出ていたのだ!
「進度91%で達成率112.21%だと?」つい大きな声を出している中佐。
「あ!」口を押さえながら、つい廻りに目を向けてしまう。
落ち着きのないことを見られていないのか心配だったのだ(爆)

・・・どうするべきか・・・中佐は判断に迷っていた。
TS9においては1部門を除き、殆どの部門が他TSを上回っていた。
・・・並の司令官じゃここまでの達成は・・・中佐の心にそんな事が浮かび上がってくる。
中佐はまだ見ぬTS9司令官・・・かわねぎ中佐のことを考えていたのである。
Trans Spaceはその広大なシステム上、多くの部署に細分化している。
そのシステムを運営するのは、TSの理解と部下達の有効活用が不可欠なのだ!
数千の部下達の頂点に立つ司令官の資質が、そのTSを左右すると言っても過言ではない!
・・・実力なのかそれとも・・・中佐はかわねぎ中佐のことをどう判断したものか迷っていたのである。
目を閉じ思案していた彼は、出張用の書類を取り出すと上司のアポを取りつけた。







TS9最大の危機!?


全ての人のためのTrans Space


作:kagerou6






・・・ふぃー、やっと着いたか・・・俺はベルトを外しながら、BOXから鞄を取り出した。
「しかしすんなり入れたな・・・ちょうどいい時間なのか?」俺は操縦してきたパイロットにそう聞くと
「いえ、TS9はいつもこんなもんですよ」そう言って笑った。
「他のTSじゃあ緊急だといって、すんなり入れた事なんかないぞ?」
「まあ、ここは何時もこうなんですよ・・・あまり待たされる事はないですね」そう言ってエアロックを開ける。
「それじゃあ俺はこのまま予定通りに確認してくるから」
「判りましたよ・・・こちらも3時間後に出港予定ですので、それまでにはお戻りください」
「ああ・・・協力感謝する」
俺はここまで運んでくれた輸送船を後にした。

「Trans Spaceにはどういった用件で?」入港でのチェック中にそんな事を聞かれ
「この先の星系に新しい食材を届ける途中なんです」俺はそう良い、持っていた鞄を置いた。
「それでは荷物の出し入れはナシですね・・・では荷物についてはそのまま貨物船にて保管をお願いします」そう言って俺の顔を見つめ脇から書類を取り出す。
「あの・・・いくつかのサンプルを持ってきていますので・・・こちらの担当官にお会いしたいのですが?」俺がそう言うと、担当者は”またか”といった顔に変る。
「あ、むりなら後日にでも」俺がそう言うと、脇から小さな鞄を取りだし
「検疫はお済ですか?」そう言っていくつかの書類を置いた。
「ここでは検疫を済んだものしか中に持ちこむ事は無理なんですけど?」そう言って俺を見つめる。
「もし済んでいないのでしたら・・・こちらで預かって検疫を行いますが?」担当官はそう言った。
・・・おいおい、自分から”検疫”を行うのか、このTSは??・・・
つい俺はその言葉に戸惑ってしまった。
何故なら、”無駄を省く”べき公共施設なのに、”一介の業者”を優遇しているとしか思えなかったからだ。
俺はなにも言えないでいた。
「どうかされましたか?」担当官の言葉に俺は鞄を置き
「では検疫をお願いします、こちらがそのサンプルになりますので・・・」俺はそう言って鞄を一つ渡した。
「ではこちらが預かりのICカードになっています」そう言って俺に1枚のカードを差し出し
「検疫が済み次第、カードが反応しますので」そう言って書類にサインするように言われ、俺はいくつかの書類を記入した。
・・・どう評価していいんだこのTSは?・・・俺はそこを離れながらそんな事を考えていた。


TSの最端にある宙港からオートウエィに乗り、ステーションを連結しているポートをメインステーションに向かっていく。
・・・どこから探りを入れたものかな・・・俺はさっきの事を一旦置き、気持ちを切り替えてそんな事を考えていた。
ポートの窓からはメインステーションが見えている。
俺はこれからの事を考えると、気持ちの高まりを押さえるのが難しかった。
メインステーションに入り案内板のあるラウンジにでると、そこには大勢の人が集まっていた。
いくつかのテーブルに集まりテラン人がプレラット人と談笑している。
その脇ではキャロラット人とテラン人がなにやらテーブルを見つめ、手を動かしながら相手を見つめている。
どうやら最近流行りのゲームをしているらしかった。
・・・全員が寛いでいるのか?・・・俺は驚きのあまり鞄を落としそうになった。
何故なら宇宙にいる人にとっては、時間がなにより貴重なはずだからだ!
何をしていなくても、ただいるだけでも、”費用!”が掛かる!
・・・なんて無駄な事を!・・・俺は寛いでいる人を脇目にみながら、案内板に近付いていった。

Trans Spaceのいくつかの部署が階層化され、脇には直通のエレベーターがある。
・・・”あの場所”はどこだ?・・・俺はTS9での不良部門である”食堂”を探していた。
・・・B4−H7か・・・俺は目的地を見つけ端末に位置を記録させていると、騒がしい(悲鳴?)声が突然聞こえてくる!
声のするほうに目を向けると、少女が二人こちらに向かっているのが判る。
・・・どうして叫び声なんか?・・・
「いやあああああああ」
「 私と一緒にいい事しましょう♪ 抵抗は無意味ですからねぇ♪」
一瞬に目の前を通過すると、先ほどの静寂が戻ってくる。
・・・なんだぁ?・・・考えられない出来事に立ち竦んだままになって、二人の消えた通路を見つめたままになってしまった。
それがTS9名物のピナフォアと果穂の追いかけっこ(笑)だとは、当然ながら気付くことは無かった。
俺は頭を抱えたままエレベーターに乗り込んだ。


惑星連合Trans Space
ここではテラン時間を基準に各部門が活動している。
宇宙空間では固有の時間基準が無い為に、連合の基準としてのテランに合わせているのだ。
しかし、Trans Spaceに訪れる人々には固有の時間が有る。
所属惑星での生活が基本になるためだ。
そこでTrans Spaceでは、基本的には24時間運営をしている部門が多い。
利用している人を中心に考えているからである。
しかし中にいる人が24時間働けるはずはずもなく、一定の休憩を混ぜながら運営しているのが実態なのである。
食堂もそんな一つであった。


・・・ここか・・・俺はエレベーターを降りて暫く歩いたところに有った、食堂の看板を見上げていた。
・・・営業時間は?・・・俺は時間が判らないか中に目を向けると、厨房のシャッターが閉まっている。
・・・まだ時間があるのか・・・俺は時間まで別な事をしようと考えていると、幾人かが食堂に入っていく。
・・・何故だ?・・・俺はその後を着けるように入ると、中はもう多くの人がいて雑談をしているのだ。
どうやら食堂時間以外は休憩所として活用されているらしかった。
・・・どうしてこのTrans Spaceは・・・俺はまた頭を抱えていた。

厨房に近いところの椅子を見つけ、閉まっているシャッターを見ながら、どう内部を調査しようかと俺は考えていた。
・・・厨房には入れないだろうし・・・シャッターから目を外し、その上に書いてあるメニューに向ける。
無駄に多いメニューはコストを押し上げる要因であると考えたからである。
・・・多くは無い、むしろ少ないか?・・・マイクロビューを厨房上のメニューに合わせ、品目を他TSと比較しながらそんな事を考えていた。
・・・他TSと比較しても30%は少ないか・・・
メニューを記録して、なにか無駄が無いか他に目を向けたが、特別な装置なんて無かった。
・・・これだけなのか?・・・俺は逆に何故無駄なのかが判らなくなってしまった!

「さぁ、今日のお勧めだよ」そう言って厨房から女性が出てくると、入り口脇にちいさなボードを置いた。
・・・なんだ、今のは?・・・他のTSでは考えられない事に俺は目を剥いた。
それには20ほどのメニューが書きこまれていたからだ!
・・・なんて無駄な事を!・・・そう思いその”異常な行為”に憤慨していた。
日替わりでメニューなど持ってのほかだと思っていたからだ!
・・・もっとも、この中佐はメニューなど宇宙基地には要らないと思っている人物なのだが・・・

「Aランチね」
「こっちは日替わりのBセット」
注文されたのが瞬時に調理されているのか、ほとんど待たずに食事を受け取っていく。
そんな現実に驚きを隠せないでいた。
・・・これが現実なのか?・・・持っていた機器をテーブルに全部載せ、厨房の能力値を算出しはじめた。
もう自分が身分を隠している事を忘れてしまっているのである。
幸い、ここに来る人はそんな事なんか気にする人は一人もいないのだが・・・

「効率においては、どこよりも高い予想値が出ている?」そんな独り言を言いながら腕を組み、じっと厨房を見つめていた。
すると字が段々霞んできてしまったのだ。
・・・なんだ事故でも起きたか?・・・俺はそんな事を考えながらも、身体が動かなかった。
頭がガンガンするのを耐えていると、視界が戻ってきた。
廻りの声もはっきり聞こえている。
・・・なんだ今のは?・・・俺は廻りが普通でいるのに気付いた。
・・・俺だけなのか?・・・眉間をつまみ、頭を振りミニPCに目を向ける。
どうやら数分の間気を失っていたらしい。
モニターに映し出された数字がかなり増えていたからだ。
・・・無駄は無いらしいな・・・その配膳スピードにそんな事を考える彼。
・・・では何が?・・・新しい問題を考えていると、二人ができたての食事を持って脇を通っていく。
・・・ん?・・・流れてくる香りに俺はその人物の持っている料理に気を取られていた。
今までに嗅いだことのない匂いがした気がするからだ。
・・・連合標準の食材であんな匂いが?・・・俺はその二人が席につくのをじっと見つめていた。
それは若い女性の仕官らしかった。

「少佐、今日のお子様ランチは美味しそうですね」スプーンを持ちながら彼女はそう言ってじっと料理を見ている。
「そうね・・・今日のはとくに卵がきれいに焼いてあるからネ」
同じようにスプーンを持つと、じっと見つめている。
・・・おいおい、仕官が食事を気にしてどうする?・・・俺はその二人からなぜか目が離せないでいた。
「あ、今日はプリンじゃなくてココナッツミルクなんだぁ〜」
「そだね、それに今日はピラフじゃなくてチキンライスだし♪」
そう言う二人に笑顔がここからでもはっきりと判る。
・・・情けないな、仕官がお子様ランチとは・・・俺はメニューから一番安いセットメニューを選んで注文した。

「お待ちどうさま」そう言って食堂の従業員が俺の前にトレイを置いていく。
俺は機器を鞄に戻し足元に置くと、置いていったトレイを見つめた。
2つのパンとスープ、それに固形野菜とソーセージ。
簡素でそこそこ纏まった食事。
そこには、”連合宇宙軍”標準の食事が置かれていたのである。
・・・これで十分なのさ・・・さっきの仕官をちらちら見ながら、俺はフォークを突き立てると口に運んだ。
一瞬に広がる芳香!
口の中を埋め尽くす味の洪水!
・・・なんだこれは?・・・
俺は驚きのあまり、目の前の”もの”をじっと見つめていた。
今までこの”もの”からはこんな事を感じた事が無いからである!
・・・どう見ても変わりが無い・・・俺は空腹の迷いだろうと、もう一度口に運んだ。
だが、それは迷いではなかった。
「美味い!」俺はそう口にしていたからである。
一口々々が新鮮に感じて、俺はそのまま手を停める事が出来なかった。
・・・何が違うのだろうか?・・・そんな”食事”を味わいながら、俺は不思議に感じていた。
そして、俺は最後の一滴まで食べ尽くしていた。

「ふぅー」コップの水を飲み干し一息つきながら廻りを見ると、さっきまでいた女性仕官がトレイを片付けていた。
「おばちゃん今日も美味しかったよ」「今度はミルクプリンがいいわ」そう言いながら厨房の方に話し掛けていた。
「それじゃあ、明日はそれにしようか」中からそんな返事が返っている。
「やったー!」「今度はピナフォアちゃんも連れてこよう」
そう言いながら二人は食堂から出ていった。
・・・そうかセルフか・・・俺はトレイを持って立ちあがり、同じように返却場所にトレイを置いた。
「・・・ご馳走さまでした・・・」俺はそんな言葉がすんなりと出ていた。
・・・何故?・・・自分で言った言葉に驚いていると
「どういたしまして」中からはきちんと言葉が返ってくる。
俺は会釈をしてその場を離れた。

・・・なかなか効率的な食堂じゃないか・・・俺は入り口の脇から中を覗きこみながらそんな事を考えていた。
・・・運営の内人件費ではないようだ・・・俺はキーボードを叩きながらそんな事を考えていた。
・・・あのものがあれ程とは・・・さっきまで味わっていた記憶が蘇ってくる。
・・・あれだけのもの、やはり材料費に無駄な金額が?・・・俺はそんな事を考えていると、また眩暈がした。
・・・拙いこれを見られるわけには・・・俺はそんな事を考えながら気を失った。


「気付かれましたか?」目の前には同世代のテラン人が立って俺の事を見つめていた。
「ここは?・・・それにおれは?」起き上がろうとしても、身体に力が入らないでいた。
「食堂で倒れていたのを、ウチの職員が見つけたのですよ」彼はそう言って診察用紙を差し出した。
「・・・軽度の貧血をですね、この症状は・・・」
「そんな、俺は本部を出る際・・・」そう言って俺はハッとして相手を見つめた。
「宇宙では地上とは違うのですよ」彼はそう言いながら俺の事を見ている。
俺はそんな彼になにも言えないでいた。

「人は地上から離れる事は本来駄目なのかもしれないのです」彼は俺が落ち着いたのかそう言い出していた。
「テラン・プレラット・キャロラット・・・宇宙には多くの種族がいるんです」彼は教師のようにゆっくり話している。
「体形も体質・好みも違うのですよ、我々は」
「そんな人を守る事が連合の使命なんですよ」
「俺の事にはもう・・・」
「失礼ながら照合させていただきました、シュルツバーン中佐・・・」

「宇宙でのストレス、環境変化による人体への影響・・・」彼はそう言って、机に有ったカップを俺に差し出した。
「その上・・・ゆとりがない・・・」彼は俺の事をじっと見つめている。
「・・・10分間・・・いや5分間でもゆったり出来たら、随分違うと思うのです」
俺はカップを受け取りながらそれをじっと聞いていた。
「宇宙ではちょっとした事が事故に直結してしまいます」
「だからラウンジに大勢が?」
「ええ、出来る限り事故を無くしたいものですから」
「事故の多くは判断ミスから起きていますので」彼の言葉を聞きながら俺はカップに口をつけた。
「これは・・・まさか・・・」俺が顔を上げ彼に聞くと
「我々テラン人にはこの飲み物が一番あっているのです・・・」そう言って笑い
「ですが、プラレット・キャロットにはどうでしょう?・・・」
「それでは?」
「ええ、Trans Space9においては所属から飲料水を分別供給しています」そう言って彼はカップを空けた。
「水はもっとも気にすべきものだと考えています」


俺は輸送船の中、キーボードを叩いていた。
今回のことの報告をまとめる為にだ。
・・・コストと比べるべきものなのか?・・・俺の中からはそんな思いが消える事は無かった。
・・・だが優先すべきは連合の目的そのもの・・・いくつかのデータベースにアクセスして、Trans Spaceの事故事例を検索した。
・・・これをもって答えにするべきなんだろうなぁ・・・俺は話を聞いた中佐の事を思い浮べていた。
「そういえば・・・君は事故って遭ったことあるのか?」不意に俺がそう聞くと
「何度かありますね・・・ただ担当がTrans Space9に変ってからはまだ・・・」
「そうか・・・で、もしまた担当が変るとしたらどうだ?」
「勘弁してください・・・気に入っているんですから」
「そうだろうなぁ」俺はパイロットの話を聞いてまたキーボードを叩き始めた。


”・・・以上の事よりTrans Space9においては、独自の施策が効果を上げておりそれは今後他TSに反映すべきと考えます
よって今回のTS9での確認は問題無き事をここに報告します・・・T・シュルツバーン”

キーボードを叩き終えた俺は、傍らの包みに目を向けた。
・・・特製お子様ランチとか言っていたなあの中佐は・・・
俺は名前を聞いてくるのを忘れた事に苦笑いしながら、今度は公用で無く会いに行く事を考えていた。


その相手・・・Trans Space9司令かわねぎ中佐は、査察官の事を忘れ新しく連合に加盟した惑星・・・地球・・・の事を考えていた。
”地球常任武官を命ズ”の辞令を手にしながら、新しい佐章を光らせて・・・



戻る