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*なおこの話を読まれる前に、かわねぎ司令作『がんばれ1日警備隊』を読んでいただき参照くださると当社比200%楽しめます(^^;

「号外!だよごーがい!」

TS9の人が集まる場所で今日も声が響き渡る!
人はその声を待っていたかのように、置いてある新聞に手を出す。
「ほぉ!・・・こんな事があったのか!」
人々が感心した声を出し、販売したものに笑みが浮かび上がる。

「おい・・・あるかな?」一人の船長がそう販売員に声をかける。
「えーと・・・2ヶ月分ですね、じーざ船長」そう言い、置いてあった箱を差し出す。
「ふむ・・・これがないとTS9に来る楽しみが減るのでなぁ」
そう言って新聞にすりすりしている姿にちょっと引いてしまう販売員(爆)
「あぁーいとしのれもたんはどこに載っているのだろう?」
「れも副司令の特集した日がありますよ」そう言って脇からこっそり号外を取り出すと、廻りに気付かれない様に手渡す。
「おぉ!それはマコトか?」
「半分が副司令です・・・それにこれプレミア付いているので誰にも言わないでくださいね」販売員は念を押した。
「ふむ・・・判っている」そう言って販売員に代金を手渡すじーざ。
「どーも・・・あれ、多くないですか?」
「なに、ホンの気持ちだ♪」そう言って船に帰って行く。
「毎度ありがとうございました」そう言ってまた鐘を手にすると鳴らし始める販売員。



こちら、てーすぽ編集部(笑)



原作かわねぎ様  七斬様  さたびー様

画 HIGE/J様

作:kagerou6




「貴様ら!やる気があるのか!」

TS9を揺るがすような声が一つの部屋を満たしている。
ここはドックに程近い、借上げ倉庫の一画。
空調があるにも関わらず、部屋中をタバコの煙が充満し視界を遮っている(爆)
ここにいるだけで10年程度?寿命が無くなるような、ひじょーに健康に悪そうなそんな部屋。
ここがTS9唯一の民間紙、【日刊てーえす・すぽーつ】の編集室である。
怒鳴った男の名はショー・スリューバイ。
ここの主・・・編集長なのだ。
売上の記録を見て、”いつものよう”に怒鳴っているのだった(爆)

日刊てーえす・すぽーつ・・・通称てーすぽは、TS9在住者・利用者に多くの読者を抱え、配達かドック・プロムナード等のみで購入できる”TS9だけ”の超!ローカル紙なのである(笑)。
一都市ほどの人口を有しているTSとはいえ、基本的には軍事基地である以上規律が取れている為に事件など極めて少ない。
常連の使用者達もいつもTSを使用しているからなのか、お互いに気をつけており、トラブルを起こすのは極まれである。
そんな関係で紙面を飾る多くの記事は、大手通信社から購入しているものが殆どだ。
だがそれだけでは”地方紙”が成り立つはずが無く、読者だってそんな新聞など気にもしないだろう。
”てーすぽ”最大のうりは、独自に取材しているTS9の記事と”紙”なのだ!
独自に取材した記事を、モニターに映る字・イラストとは違う”紙”で楽しめる・・・そこが最大の売りなのである!
表紙をみて驚き、中を開いて楽しむ。
自動スクロールじゃない、マイペースでの拝読。
同じものを持っている安心感と、共通の話題での一体感。
そんな紙ならではの新聞である”てーすぽ”は、多くの在住者はもちろんTS9利用者も楽しみにしている存在なのだ。

「まったく、俺のタバコ量が増えるだけじゃないか」彼はそう言いながら数人から出された”明日用の原稿”に目を落とす。
「おい、ハリス!」数行読んで、彼は新人記者を呼びつけた。
「なんでしょうか?」彼・・ハリス・ヘルバートは赤鉛筆を耳に乗せたまま編集長の前にくる(笑)
「”司令部にかわねこ代理の後輩配属か?”・・・これはどこから持ってきたんだ?」
原稿に目を落としながら聞く編集長。
「友人が軍報道にいるもので・・・仕官学校卒業生何人かがTS9配属だと・・・」
「ふむ・・・だからか」編集長は数枚のキャロラット人の写真を見ながらそう呟く。
「もうちょっとだな・・・その報道には会えるのか?」
「今日入港予定の艦の撮影だとかでドックにいるはずです」
「じゃあ・・・もっと聞いて来い!」編集長はハリスにそう言って
「”なにだから”代理の後輩が入る可能性があるんだと、そこを詳しくな」
「判りました」ハリスはそう答えると、カメラとレコーダーの準備を始めた。

ハリスはてーすぽでは珍しい新人記者なのである。
ハリスは今まで編集の仕事をしていたが、”あの時”偶然プロムナードの現場に居合わせたのだ。
そう!・・・悪に立ち向かう美少女戦士ビリキュア(初)に。
TS9の半数がファン(といわれて)、更には連合各地にファンクラブが数え切れない程存在すると噂されているかわねこ司令代理と緒耶美ちゃん。
自分の目の前で変身するふたりに、ハリスの新聞記者魂?がふつふつと沸き起こり・・・慣れない手帳を取りだしエンピツでカキカキして事実を記帳したのだ!
変身から必殺技までを克明に記録し、商店街のコメントはもちろん、捕まった犯人の話を聞き出したのだ!
ハリスは休日だったのだがそのまま編集部に行くと、編集長に自分で書いた事実を報告し提出したのだ。
編集長はその記録を見て、翌日の記事を作成していた編集を呼び”記事”を差換えるように命じていた。
提出した写真も添付され、紙面の半分を占めるほどにレイアウトされた。
そして、翌日の一面を華々しく飾り、新聞はどう考えてもTS9在住者の3倍を記録的する売上になったのだ。
(なおこの話に極秘に買い付けに来た他TS司令官が一千部単位で購入に来た為、TS9在住者が持ったいた新聞を高く買いつけたという噂がしばらくはあったりする(爆)
その功績に、ハリスは記者の仲間入りしたわけなんだ。

しかし、ハリスは他の記者ほどのスクープ・大記事は取ってはいなかった。
先日の”反乱事件”の際、防衛艦隊に同乗し戦記を記載したきた記者。
連合キャンペーン会場からの記事をどこより早く送り、他の新聞社から掲載打診まであった記者。
ツワモノぞろいの先輩記者にハリスはどうやっても追いついていないと実感していたのだ。
実力の世界である以上、ハリスは大きな事件を担当し認めてもらいたかったのだ。
しかし、平和なTS9ではそうそう事件なんて無い(笑)
ハリスはその事に最近慌てだしていたのだった。

「くそーあのたこ!」ハリスはさっき会った友人を思い出して、悪態をついていた。
「散々飲み食いして・・・”だったらいいなぁと思った”だとぉ」
「これじゃ記事なんて書けないじゃないか」
「編集長の怒鳴り声が聞こえるようだ・・・」
ハリスは怒鳴られている自分を想像して、編集室に戻らず自分のアパートに向かった(笑)

TS9は宇宙ステーションであり、”アパート”などの借家は存在しない・・・はずなのだが、実はあったりする!
TS9は建造当時建造技術者・作業者の慢性的宿舎不足に悩んでいた。
司令就任予定のかわねぎ中佐は、停泊輸送船スペースを官舎に当てるなどの工夫をしたが、それでも絶対数が足りなかった。
こんな時には宇宙用浮遊宿舎を準備するのだが、建造予算すらぎりぎりだった為に費用の掛るこれを準備出来るはずが無い。
なぜなら安全上浮遊宿舎では、個室毎に生命維持装置がある為に維持費が膨大になるためだ。
困り果てたかわねぎ中佐は、建設者の”休憩”に使っている建物に目をつけた。
生命維持の大半をTS9の装置に”依存する”これは、構造材だけで宿舎にする事が出来るのだ!
かわねぎ中佐は建造資材の一部を利用し、空きスペースに多くの”家”を建て宿舎とした。
これらは建設完了後、破棄されるはずだったが予算が無い為にそのまま放置されていたのだ(笑)
だが最近は利用者増加し、増築での職員も増えている。
その為の新しい宿舎を準備できない司令部が、過去放置されたままのこれに目をつけ、一般利用者向けに”貸し出す”事にしたのである(爆)
ハリスはそんな利用者の一人だったのだ。
ただ、道が暗いのは惑星上に環境を近付ける為である・・・決して予算不足なんかじゃないのだ(汗)

「まてぇどろぼー!」
薄暗い道の奥から大声が聞こえてきた!
「事件だな!」ハリスは持っていたカメラの電源を入れると、足早に声の方に歩いていく。
走っていくと野次馬にお邪魔されないとも限らないからだ!
冷静を装いながら、ハリスは段々鼓動が増していくのを感じていた。
暗い道を抜けると、明るい大通り・・・プロムナードメインストリートに出た。
「確かこっちだったはずなのだが・・・」ハリスは廻りに目を配り、誰がさっきの声の主なのか探し始めた。
談笑しながら通りすぎていくテラン人。
キャイキャイ笑いながら歩いているキャラロット人カップル?
ハリスは気付かれない様に通りを観察していた。

「ちぃ、タイミングが悪かったか・・・」一つため息を吐きカメラを仕舞うと、道路脇で俯いている人を見つけた。
普段なら”よっぱらい”かなにかだと思ったろうが、さっきの事もあってその人をじっと見つめるハリス。
深い皺を刻んだ顔は、目的を無くしたようにボーとしている。
力無く垂れ下がっている腕は、長い棒を持っていた。
・・・棒だなぁ?・・・ハリスは持っているもので、さっきの叫び声はこの人から出た事を悟っていた。
「あのー。なにかあったのですか?」ハリスは名刺を取り出して、男の前に差し出しながら話しかけた。
「あ?・・・あぁ、新聞屋か・・・」力無く答える男にハリスは頷く。
しかし男は”新聞屋”と聞き、ハリスに話をしても仕方ないと思ったのか何も言わないでいる。
ハリスは”棒”を持っていると不信がられて仕舞うと男に言って、そこから男と一緒に歩き始めた。
男はハリスを自分のお店につれて行った。

ハリスは男から出されたお茶を口にしながら、中を観察していた。
男の店は、お土産用のお饅頭の生産販売をしているらしく、ショーケースには多くのお饅頭が並べてあった。
しかし、店の奥は少し乱雑になっていて、どうやら相手と争った感じが残っている。
・・・金銭目当ての泥棒なのか?・・・不意にハリスは考え、男に視線を向けて奥にあるパネルに目が釘づけになっていた!
「ま、まさか・・・・犯人の目的は・・・」
「えぇ・・・無理やり剥そうとしてましたから・・・」
「でしょうね・・・・」ハリスは男の言葉に頷き、そのパネルを見上げていた。

・・・犯人の”目的”がはっきりしている以上当局に言うべきか?・・・ハリスは腕を組んで考えている。
・・・しかし、店主がそれに気付いてないはずは無いだろう、イメージダウンが怖いのか?・・・相手を見ながらいくつか仮定を組み考えを進める。
・・・プロムナードでは”シビリアン・セキュア”・・・民間警備隊が動いているはずだが・・・
考えているハリスの表情から読み取ったのか、男はハリスに自分の考えを話し始めた。
「ビリキュアの巡回でトラブルは減っていますが、”いつも”お店の前にいるわけではないですから」
「そうですよね・・・このお店、いやこのパネルだけを見てもらうわけにはいかないですし・・・」
「えぇ・・・あれだって”プロムナード有志”ですから・・・自分のお店の事だってありますし・・・」
「ですね・・・・逆に、みんながあれをこのお店だけのものだ・・・」ハリスはそう言いかけ、自分の言った言葉が気になっていた。
・・・このお店のだけ?・・・それって出来なくはないか・・・ハリスは考えを纏めると、男に向かってパネルの事での案を伝え、仕舞っていたカメラをバックから取り出した。
翌日、てーすぽの一面には、パネルがでかでかと載っていた(爆)

「どうです?」ハリスは翌日に編集長と一緒に再度ここを訪れた。
「あ、どうも♪」声を掛けられた相手はご機嫌なようで、ハリスにも笑顔で返事をしている。
「さすが新聞ですね!・・・今朝から大勢の方が来てくださいましたよ」相手はそう言ってお店の廻りにいる人を指差した。
「こいつがいきなり”1面ください”と言ってきたときはどうしたのもか考えましたが・・・」廻りを見ながらそう呟く編集長。
「やはり”読者”第一ですからね、新聞は・・・」
「ありがたい事です・・・こうして皆さんがいつもいてくれれば」そう言って男は笑みを浮かべていた。


ハリスは新聞に掲載する事で、このパネルが紛失した場合に”所持しているものが犯人”だと言っているのである!
プロムナードでも”これ”を目当ての買い物客が多く来ていて、パネルと一緒の写真なんかを撮っていたりする(笑)
代理は殆ど”制服”しか着ていないので、私服・・・特にゴスロリなんてレアもの(笑)は貴重なのだ!
そんなにも貴重なパネルを盗んだとしたら、ここにいる人、いやもっと多くの人の”代理ファン”を敵にしてしまうことだろう。
つまり、盗んだとしてもTS9で生きていく事を不可能な事になってしまうのだ!
それ以前にこの人数の前から盗む事はまず不可能!
その事をアピールしただけでも防犯には大きく役だった事だろう。

実は集まった人の殆どが新しく配属になった強襲艦わいるど・きゃっとの乗員だったりする(^^;;;;

「あのー・・・ちょっといいですか・・・」話をしていた彼らに脇から声を掛けてきた人がいる。
「あ、組合長さん!」店主は相手を見てそう返事をしている。
「このたびはお力添え感謝しています」
「いえ・・・これも私どもの仕事なのですから」編集長はそう言って答えると、相手を見て何かを考えていた。
「もしかして・・・まだお困りごとでも?」
「はい・・・お判りになりますか・・・」その言葉に編集長は頷いた。
組合長は元々我々に話すつもりだったのか、準備していたものを取り出しながら話し始めた。
「・・・なるほど、言いたい事は理解できたつもりです・・・」編集長はそう言ってメモから顔を上げ相手に答えた。
「TS9にいる全てのものに関係する事ですよ、この問題は・・・ですから我々も協力しますから・・・」
「宜しくお願いします」組合長は編集長の言葉にそう言って頭を下げた。
数分後、我々は司令部のドアに手をかけていた。

「これが先日よりの防犯記録です」組合長はそう言ってかわねこ代理に資料を手渡した。
「それで・・・今回はどのようなことですかにゃ?」
「記録の様に防犯は効果を上げ、ケンカなどのトラブルも減少しています」
「うん、いいことにゃ♪」代理はビリキュアの効果が出た事に素直に喜んでいる様だった。
「ですが・・・個人商店が多いもので、その間お店を休憩するかアルバイトを雇う事になって、負担が大きくなっているのです・・・」ため息混じりに呟く組合長にかわねこはなにも言えないでいた。
「そこで、プロムナード組合では緊急会合を開いて・・・ビリキュアグッズの製作を決めまして・・・」
「ふにゃ?・・・グッズかにゃ?」
「はい・・・そうすれば、アルバイトの賃金、休憩の手当てなどを補填できますので」
「うーん」腕を組んで考え込んでいる代理。
軍の人間である以上、あまり民間の利益になるような事が出来ないからである。
しかし、犯罪防止の協力者である組合を無視も出来ない。
暫く考えている代理だったが、考えが纏まると目を開いて組合長を見つめた。
「軍からの”委託”という事でお願いしますにゃ・・・販売利益はそのままビリキュア費用としてくださいにゃ」
「判りました・・・関連する記録を提出しますので」
「はいにゃ・・・それでお願いしますにゃ」かわねこはそう言って組合長の手を握った。
翌日、ハリスは今までに無いスクープとして記事にしていた。
新聞は爆発的に売れ、過去の記録を更新し編集長はホクホク顔でハリスを褒めていた。
「いい記事だったな・・・ハリス・・・」そう言って編集長はハリスを見つめた。
「えぇ、ツキがあって良いものを書けました」
「そうか・・・それで、お前・・・」そう言いながら編集長はハリスの前に紙を差し出した。
「この前から言っていた”代理の後輩”の記事はどうなっているんだ?」突然いわれ顔を引きつらせるハリス。
あれは友人の願望だったと言っていなかったからだ。
「ばかもーん!・・・最後まで確認をしないか!」ハリスは怒鳴られて編集室から飛び出して行った(爆)


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