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 このお話には多聞内輪ネタがちりばめられていますので、TS9のチャットをよくご覧になっていない方には『なんなんですか、これ?』という内容がてんこ盛りです。
 お読みになる方はそのあたりの事をご注意してください。訳がわからず呆れてしまっても当方は一切関知いたしません。

 また、この内容は多分全てフィクションですの。本編や番外編とのつながりは全く・一切・完璧にありません。
 登場人物も一部のキャラを除き、全て固有名詞が使用されておりませんが………そのせいです。




 その日…小さな会議室で2人の女性は真剣に悩んでいた。
 TS9という戦闘などほとんど無い空域に設けられた基地では、悩む人物などほとんどないのだが、ここにいる2名はそんな中であっても悩みの種にがつきる事の無い特別な人物だった。
「………どうするんですか? 副司令」
「どうすると言われても…無い袖は振れないから」
「といっても、毎日のように起こる『ラウンジの通気口の破損』の修理費・基地の維持管理費、おまけについ最近起こった司令の件で使用した研究費など、ほとんど今年1年分の研究費を使いきっちゃったし…バカにならないどころか基地財政をおもいっきり圧迫してるんですよ?」
「だからこそ節約の為に、修理は業者を呼ばずに私達や手の空いた職員が直してるんでしょう?
 それに………司令の研究費はしょうがなかったのだから………突発的事故と同じよ」
「その割には、研究費の中に含まれている『被服費』の割合が異常に多いのは気のせいでしょうか?」
「あは…あははは」
「笑ってごまかさないでください。
 とにかく連合本部から送られてくる年間予算はすでに決まっているのですから、どこかで削減するか別収入を作らないと…」
「とはいっても、すでに削減出来るようなところはほとんどないし…この基地で娯楽費を削ったら、それこそ暴動がおきかねないし…」
 などと、不毛な会議に頭を痛めている2人だった。
 この2人、1人は言わずと知れた『れも副司令』。もう1人は、いつの間にかれも副司令の片腕として、結構な業務を手伝わされるようになってしまった『めるてぃ』 2人とも『気苦労を背負っています』と言う姿から離れる事が出来なくなった人物の代表格なのかもしれない。

 と、なにげに流されていた近くの惑星から受信された放送が会議室の中に流れ、れも副司令の耳にとある音声が飛び込んできた。
『本日よりジャンボ宝くじ発売。
 1等前後賞あわせて○億円!』
「………これよ!」
「へ?」
「この基地で、宝くじを売り出すのよ。そうすれば、必要経費を除いた利益は全て基地の維持費に回すことが出来るわ! おまけに娯楽としても成立するから一石二鳥♪」
「とはいえ、賞金を出すわけには行きませんよ? 連合の法律で金銭を目的としたギャンブルは禁止されているのですから」
「だ・か・ら、賞金じゃなくて賞品にすればいいの。それも出来るだけお金をかけない賞品を。
 例えば………」
 れも司令は、めるてぃに小声でアイデアを話す。
「えぇ〜〜〜!? それだと司令代理だけが割をくってしまうんじゃあ…」
「いいのよ。ちょうど今司令は、現地視察に出かけているから、この基地の権限は副司令である私に全てあるわ。
 司令が帰ってくる前に全てを済ませてしまえば良いだけよ♪」
「で・でも………司令が納得しても司令代理が納得するか………」
「いいから・いいから♪」
 先ほどまでとはうってかわって明るい笑顔になったれも副司令と、どうも納得のいかないと言う表情のままのめるてぃは、そのまま会議室から退出して行った。


 同時刻…とある研究室…一人の技術部職員がモニターを見ながら微笑んでいた。
「面白そうなお話をしていましたね。それにうまく行くと結構な収入にもなりますし、例のもののテストも…
 これは一口乗らせていただくとしましょう」
 その瞬間、かけていたメガネがキラリと光った。

 それって、悪の科学者のセリフに近いのでは?




2003年夏 TS9ジャンボ宝くじ

作:Keyswitch
キャラクター原案:かわねぎ様、七斬様、OYAZI様、ひめくり様
ネタ提供:塵芥王様



 2人の会議から1週間後。TS9にこんな放送が流れた。
「本日からTS9で、『第1回TS9ジャンボ宝くじ』発売! 1枚100テランでただ今より発売♪
 1等1本・かわねこ司令代理、またはれも副司令との1日デート券(交通費・遊園地・超一流ホテル宿泊費等、当日デート費用全て含む)
 前後賞2本・かわねこ司令代理、またはれも副司令の試着した衣装(衣装持参も可。証明として生写真添付します)
 2等2本・TS9所属最年少少尉の寝姿秘蔵生写真 +愛の告白練習シーン発表映像データ(不正コピー防止の為、特殊な加工が施されていますが、観賞にはなんら問題はありません)
 3等100本・技術部現地協力員特製、1日だけかわねこ司令代理の姿になれる薬(なお臨床試験前なので効果が薄かったり別の効果が発生する可能性がありますが、人体には影響はありません)
 4等1000本・有給休暇1日(非常時・緊急時を除く)
 なお、今回は賞品の為に特別ルールとしまして、目的の賞品より上位の賞品に当選した場合は、下位の賞品の授与も可能となります。
 例:1等・もしくは前後賞が当選したが2等の賞品が欲しい場合、2等の賞品を手に入れることが出来ます。

 皆様、管理部・技術部の協力により実現できた「夢の賞品」を是非とも狙ってください。また、売り上げのほとんどはTS9基地の維持管理・生活向上に使用されますので、基地の生活品質向上に御協力をお願いします。
 発売終了は○月×日、抽選は発売終了の1週間後となります。なお、発売枚数には限りがございますので、ご購入はお早めに♪
 以上購買部からのコマーシャルでした」


 放送が流れた直後、真っ先に副司令室に飛び込んできたのは………かわねぎ司令だった。
「れも君! 先ほどの放送はいったいなんなんだ!?」
「聞いたとおりの内容ですが、何か?」
「何か? じゃない! 私はそんな事をするなどと一言も聞いてないぞ?
 この基地の司令である私になんの連絡も無くこのような事をしていいと思っているのかね!?」
 今にも血管が切れそうな勢いで食ってかかる司令。
 まぁ…本人とれも副司令は知っているのだが、『賞品』として上がっている『かわねこ司令代理』というのは当のかわねぎ司令のもう1つの姿・結局の所、司令本人なのだ。
「先日まで司令は現地調査に行っており、司令不在時・全ての権限は私に委譲されていました。そしてこれは先日付けで発行された正式な書類です。何ら問題はありません。
 それに………」
「それに、何だね?」
こんな事をしなければいけなくなったは誰のせいだと思っているのですか!?
 今回の件は、司令が本部から予算を取ってこないために、今期のTS9予算が確実に赤字になるのが火を見るより明らか。ゆえに、何とかして収入を得るために仕方なく行なうことにしたのですよ!?」
「し・しかし…なぜ『かわねこ』の名前を………」
「基地内でのネームバリューを利用するためです!! この方が売り上げが上がるからに決まってるでしょう。
 おまけに、本来なら『かわねこ司令代理』お一人でなさってもらう予定でしたが、売り上げアップのために涙をのんで私も協力するのですからね!!」
 確かに、賞品としてあがっているものには『かわねこ司令代理』もしくは『れも副司令』となっている。つまり極論を言ってしまえば、どちらか(もしくは両人)がTS9基地の存続のために人身御供になるというようなものだ。
「しかし………」
 頭ではわかっているものの、男性としてのアイデンティティが『拒否』する事を頑なに主張する。
「別に、司令が宝くじを購入して当ててしまえばよいのです。もしくは私としては不本意ですが…私派の人に購入してもらい、『かわねこ司令代理』が選択されないようにすればいいじゃないですか?
 それでも司令権限で拒否権を発動するのであれば、しょうがありませんので今回の事はなかった事にします。ただし、司令自らによる中止の宣言、及び赤字補填のために司令の給与および賞与を、赤字が解消するまで99%カットさせていただくことになりますが」
「それでは生活が! いや、可愛い我が公たちの命が………それに、私の名前で中止を出すと反発が………」
 れも副司令はあえて返事をせず、目だけで反撃ののろしを絶とうとする。
 そして数分後、
「………わかった。今回だけは許可しよう。
 ただし、販売は基地内にいる者だけではなく、基地へと立ち寄る人物であれば、誰でも購入可能とさせてもらうが?」
「(……某船の船長を巻き込む魂胆ですか…もしくは連合本部で私の名前を知っている人物を引き込む……)ええ、かまいませんわ」
 いやいやながら納得して(させられて?)、司令は副司令室を後にした。
 残されたれも副司令は…
「とりあえず1つ目のハードルはクリアしました。ですが次は、あの少尉が飛び込んできそうですね?
 何とかして丸め込まなければ…」
 小さなため息をつくのだった。

 数時間後…
副司令! なんなんですかこれは!?
 扉を蹴破らんばかりの勢いで1人の少女が飛び込んできた。その手には、宝くじの内容が記載されているチラシがあった。
「なにって…見てのとおりだけど」
「何で俺の生写真や映像データが賞品になってるんです!?」
「技術部からの提供よ。
 今回の件に関して、管理から運営・当選番号抽選時の機械の作成など、ほとんど全てを手伝ってもらっているから、売り上げの一部を技術部の開発費に回す事にしたの。
 そうしたら1人の技術者から『では、こちらからも売り上げアップのために賞品を提供しましょう』ということで、提供されたのよ」
「(間違いなくあいつだな………)しかし、無断で俺の…」
「あら、知らなかったの? 人材募集のために母星では有名な士官のポスターや映像が使用されているわ。
 あなたは最年少少尉で美少女、結構人気があって、本部の方でもブロマイドや映像が正式に流通しているのよ(勿論私生活などのプライバシーは保護されているけど)。
 その証拠に、特別手当としてあなたの給与はあなたより遥かに年上の尉官と比べてもかなり多めに入金されているはずだけど?」
「そんな事になってるのか。しかし、公務はともかく私生活を…」
「もちろん今回の件でも、ちゃんと協力費として正当な額を賞与に加算させていただくわ。多分次の賞与は前回の倍以上になると思ってもらってもかまわないわよ」
「で、でも…アレはお金とかそう言う問題じゃなくて………」
 ちょっと勢いを失った少尉に…
「ちなみにあなたが1等に当選した場合、私やかわねこ司令代理を選ばずに、あなたの好きな人とのデートに利用してもなんら問題ないわよ」
「え? そ・そうなのか?」
「ええ。私としてはそのほうが嬉しいんだけどね」
「デート………遊園地に超一流ホテル宿泊………2人っきり………
 そのシーンへとトリップを始めて、頬が赤くなってゆく少尉を見ながら、
(このまま丸め込めれば、2つめのハードルも何とかごまかせそうね。
 後は………)
 と、思考を切り変えるれも副司令だった。


 時を同じくして…宇宙を翔ける某貨物船
「船長、TS9基地より『緊急・秘匿・親展』のついたメッセージが届いていますが」
「なに! そこまで重要とは…ついにれも副司令が私のラブコールに答えてくれたのか!?」
「…いえ、TS9司令殿からの私信だそうです」
「なんだ、つまらん………で、内容は?」
「ええっとですね…」
 メッセージに記されていたのは例の宝くじの内容。読み上げられるうちに『副司令からのメッセージではない』と仏頂面だった船長の表情が、時をへずして満面の笑みへと変わっていった。
「………君! すぐに船をTS9基地へ向けるのだ!」
「いきなりなにを言い出すんですか、船長。それにいま運んでいる貨物はどうするんですか」
「そんなものは後回しだ!
 すぐにTS9へいって、宝くじを買い占めなければならない!」
「後回しって…貨物を届けてからTS9へ向かっても、到着するのは1日位しか違わないでしょう?
 それにTS9へ先に行くと遠回りになって、下手をすると燃料代だけで今回の利益が全く出ませんよ?」
「1日『くらい』とはなんだ!? その1日が勝敗を分けるのだぞ!?
 今回の賞品はどれを取っても、のどから手が出るほど・いや上位3品などは、普通では絶対に手に入らない、なんとしてでも手に入れなければいけないものばかりではないか!
 これは天が我に授けたもうた千載一遇のチャンスなのだぞ!?」
「千載一遇って………(とはいえ、こうなったら船長はてこでも動かないからなぁ)
 はぁ…わかりました。すぐに航路修正をしてTS9基地へ向かう事にします」
「もちろんワープ9でだぞ!」
「無茶言わないでください! 連合に捕まりたいのですか!?
 大体、この船のエンジンはワープ9なんて出ません!」
愛は何物をも超えるのだ。そして全ての事象を可能とするのだ!
 もうこれ以上、何を言っても無駄だと悟った少年は、航路を設定しながら心の中でこう思うのだった。
(これで今月のお給料も無しなのかなぁ………この人は船長としては超一流なのに、ある特定の人物が絡むとこうなってしまう………
 ついて行く人を間違えたかな?)
 そして、船長は…
(かわねぎ司令・いや、心の友よ! この情報を『緊急』として連絡してくださった事に誠に感謝いたします。
 そして神よ! どうかこのわたくしに幸運の女神を遣わしてください)
 と心の中で願い続けるのであった。


 そして…基地内外の人物を問わず、宝くじは飛ぶ様に売れて行った。


 販売終了の1週間前
 技術部・現地協力員の専用研究室
 れも副司令と現地協力員の二人が密談をしていた。
「で、売り上げの方はどうなっていますか?」
「現在の総計は…全体の99.89%の販売が終了しています」
 端末を操作しながら、れも副司令に返事をする。
「残りの0.11%は、予定通りにするのですね?」
「ええ、その通りです。提督や将官の方々の購入分としてリザーブしてあります」
「ちなみに、誰がどの番号を購入したかは全て把握出来ているのですよね」
「まあ、一応は…ですが」
「一応?」
「誰がどの番号の宝くじを購入したかどうかの記録は全て取れています。
 ですが、購入後に転売されていると言う事かなりあるみたいですので、『現状で全てを把握』と言うわけにはいかなくなっているのです。
 おまけに『裏ルート』という物も出来ているらしく、未確認ながら場所によっては1枚1000テランで取引されているという情報もありますから」
「そ・それは…ある意味ちょっと不味いのでは」
「まぁ、引き換え時に本人と確認できる身分証明を必要とする・と記載してありますので、最終的には違法なものにはならないかと」

「しかし、あなたが『かわねこ司令代理』だけではなく私の名前も連ねるようにと言ってきた時にはびっくりしましたよ。
 万が一にでも私が指名されるような事になったら…と思ったのですが、あなたの出してくれた案ならば大丈夫でしょう」
「確かにかわねこ司令代理だけでもそれなりの数が捌けるでしょう。しかし、司令代理はTS9内では知名度がありますが、対外的にはまだまだ知られていないために限界というものがあります。
 そこに連合内でも知名度のあるれも副司令の名前を連ねる事により、販売数は飛躍的にアップ・おまけに連合内に『かわねこ司令代理』というネームを広めるのに一役も二役も買う事になります。
 そうなれば、必然的に『かわねこ司令代理』が表に出る必要が高くなり………あとはいわずもがなでしょう」
「そして、裏工作をする事により万が一にも私を指名される事はない・と…」
「ええ、もちろんです」
「ふふふふふ♪」
「うふふふふふ♪」
 はたから見てるとちょっと危ない・・・・・

 もっとも、こういう裏工作は、土壇場になって崩壊するのがお話の常套手段なんですけどねぇ♪





 さて………時はながれて、抽選の当日
 TS9基地内でもっとも広いと言われている大会議場。ここで、抽選会が行われようとしていた。
「さ〜て、やってまいりました、第1回TS9ジャンボ宝くじ抽選会!
 司会進行はあたし、TS9基地の生き字引こと、ピナフォアが行いま〜す♪
 え? なんであたしが司会進行なのかって?
 だって、あたしにとっては今回の賞品に全く興味がないから。これで、お子様ランチ1年分とかあれば真っ先に購入していたんですけどね〜 あくまで公平の立場と言うことで選ばれました。
 あ、そんな説明はいいから早く抽選を始めろですか? わっかりましたぁ。
 では、抽選機の登場〜〜〜♪」
 と、ファンファーレと共に現れたのは………0から9まで書かれた回転式の的だけであった。
「なお、的に射る矢は、あたしの腕にセットされているハンドカノンから発射される事になっておりま〜す♪」

 と、予定していたものとは明らかに違うセットが出てきたために硬直していたれも副司令が、ようやく硬直からとけ、ピナフォアに詰問する。
「技術部が用意したマシンはどうしたの!?」
 そう、今回の抽選で使用されるはずだった当選番号決定マシンは、技術部・特に某現地駐在員が丹精こめて作成したデジタル式のものだったはずだ。
 それがいつのまにか、アナログ式・特にピナフォアが当選番号の決定権を握るようなものが出てきたのでは…
「え〜っと、これに関してはかわねぎ司令の方から次のような要望書が技術部に提出されたために、つい数十分前に急遽変更になりました。
『宝くじの当選番号決定には、古来よりこの方法を使用するのが一般的である。
 当選番号の抽選にコンピューターを使用した場合、ハッキング等による不正が起こらないとは断言出来ない。
 そこで、全てをアナログにして、公平・確実なものとするようにしてもらいたい』
 とのことです。
 なおあたしの場合、例えどれだけ早く回転していても、狙った場所に当てるのは雑作もないことですので、抽選時は番号を隠してから行う事となります」

 それを聞いて…がっくりと崩れ落ちる。
 なにせ、今回技術部で用意したマシンは、製作開始から終了・果ては今日この会議室に搬入するまで、全て今回の裏を知っている人物でのみ行われたいたからだ(とはいえ、2人だけなのだが)。
 そのマシンはハッキングされないように全てのオンラインから切断されたマシンを使用して作成され、事前に決められた『当選しても、れも副司令を選択しない人物の購入番号』を、何の不正も無いかのように表示するようになっていたからだ。
 慎重に慎重を重ね、ここまで持ってきたはずなのに…司令のたった1枚の要望書で水泡に帰すとは思わなかったらしい。これが命令書であれば、副司令である彼女の手を通るために、途中で知る事が出来、何らかの対策が施せたかも知れない。が、要望書であったために、司令自ら技術部へと渡されてしまっていた。
 おまけに、彼女と協力していた現地協力員であっても、このような要望が出てしまった以上『絶対に用意してあるこれを使う』とは言い出しにくかった。なにせ要望書に記載されているのは正論であるし、事実技術部(というか、彼女1人)で用意したこのマシンは不正を行えるようになっている。無理に押し通して怪しまれるのは…彼女としてはさすがに遠慮したいらしい。
(ついでにいえば、デジタルがアナログに代わろうが、副司令に迷惑がかかろうと、彼女にとっては何の痛みもあるわけではないのだから)


 そして、真っ白に燃え尽きながらも『神様…どうかお助けください』と呟いているれも副司令を他所に、滞りなく抽選は行われていった………
 会場内はピナフォアが撃ち抜く番号に一喜一憂したという。





 結果…次の日からTS9基地では一時的にキャロラット人の少女が増えたという。
 ちなみに…
「何でご主人様がこんなにたくさんいらっしゃるんですか〜〜〜〜〜〜〜!?」
 と、戸惑いながらも嬉しい悲鳴をあげる少女がいたらしい。


 さて、上位当選は誰かと言うと…

 2等当選者は、奇しくも現地駐在員の2人であった。
 1人は…
「当たったのは良いけど…これをもらってもね〜」
「『これ』と言われるのはちょっとひっかかるが、確かにそうかもな。
 っていうか、何故あんな宝くじを買ったんだ?(俺も一応買ったけど…外れた)」
「だって、面白そうだったんだもん♪
 あ、でも、この告白シーンは将来の勉強になるかも………
「こらこら! そんな恥ずかしいものを見るんじゃない! 勉強にもならんぞ!!」
 とかあったとかなかったとか。

 で、もう1人は、
「………別にマスターデータを持っているので、意味ないのですが………」
 ごもっともです。



 次・前後賞に当選したのは、なんと幸運な事に某貨物船の船長であった。しかも何故か1等の1枚を除いた前後2枚両方…
おーまいがー!
 何故あそこで連番ではなくバラで買ってしまったのだろうか!? 一生の不覚ではないか!!!
 ………とはいえ、れも副司令の試着した衣装・それも2着も手に入ることになったのは、不幸中の幸い…いやいや、他のやつらに渡らなかったと考えれば、まさに幸運の女神が私に祝福をしてくれたに違いない!
 それに聞いた話だと、1等に当選した人物は『親かわねこ司令代理派』だと聞く。つまりは、愛しのれも副司令と一夜を共にする不埒な輩はいないと言う事になる。
 ということは、今回の件に関しては私の一人勝ち・全く問題ないではないか♪
 やはり私には女神が・『れも副司令と一緒になりなさい』と応援してくれる愛の女神がついているに違いない。

 さて、本題のれも副司令に何を試着していただくかということだが………う〜む、これはいままでで一番の難問かもしれん。巫女装束は絶対に外せないとして、後もう一着…あれも捨てがたいがこれも捨てがたい…巫女装束2着と言うのも…いやいや、やはり別の…」
「あの〜 船長?」
「なんだね? 私は現在、脳細胞を400%フル活動させて妄想中・もとい、思案中なのだぞ。それを停止させるとは…死にたいのかね?
「死にたくはないです。
 が、注意書きを読まれましたか?」
「なんだ、その注意書きとは?」
「ほらここ」
 宝くじの一部分を指差す。そこには…
『賞品の交換がある場合、この宝くじは当選番号が決定してから1週間以内にTS9基地にて交換してください。1週間を過ぎますと当選は無効となります』
 との記載が。
「……………君、現在航行中のここからTS9基地までは、どのくらいかかるのかね?」
「正反対の方向へ飛行していますから…急いでも、約1ヶ月かかりますが」
「………………」
「………………」
「大至急進路変更!!! TS9基地までワープ9で行くぞ!!!!!」
「だからこの船ではワープ9なんて出ません!
 おまけに、先日宝くじを購入するために違法速度で航行していたのが連合にばれて、罰として法定の最高速度しか出ない様に、船にリミッターを取り付けられたばかりじゃないですか!」
「ばかもの! れも副司令との愛の前にはそんなもの役にはたたん!
 とにかく、1週間以内にTS9基地へ着くようにしたまえ。これは命令だ!」

「無茶です! 無理です!」
 こんなやり取りがしばらく続いたそうな・・・

 間に合ったかは…妄想・もとい、想像にお任せします。


 で、みごと1等に当選したのは、なんとかわねぎ司令そのひとであった。
 しかし当の本人は、司令室で当たった宝くじとにらめっこをしながら悩んでいた。
「うーむ………1等が当たったのに、うれしくもなんともない。
 大体が、かわねこ司令代理は私自身だし、れも君と一緒になどといったら…そのまま丸1日仕事をさせられるか、かわねこに変身させられて連れ回されるのがオチだろうからなぁ。
 かといって、棄権したら…下手をすると誰か別の人物に回されて『かわねこ司令代理』で指名されてしまうかもしれん。
 どうしたら…」
 と、そこへ憮然とした表情のれも副司令が入ってきた。憮然とした表情のわけは…もちろん例の要望書の件である。
「司令、ご当選おめでとうございます。
 これが賞品ですので、どうぞお受け取りください」
 棘の刺さりまくったような言葉でそういって、何かの入った封筒をかわねぎ司令の前に差し出した。
 狐につままれた表情になった司令は、とりあえず中に入っている物を取り出す。そこには…
『夏の青春18切符(未使用)』1枚のみ。
 ……………
「あの………れも君?」
「はい?」
「これは?」
「見ての通りのものですが?」
「………………」
「何か問題でも?」
「交通費は」
「現地であれば、これ1枚でどこまでも行くことが出来ますが、何か?」
「遊園地となっていたような」
「遊園地の電車よりも、本物の電車の方が司令としてはお喜びになると思いますが、何か?」
「一流ホテル…」
「ホテルに泊まるよりも、列車の中の方が良いと常々おっしゃられていましたよね。
 日付をいっていただければ、経費にてムーンライトの指定席券もしっかりとお取りいたしますが、なにか?」
「………………」
「問題ありませんよね?」
 れも副司令の目はすでに有無を言わせぬものになっている。
「問題ない………と思う。思いたい…」
「了解していただけて幸いです。では」
 そういって、足早に司令室から退室するれも副司令。と、出口で立ち止まったれも副司令は、
「あ、そうそう。
 今回1等用に準備していた一流ホテルと遊園地の件ですが、交通費に当たる部分を司令に渡したので、現地までの移動費用を必要としない現地駐在の少尉殿とその恋人の方にお譲りいたしました」
 僅かに微笑みながらそう一言だけいって、れも副司令は退出した。



 椅子に深く腰を沈めたかわねぎ司令は…一言
「まぁ誰も不幸にならずに、すべてが丸く収まるったからいいか♪」


























 とある宙域…
「妄想滅亡まであと76時間41分29秒しかないんだぞー!! エンジンが壊れてもかまわん。飛ばすのだーー!!」
「これが限界ですぅ。無茶言わないで下さい〜〜〜〜!」
『こちらは連邦宇宙軍・第765宙域監視艇だ。そこの貨物船、明らかに速度違反だぞ、直ちに停止しなさい
 停まれっていっとるんじゃ−ーーー!!! 軍の命令が聞けんのかーーー!!!』
「ええーい! 軍とれも副司令の衣装では、れも副司令の衣装の方が何億倍も大切なんだー!
 1分・1秒・1ナノ秒が惜しいのに、停まれるわけなかろう!
 邪魔だ! あの船を沈めてやるー!」

「わーっ! 連合の船・しかも軍の船を狙うなんてやめてください〜〜〜 戦争する気ですか!!!」
 …これで、全て丸く収まったといえるのでしょうか? 司令?
 

おしまい…?


 このお話、チャット中に何気なく一撃入室で落としたネタだったのですが…何故かテンポよくネタが沸いてきて、3時間ほどで書きあがってしまったと言うとてつもなく変なお話です。
 電波と言うものは恐ろしいものですね。
(もっともそのあと、加筆修正・HTML化に、軽く3時間以上かかりましたが)
 ちなみにチャット中に投下したのはこのお話の最初の方にある「購買部からの連絡」の下りだけでした。
 それがまさかこんな風になるとは…

 しかし、TS9キャラはここ半年ほど書いてなったせいで、かなりいい加減になってしまっています。口調もおかしいところがあると思います。
 これからはキャラを長期間放置するのはやめようと、このお話を書きながら心に誓うのでした。
(すでに遅い気もしますが………)



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