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リリリリリーン

TS9の司令室にケンカを売るような音と共に、総司令部直通の電話が鳴り響いた!
さすがに無視するのも出来ずに、かわねぎ司令はその電話に手を掛ける。
・・・また、次の会議にかわねこで来いというのだろう・・・そんな事を思いながら受話器を耳に当てた。
「TS9司令官かわねぎ中佐ですが・・・」そう言うかわねぎ司令に耳を小さな声が突き刺さっていく。
・・・まさか・・・背中に汗を掻きながら直立に立って電話に頷く司令。
廻りから見ると滑稽だけど、本人はいたってまじめなのである!
相手が連合総司令なのだから!
「はい!・・・速やかに手配を・・・はい!」頷いて答え受話器を置く司令。
「すまんがれも君・・・頭痛薬を持って来てくれ」司令はそう言うと椅子に持たれかかっていた。
「もう、私は小間使いなんかじゃないんですよ」怒りながらもれもはちゃんと薬を持って来てくれた。
「普段遊んでいるから、ちょっと仕事するだけで頭が痛くなるのですよ?」
そう言いながられもが司令を見ると、いつものような精細さがなくぼやけた中年の顔になっている。
「本当に調子が宜しくない様ですね」さすがに心配になってくるれも。
「まあ・・・反乱事件より厄介事が来てしまったよぉ」そう言って司令は頭を抱えてしまった。




宇宙にいっぱいの歌を
宇宙にひとつだけの花・2
原案かわねぎ様  MONDO様  さたび―様
作:kagerou6




「れも副司令・・・これって本当にしなければならないんですか?」司令部に来て見せられたポスターに頼香は戸惑いを隠せなかった。
「えぇ・・・貴方達が先日歌ってくれたものが連合本部でも評判になっているの」
「それは嬉しいですけど・・・ビデオではいけないんですか?」
果穂はそう言ってれもに目を向ける。
「ゴメン・・・全面的にね、連合キャンペーンにしようしたいらしいのよ・・・貴方達のことを・・・」
「それでなんでぼく達もなんにゃ?」”事情”を知っているのにそうきくかわねこ(笑)
今回は頼香達のほかに、かわねこと緒耶美ちゃんも一緒にと言われているのである。
「連合が集団である以上・・・異種族との生活を上手くしてくことがとても重要なの、だから上手く溶け込んでいる緒耶美さんをと・・・と、でも言うのかしらね」
「はぁ」知っているのにため息をつくかわねこ。
そんな事など関係なく、ずっと居られる事に緒耶美ちゃんは喜んでいた。

「今回は一週間の予定で各地を廻ってもらう事になっています」
「「「各地?」」」頼果達は驚いてれもの言葉に聞き返していた。
「えぇ・・・連合内4箇所で大掛かりなキャンペーンを行うそうです・・・それには一週間ほどの日程をと・・・」
「「「そんなぁ・・・わたし達小学生なんですよ?」」」
自分を指差して答える頼果達。
「あぁ・・・それは上手く対処しておくわ・・・」れもは笑っている。
「「「はぁ」」」3人はなんだか丸め込まれた事を感じながら頷いた。
翌週、頼果達はテランに向かっていた。

最初の会場は惑星テランの地上に準備された会場で行われた!
連合の首脳部の挨拶から始まり、募集した絵・イラスト・作文などが展示されていた。
だがそんな所になんかいくのは少数でしかなかった(爆)
皆は次のコンサートをみたくて集まったのである!
TS9から流れた歌を聴いて、ぜひとも”ホンモノ”を見ようと集まったのである(爆)
曲が流れ出した翌日に各地に出来たファンクラブは500を超え!、今では惑星はもとより衛星・宇宙ステーションに至るまで小さなファンクラブができたのだ。
その正確な数は情報部をもってしても把握は不可能!といわれるくらいに多種なファンクラブが出来ていたのである(笑)

頼果達は10万人以上入れる会場が生め尽くされているのに、ある意味怖い感じがした。
変な自分を見てがっかりさせてしまうのじゃないかと言う事にだ!
「あ、あたしやっぱり・・・」来栖はさすがに普通な分、そんな気持ちを押さえきれないでいる。
気丈な果穂は何も言わなかったが、さすがに少し震えてもいた。
「大丈夫にゃ!」そんな中、かわねこが呟いた。
「だいじょうぶにゃよ・・・だってぼく達は素人じゃにゃい?失敗する事を皆知っているにゃ♪」
「で、でもかわねこちゃん・・・そ、それで笑われたりしないかなぁ?」と、来栖。
「美少女が失敗しても絵になるにゃ♪・・・ハプニングのほうが喜ぶにゃよ♪」
「そ、そうだよ・・・失敗したっておれ達のせいじゃないさ・・・無理やり連れてこられたんだからね」頼香はポンと来栖の肩を叩いて微笑む。
「そ、そうだよ・・・皆で一緒にいれば大丈夫よ」と果穂も元気付ける!
来栖はみんなの言葉に頷いて小さな手を差し出した。
「なに?」
「ほら・・・よく試合でやるでしょ?・・・”日東ファイトォ”って・・・」そう言って来栖が微笑んだ。
「よし!」頼香も来栖の手の上に手を重ねる。
そして5つの小さな手が重なり来栖が微笑みながら
「TS9ファイトォ!」と言った。
「「「おぉ!」」」可愛い声が待機室に響き、お互いに笑顔が生まれる!
「よし行くか!」頼香が先頭に立ってドアを開けた。

「ふぅ〜疲れたぁ」移動用ボートに戻ってきて直ぐにシャワーに入った5人。
このボートはオヤンジュ中尉が何かのためにとTS9に置いてあった観光用を改造しておいたものだという。
「さんこうで行くから」頼香がそう言った時に、オヤンジュ中尉は首を振って
「可愛い娘が5人も軍艦で?・・・そんな事させたら”TS9”の恥になるので」そう言って、このボートを格納庫からだし色を白く塗り替え持ってきたのだ(笑)
地球のヨットをモチーフしたのか判らないが、3隻のボートを組み合わせた姿は水陸両用になっていて今回の移動にも都合が良かった。
何故なら2番目は水惑星あくあ、3番目が惑星らんどる・・・両方とも自然を売りにしている観光惑星だったからだ。
軍艦で入るよりも優雅にヨットのほうが似合うのは当然と言う事だろう。
両惑星の担当官は海辺に舞台を準備して、そのままボートで乗りつけるように言ってくる始末(笑)
内部も外観の負けないくらいの造りになっている。
食堂施設はもちろん、シャワールームを始めとした十分なリラックスルームを完備し、凄くくつろげる様に出来ている。
元がVIP用だったのかもしれない・・・バーラウンジまで備わっているのだ!
その上、軍艦並の防御兵器を積んで・・・はいなかった(笑)
「平和キャンペーンにゃんよ?・・・そんなもの積んでどうするにゃ?」かわねこに一喝され、オヤンジュ中尉は取り付けてあったフェザーをしぶしぶ取り外したのである・・・が、その夜、皆が寝静まった時間にオヤンジュ中尉と果穂ちゃんがドックにいたりした(爆)
5人は気の許したもの同士だったせいか、違う環境での疲れは出ずにいた・・・ただ、かわねこだけが少し体調を崩していたが(笑)
そして、最後の目的地惑星アメフラードに向かってボートを向けていた。

「なんでアメフラードなんだろう?」頼香は最後の惑星の名前を聞いて少し驚いていた。
アメフラード関連の事件が続いて起き、そしてTS9は少なからず関係していたからだ。
権威の失墜になった事件も、反乱の事件もだ!
アメフラードがTS9を眼の敵にしてもおかしくないくらいだから。
そのアメフラードでキャンペーンがキャンペーンの最後の場所になる。
緊張しないのがおかしいと言うべきだろう。
だが、それは頼香の杞憂と言うべきであった。
景気が回復基調にあるとはいえ、まだ多くの失業者を抱えてしまっている。
企業衛星を多く抱えている事が多大な負担になってしまっているのだ。
暗い世間・・・それを真っ先に受けるのがいつの時代でも子供達である。
親の失業が子供の生活を変えて行き、今までになかった犯罪が増加してしまった。
今までが堅調であった分に反動は大きく、生活は暗いものに変わってしまった。
連合の未来を作る子供を守るべきだ!
大人の罪で子供が被害を受けてはならない!
経済報告から子供達まで巻き込んでしまった事に、”新任”の連合議員は真っ先に動いた。
政治的駆け引きもあったのかもしれないが、世論がアメフラード支援に傾いていた中、議員の意見が通り今回のキャンペーンが決まったのである。

「もう少しで星系に到達ですね」モニターを見ていた緒耶美ちゃんがそう言って惑星アメフラードを映し出した。
地球などとは違い、薄汚れた大気のせいか灰色の惑星アメフラード。
・・・これがディアモンテ准将の守ろうとした星なのか・・・そう思いながら皆が見つめていた。

「右舷より高速で接近する艦あり」そう言って緒耶美ちゃんがモニターを切替え、その艦を映し出す。
「連合の・・・けいんず級?」艦影をみて頼香が呟くとかわねこも頷いた。
「確認出ました・・・アメフラード建造艦のけいんず級3隻です」
緒耶美ちゃんがそう言っているとモニターに艦長なのか、一人の人物が浮かび上がってきた。
「「「ディアモンテ閣下」」」5人はモニターを見上げ、映った人物を見て呟いていた。
「ひさしぶりだね」優しい声で呟くディアモンテに首を傾げるかわねこ。
「閣下は確か軍を退役したはずにゃ?」
「あぁ、私は今出来あがった艦のテストをしているんだよ」ディアモンテはそう言って答えていた。
「新造艦のテストなんて危なっかしいものを誰もしなくてね・・・仕事のない私の所に来たという訳さ」両手を広げおどけた調子に説明しているディアモンテ。
「そうにゃんだ」答えながらもかわねこには別な思いが浮かんでいた。
一度問題を起こしたものを使うリスクを考えたら、普通は”危険だから”では理由にならない事に!
・・・理解してくれる人がいたんにゃね・・・かわねこはそんな気持ちでディアモンテの乗っている艦を見つめていた。

「これから惑星に戻るんだ・・・一緒に付き添うよ」ディアモンテはそう言って3隻の駆逐艦を移動させ、まるで護衛の様に配置させた。
「でも、そんにゃ事してたら・・・予定変わってしまうんにゃにゃいの?」かわねこがそう言うとディアモンテは笑っている。
「なに、君達の到着を惑星では心待ちしていると聞いている・・・いるだけでも少しは護衛になれるだろう」
「心遣い感謝しますにゃ」かわねこがそう言って笑顔を向けた時、後方に着いた艦が火を噴き出した!
「どうしたんにゃ?」
「判らん・・・とりあえず転送で救助はしたが、なんだっていきなり・・・」ディアモンテも何が原因なのか判らずに首を傾げていた。

「君達があの美少女達だろう?エンジンを切ってこっちに来なさい!」

ふざけたセリフと同時に大艦隊が出現した!
「アメフラード防衛艦隊か?」不意に頼香がそんな事を言い、ディアモンテを睨みつける。
「我が星系にはそんな力はない・・・今は連合艦艇が監視込みで警備をしている・・・」
「じゃあ・・・あれは・・・」
そんな通信をしているうちに敵からのフェザーが豪雨の様に降り注いでいた。
「「「きゃぁ」」」震えるボートで悲鳴を上げる来栖・緒耶美・果穂。

「今のは警告だ・・・早く来い!」

フェザーの雨が止み、落ちつきを取り戻した果穂が敵を拡大する。
「・・・海賊か(にゃ)・・・」
大型の船に無理やり武装している為に、無用な突起が多く無骨というか滑稽な形をしていたからだ。
「海賊が出るほどに、我が惑星も落ちこぼれたのか・・・」ディアモンテは海賊船を見て口を歪ませた。
そんな言葉が海賊に伝わったのか、またフェザーを撃ちかけてくる。
「艦を並べてボートを守るんだ・・・シールド全開!」
2隻のけいんず級が盾になるように移動して、フェザーを艦体で受けとめていく!
「閣下危険にゃ・・・そんにゃ事止めてにゃ!」
「この艦はまだテスト中で武装をしていない、だからこうするしかないんだ」白濁していく2隻のけいんず級。
「閣下・・・」
「・・・早く惑星に向かえ!・・・君達を待っている子供がいるんだ」
「「「閣下!」」」
「艦隊を首になった私だが、最後はアメフラードの為に戦えるんだ・・・早く行ってくれ!」
ディアモンテの乗艦のシールドがどんどん白濁していく。
「危険にゃ・・・爆発するにゃよ」
「あのこ達に希望を与えてやってくれ」そう言ってディアモンテの乗艦はシールドを撃ち抜かれ爆発した・・・
「あの人・・・最後までアメフラードの事を・・・」爆発した破片を見ながら来栖は涙を流している。
「なんで疑っちまったんだ」自分の事を悔やむ様に壁を打ち付ける頼香!
そんな中かわねこだけがじっと破片を見つめていた。

「”庄司協力員”」窓から破片を見つめたままかわねこは果穂の事をそう呟いた。
「は、はい」いつもとは違うかわねこに姿勢を正す果穂!
「”TS9司令代理”として命令するにゃ・・・”全兵器安全装置解除”にゃ!・・・」かわねこは振りかえりながらそう言った。
「まてよ、かわねこ・・・このボートに武装なんか・・・」
「”庄司協力員”・・・復唱はどうしたにゃ?」
「”司令代理”・・・全兵器安全装置解除します」果穂はそう言ってコンソールをいくつか叩いた。
「”解除確認”・・・全兵器作動開始確認しました」果穂はそう言いながら、かわねこの前に立った。
「ですが、”司令代理”・・・どうして・・・貴女が嫌っていたはずでしょう?」同じような口調で果穂もかわねこに聞き返している。
「ディアモンテ閣下はアメフラードの事を最後まで考えていた立派にゃ人にゃ・・・そんな閣下を殺ったやつらは許せにゃい!」
「そんなやつらを・・・このままにして良いはずがにゃいんだ!」
「・・・そうですね”司令代理”・・・」果穂も頷いていた。
小さな作動音がして、操作パネルの一部が裏返しに変わっていく。
そして、軍艦のFCSに似た装置に変わっていた。
「果穂!・・・なんだこれは?」振り向いて果穂に聞く頼果。
「K&O・FCSver2.01・・・私とオヤンジュ中尉で開発しておりましたFCSです」
「FCS?・・・するとこれは」
「はい・・・先ほど言った搭載兵器の制御システムです」
「す、するとこのボートには・・・」窓に近付き、ボートの先端に凝視する頼香。
そこにはフェザー砲の砲身が突き出ている。
頼香は砲身を見て、どう見ても軍艦クラスに相当する事に感じていた。
「オヤンジュ中尉はワイアード閣下から特命を受けていたんです・・・”非常時の為に準備しておけ”と・・・」果穂はそう言って全員を見つめた。

「緒耶美ちゃん海賊に発信にゃ・・・”ただちに海賊行為を停止せよ”にゃ」かわねこが通信席に座っている緒耶美ちゃんにそう言う。
頼香はボート操縦して海賊と正対させ、正面から向き合う所にいた。
「海賊より返信!・・・”海賊が海賊を辞めてどうする?”です」
「・・・なら、ディアモンテ閣下の仇として討ち取る(にゃ)」頼香とかわねこはそう言って呟き、頼香はスロットルを押し込んだ!
頼香はボートを操縦しながらフェザーを合わせて撃つ!
正規の軍艦に積んであるような太い火線が、まるでシールドを無視するように貫いていく。
直撃された海賊は内部から火を噴き出し爆発した。
「これって、まさか・・・」海賊を貫いた火線をみて頼香は恐る々々果穂に話掛ける。
「さんこうの予備砲身を積んであるんです」
「やっぱり・・・」果穂の答えを想像していた頼香は、ボートを次の海賊に向けた。
正対して突っ込んでくる海賊船はシールドに自信があるのか方向を変えようともしない!
互いのフェザーが相手を捕らえ、シールドを削っていく!
だが、ボートのシールドより海賊のシールドが先に破れた。
フェザーに貫かれた海賊船は動力を停止し漂うゴミになった(笑)
「ふぅ危ない危ない・・・」汗を拭っていると、四方からフェザーが振りかかってきた!

白濁していくシールド!
頼香もフェザーで反撃をしているが、海賊は廻りを囲んで交互に撃ちかけ有効弾にならない。
「シールド62%にゃ・・・このままじゃ大変にゃよ」シールドを確認していたかわねこが頼香に呟いた。
「しかし・・・廻りを囲まれてて逃げ出すにも方位が・・・」
そんな二人の会話を聞きながら、果穂は頼香に横のボタンを押すように言った。
「・・・ヘッジホッグ?・・・」頼香は表示された文字に戸惑い果穂を見つめ返す。
「果穂・・・ヘッジホッグなんて聞いたことないぞ?」
「オヤンジュ中尉が取りつけてくれたんです・・・万が一の為に・・・」俯きがちに答える果穂。
「できれば使いたくはなかったのです・・・中尉からも出来るだけ使わないでといわれてましたし・・・」
「そんなにも危険なものなのか?」果穂の言葉に頼香が聞くと静かに頷く。
「左右のボートに24基のVSLがあります・・・これに中尉特製のフェザー誘導弾が組みこまれていますから・・・1個戦隊と渡り合えると・・・」
「でも、ここまでされた以上手加減なんてできません!」果穂はそう言い、頼香は頷いてボタンを押した。

左右のボートから24発のミサイルが飛びだし、ボートを中心にして放射状に広がっていく。
海賊船の前で更に16発に分裂!覆うように包み直前でフェザーを発射した!
300線以上のフェザーを至近から受け、海賊船が次々爆発炎上していく。
・・・一撃で10隻以上の海賊船を・・・さすがに頼果達も何も言えない状態になっていた。
余りに一方的過ぎて、海賊船といえども可哀想な気がしたからだ。
だが、それでも執拗にボートを追い掛けてくる海賊たち!
仲間が受けたキズを返すまでは諦めない!
そんな鬼気迫る様子でボートに近付いてくる。
「頼香さん、後1斉射しか出来ません・・・海賊の中央で」果穂がそう言うと頼香は判っているとばかりに海賊の真中に切りこんでいく!
「貰ったぁ!」
頼香がボタンを押そうとした時、ボートが敵に拘束されてしまった。

海賊に近過ぎたのか、両脇を大型艦で挟まれ身動きが取れなくなっていた。
出力を上げ脱出しようとしても、トラクタービームが思いの外強力な為に抜け出せない!
「くそ」余りに近過ぎて海賊を吹き飛ばす事が出来ないのだ。
何故なら巻き添えでこちらにも被害が出てしまうからだ。
「シールドにエネルギーを振り分ければ大丈夫です・・・頼香さん早く!」果穂に言葉にかわねこがフェザーの回路をシールドに廻し、頼香がヘッジホッグを4発撃ち出す。
分散前に直撃したヘッジホッグせいなのか、海賊船の内部からフェザーがはみ出し四散した。
爆風がボートを覆い、頼香達を激しく揺さぶる。
だが頼香の目は、爆風で海賊船が混乱している状態をしっかり捕らえていた。
「これで終りだ!」頼香は叫びながらボタンを押した。
だがミサイルは発射されないでいる。
「果穂・・・ミサイルが出ないぞ?」ボタンを押しつづけながら頼香は叫んでいる。
「FCS装置損傷!・・・全兵器使用出来ないです」
「なんてこった」そう言いながらも頼香は海賊から遠ざかるようにボートを動かしていた。
だが攻撃を仕掛けて来ないボートに海賊はどんどん近付いている。
「あいつらのほうが早いか・・・」頼香は艦影を目で見えるくらい近付いた海賊船を見て呟くしか出来なかった。

「諦めるのは早いわよ!」突然全回線を通じて声が響いた!
戸惑っているかわねこ達以上に海賊は動揺していた。
近くに艦船など1隻たりともないはずだったからだ。
「だ、だれだ?・・・正々堂々姿を見せろ!」海賊は自分の事を棚に上げてそう言う(笑)
「見せても良いのね♪」
「あ、ちょっと待って・・・」
「遅い!・・・今目の前に行くから」そう言ってボートを囲う様に3隻の軍艦が姿をあらわした!
2隻はさんこうとワールウインド、どちらも頼果達が良く知っている艦だ。
だがもう1隻には心当たりがなかった。
ワールウインドに似てワープナセルが格納されているタイプ。
「強襲艦なのか?」そのみた事もない艦に頼香は呟いた。
「てこずっているみたいですね」ボートに通信が繋がれ、3隻の指揮官がかわねこ達の前に現れた。
「そ、そんにゃ・・・にゃんでれもくんが・・・」
かわねこが驚いていたのも仕方がない・・・相手はTS9で指揮を取っているはずのれもだったからだ!
そんなかわねこを見てれもは微笑んでいた。

「だいぶ派手に暴れた様ですが・・・」
「・・・ディアモンテ閣下の仇を取りたかったにゃ・・・」
ため息を付いていい訳をしているかわねこ。
「そうですね・・・閣下は皆さんを守ってくれたんですものね」
れもはそう言うと同行してきた強襲艦2隻に回線を繋いだ。
「シェリル少佐・・・お手数を掛けますが左の大型艦を、ばっくす少佐は右をお願いします」
「了解した・・・敵の親玉にお仕置きをすれば良いんだな」シェリルはそう言って笑っている。
「我が”かわねこ武装親衛隊”の名に掛け、おいたをした報いをくれてやるさ!」
「「「か、かわねこ武装・・・・」」」
強襲艦の指揮官、ばっくすの言葉に全員が驚いていた。
「なに私達は海兵なんでね、通常の親衛隊とは違うのさ」そう言って着ている装甲服の一部を指差した。
「「「なんだぁ(にゃ)?」」」指先の所には”かわねこ”のイラストが描かれていたのだ(爆)
それを見て力の抜ける頼果達(笑)をばっくすは笑いとばし、敵艦に向かっていくように指示を出していた。
「じゃあ・・・他はさんこうで叩いておきますから♪」れもも簡単に言って回線を閉じる。
それからの戦い一方的だった!

さんこうは海賊船の間をすり抜け、フェーザーでエンジンを射貫き!20隻近い海賊をあっという間に行動不能にしてしまった!
「れもくん腕を上げたなぁ」かわねこはぽつりと呟く。
強襲艦の2隻も派手に戦っていた。
ワールウインドは海賊船をすり抜け降り注ぐフェザーを”無駄な事”だとばかり弾き返し、時折フェザーを撃っては的確にエンジンに当てている。
もう1隻の強襲艦わいるど・きゃっとは海賊船を無視し、接触しようが衝突しようがお構いなしに真っ直ぐに進んでいく(爆)
全方位にフェザーを乱射し、一方的にいじめていた(笑)
「「「あぁぁぁぁぁ」」」頼果達の顔に大きい汗が流れ落ちていく。
「あ、あにょ人・・・まさかTS9にはいないはずだにゃ」
「そうです、わいるど・きゃっとなんて聞いた事ないですもの」
「と・・・なると・・・」
考え込んでいる5人の前でスクリーンが突然開き、老人の顔が映し出された(笑)
「わ、ワイアード閣下?」
「フォフォッフォ♪」
高らかに笑うワイアードに頼果達は誰があの三人を遣わしたのを理解した。
そして強襲艦2隻は大型艦に突き刺さると(笑)あっという間に占領してしまった。

「どうするこれ?」
ゴミの様に変わり果てた親玉をつまみながら(笑)ばっくすは笑っている。
「いらないにゃ・・・連れて行っても閣下は・・・」かわねこは俯きながらそう呟く。
「あら・・・言ってませんでした、ディアモンテ閣下のカプセルを救助した事を・・・」
「「「えぇ」」」
「忙しくて忘れたのですね」
「れもくんそれはないにゃよ」そう言うかわねこの顔に笑顔が戻っていた。

そして3隻の軍艦に護衛され、ボートはぶじ惑星に到着した。

舞台の中央に立つかわねこ達を袖かられもとシェリル・ばっくす、そしてディアモンテが見守っている。
いくつかの歌が終り舞台は薄暗く変わっていった。
少しざわめき出す観客を前にして、かわねこはひとり椅子を持って出ていく。
そして観客席の4箇所が盛り上がり、それぞれに頼香・果穂・来栖・緒耶美が椅子に座っていた。
「みんな来てくれてありがとにゃ」そう言ってマイクを持って語り掛けるかわねこ。
「このキャンペーンもここで終わりにゃけど、最後にこの惑星にきて良かったにゃ」かわねこの言葉に観客席が沸騰した!
「なんでなの?」そんな声がしてかわねこが声をしたほうに顔を向ける。
「じつは、ここにくる途中海賊が出たんにゃよ」かわねこの言葉にシーンとしてしてしまう観客席。
「でも、その時にこの惑星の人が・・・ぼく達を庇ってくれたんにゃ・・・自分の船を盾にして・・・」
「1度しかあっていない人だったけどにゃ・・・この惑星を愛している立派にゃ人だったにゃ・・・」
話を聞いてすすり泣く声が聞こえていた。
「ぼくは・・・ぼく達はそんな人にいるこの星が好きにゃよ!」
「この歌は・・・その人に捧げるにゃ・・・」
かわねこは静かに歌い始めた。
それに合わせて廻りのスクリーンに歌詞が浮かんでくる。
そして、観客席の誰もが小さく声を揃えて歌い始めていた。



宇宙にいっぱいの歌を


夕方父が歌ってる
優しい声で歌ってる
あたしを、ぼくを抱きしめて
にこやかに父は歌ってる
「貴方がいるから」そう言って
辛いなんて言わないで
あたしを、ぼくを抱きながら
優しく一緒に歌ってる


それなのにどうして人々は
勝手な事をこうもする?
星々文化ちがうのにその中で
我侭いいたがる?


そうさぼくらは


宇宙にひとつだけの声!
ひとつひとつ違う歌声(個性)で
互いの声(個性)を汚さぬように
キレイなハーモニー作っていこう



歩きながら口にする
母は小さく歌ってる
気付かないような声だけど
小さなリズム刻んでる
すれ違う時には判るけど
大きい声で歌わずに
耳に優しく小さい声で
一緒に人を和ませる


それなのにどうして人々は
大きい声を出したがる?
いろんな声のあるまえで
我侭いいたがる?


そうさいつかは!

宇宙にいっぱいの歌を!
ひとりひとり優しい歌声で
みんなの気持ちなごますように
やさしく貴方と歌っていこう!


どこまでも聞こえる父の声
誰でも知っている母の歌だから
優しい歌声忘れぬ様に
手を取り皆で歌っていこう>


翌日、アメフラードから流れていた映像は、連合の許可でアメフラード再興資金の為にビデオ化され売り出された。
プレミアムライブとしての価値が高く、過去に発売されたどんなものよりも凄い勢いで売上を更新していた。
そんななか、勝手にコピーした海賊ビデオが発売されたが、ビデオに書かれている”直筆”のサインに誰もがそんなものを手にはしなかった。
販売店でもサインを見てそんなものを置かなかった事もある。

あたし達を守ってくれた人のアメフラードを守りましょう

美少女の訴えには誰も勝てなかったのだ(笑)

連合本部でもツアー途中のかわねこ達を救った功績として、ディアモンテを現役に復帰させ、駆逐艦数隻を纏める防衛艦隊指揮官に命じていた。
破壊された駆逐艦は裏からジューダインが手を廻して、保険を下ろさせ再建された。
アメフラードはそんな廻りの協力もあり段々と”友人”として他の惑星と馴染んでいった。



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