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 ―― 惑星連合宇宙基地、通称「TRANS SPACE」。

 連合経済の大動脈であるトランス・ワープチューブの出入り口に常設された、これら9つの中継基地(Transport Satellite)は、連合宇宙軍の軍事防衛拠点(Tactical Square)であると同時に、交易港(Trader Side)、そして宇宙艦船の補給施設(Tender Service)としての一面も併せ持つ。
 そのため、衛星軌道上の在来型宇宙ステーションにはないユニークな設備を数多く有し、またそれを管理・運営するために、連合関係者以外にもさまざまな人間が「居住」している。
 ……そう、TSナンバー・ステーションはある意味、宇宙空間に浮かぶひとつの都市(Totality Settlement)といっても過言ではない。

 人々は、ここから他の宙域や深宇宙へと旅立ち、またここへと帰ってくる……


 今回は最も新しく、そして最も辺境に位置するTSナンバー・ステーション、通称「TS9(TRANS SPACE NINE)」に皆様をご招待しよう。






−The Secret of TRANS SPACE NINE−

巨大宇宙基地へようこそ!!

原作 かわねぎさん CG 南文堂さん

                      CREATED BY MONDO







TRANS SPACE NINE全景 (撮影 ミナミ・ブンド)



1.位置と概要

 TS9は、惑星連合の主星であるテランから214光年離れた宙域に設営されている。
 テランから直通のトランス・ワープチューブが “伸びて” いるが、そこは連合既知宇宙(ノウンスペース)の最辺境にあたる。
 しかし辺境とはいえ、深宇宙(未踏宙域)への玄関口でもあり、また最も近い可住惑星が、かの「オーライーター事件」の舞台にもなった保護観察惑星 “地球” でもあることから、訪れる艦船の数は他のTSナンバー・ステーションに引けをとらない。
(ただし、惑星連合の艦船といえども地球へ直接赴くことは滅多にない。民間の宇宙船ならなおのことである)
 寄港する艦船はそのほとんどが惑星連合宇宙軍、もしくは連合航宙局所属のものであるが、軍より委託された民間の補給艦(貨物船)や、未踏宙域への探査艦(アカデミー所属のものだけではなく、一攫千金を狙う山師的な民間船も多い)、辺境のコロニーを訪れる宇宙船(テランから直接行くより、TS9を経由した方が早く到着する)などが立ち寄ることもある。
 また、噂の最年少少女士官やネコ耳少女の司令代理をひと目見んと、足しげく通う連中も多い(……笑)。

 惑星連合軍第9艦隊のメインベースであり、トランス・ワープチューブの管理と地球圏の監視が主な任務であるが、最近では「M・O・E-DOLL」と呼称される機械/生体ハイブリット種族の脅威に対処すべく、軍備の増強が急がれている。
 さらに数々の実験的区画が併設されており、これらは表向きには「辺境宙域で基地管理に従事する職員の、メンタルフォローのための施設」とされているが、実際には超深宇宙探査用の都市型宇宙艦を建造するのためのテストベッドではないかと一部では囁かれている。

 未だ建造中の箇所もあり、慢性的な人手不足とも相まって、TS9の職員の中には複数の業務をかけ持ちしている者も少なくない。


2.港湾区画(メインフープ)

 全てのTSナンバー・ステーションは、「セントラルコア」と呼ばれる中心居住区画と、その周囲を取り巻くリング状の港湾区画から構成されており、TS9では水平になったリングを「メインフープ」、斜めに交差している方を「サブフープ」と呼称する。
 600メートル級までの艦船はメインフープの外周に “係留” され、1000メートルを越える超大型艦(弩級艦)は通常付近に停泊し、連絡艇(スペースランチ)を使って物資や人員の搬出入をおこなう。
 転送機は台数も少なく、一度に転送できる容量に限りがあるため、その使用は連合関係の艦船に優先されている。
 ガントリー(固定台)への誘導は主にトラクター(牽引)ビームが使用されるが、入港する艦船が混み合った時のことを考えて、通常その射程は短く抑えられている。
 メインフープ、サブフープともに外殻と内殻の二重構造になっており、駆逐艦クラスを収納できるドックが点在している。そこでは漂着したエイリアンシップの調査などもおこなわれたこともあるそうだ。
 「港」に隣接した工場区画では、主にドックで使われる艦船補修用の資材を製造している。少数ではあるが精密機械や日用品、嗜好品を作るファクトリー(小工場)もあり、そこの「製品」はTS9の中だけでなく、辺境コロニーにも流通している。

 TS9の名物管制官といえば、キャロラット人女性士官みけね・こーな少尉だろう。
 本来は技術部所属なのだが、各セクションを飛び回り、連絡艇の誘導などの業務もこなしている。明るい笑顔と怪しげ(?)なキャロラット関西弁で屈託なく話す彼女だが、最近では同じキャロラット人士官かわねこ少尉(指令代理)の出現で、いささか影が薄くなっている……らしい(笑)。




TS9に接岸する、600メートル級航宙艦 (撮影 ミナミ・ブンド)



3.プロムナード


 艦船から降ろされたコンテナは、そのまま無人搬送車などで保管場所(倉庫)へと運ばれていく。
 物資のほとんどは生鮮食料品と補修用資材である。時折、「深宇宙で発見された未知文明の遺物」などというものが持ち込まれることもあり、たいていはそのまま “預かりっはなし” になることが多いので、TS9側ではその取り扱いに苦慮している。
 またここは「港」から近いこともあって、辺境コロニー相手の交易所や店舗が集中し、「プロムナード(遊歩道)」と呼ばれている。
 厳密には港湾区画の一部なのだが、辺境の旅の中継点でもあるため、その規模はちょっとした “街” と言えよう。
 飲食店をはじめ、銀行、ホテル、ブティック、美容室、酒場、雑貨屋(ドラッグストア)、娯楽施設等いろいろな店がひしめきあっており、日中(TS9も他の宇宙ステーション同様、テラン標準時を採用している)はTS9の職員や寄港したアストロノーツたちで賑わっている。
 深夜営業、24時間営業の店も多い。
 プロムナード内の移動用に転送ポートも設けられているが、時間があるなら徒歩で散策したり、「トラム」と呼ばれる路面電車を利用することをお薦めする。
 ある種の “闇市” と化した一角(小型居住ユニットが縦横無尽に並び、迷路のような空間になっている)もあり、そこでは「元DOLLっ娘少佐の士官服(レプリカ)」とか、「某最年少少尉の秘蔵隠し撮り映像ディスク」といった本物かどうかも定かでない物品が秘密理(?)に売買されているという。
 それでも保安部によって一応の治安は保たれており、麻薬や銃器(兵器)等の密売は今のところおこなわれてはいない……はず。

 ここで見かける名物キャラクターといえば、宇宙船「すいんげる」のじーざ船長その人であろう。
 「すいんげる」はTS9への物資の搬入を委託されている民間貨物船であるが、船長は用がなくても何かと理由をつけてはここに足しげく通ってくる。基地副指令を務める美人女性士官れも少佐に惚れ込んでいるようだが、当の彼女にとっては迷惑以外の何者でもないらしい。
 ちなみに「すいんげる」の航法士を務めるカムラ少年は、ごくごく普通の常識人であるため、濃い者揃いのTS9では目立たないことはなはだしい……とか(笑)。


4.エネルギー・プラントと環境調整区画

 セントラルコアから伸びた三本の連絡チューブとメインフープの接合部に、TS9(と、寄港した艦船)にエネルギーを供給するプラントが設置されている。ここは万一の事故に備えて二重三重の防御措置が取られており、三基あるうちの一基でもライフラインを確保できるように設計されているそうだ。
 また、プラントから伸びた角のようなタワーは、発電等で出た余剰熱を宇宙に放出するための施設である。宇宙空間での排熱は非常に難しく、ある意味一番重要な箇所なので、その造りも堅牢になっている。
 また、TS9内部の空気、水、重力等を維持管理する環境調整区画は、確認されているだけでもメインフープとサブフープにそれぞれ六箇所、セントラルコアに二箇所設けられており、いずれかにトラブルがあれば、残りが即時バックアップをおこなうというシステムが構築されている。
 これは建造当初から度重なる設計変更を繰り返してきた名残であり、それゆえTS9には、職員も知らない閉鎖された区画がいまだ数多く存在する……と言われている。

 複雑に入り組んだメンテナンスダクトから時々顔を覗かせている(落っこちてくる)装甲服姿の少女こそ、TS9に居候(……笑)している現役のDOLL、ピナフォア嬢である。
 伝え聞くところによると、乗っていた宇宙船が隕石の直撃を受けて大破し、彼女自身はTS9に漂着したものの、あまりの空腹に耐えかねて脱出ポッドを食べて(!)しまい、さらに職員食堂の椅子の脚をかじっていたところを “保護” された……らしい。
 毎日毎食お子さまランチが食べられる環境にすっかり腰を落ち着けてしまい、今ではTS9の構造に最も精通している職員として重宝(?)されているとか。もっとも当の本人は、「自分はTS9という異種族の基地を調査している」と思っているようだ。




TS9の巨大さがよく分かる、俯瞰からの一枚 (撮影 ミナミ・ブンド)



5.防衛区画(サブフープ)

 サブフープには、TS9の防衛施設が集中している。
 有事の際は各所に設けられたシールド(保護力場)発生機を稼働させてTS9を防御し、守備艦隊が周囲に展開、迎撃をおこなう。
 防御戦になった場合はサブフープ内に司令部を設置して指揮に当たり、セントラルコアと独立環境ドーム(後述)は民間人の避難場所になる。
 TS9の守備艦隊(主に100メートル “けいんず” 級)は常時サブフープに接岸しており、突発的なスクランブルに備えている。固定フェイザー砲もいくつか配備されているが、これらは戦闘用というより、スペースデブリを排除するためのものである。
 もちろん演習や訓練も定期的に実施されている。しかし、それすらも「イベント」として楽しんでしまうところがTS9のTS9たる所以といえよう。
 対DOLL用に開発された実験艦がテストを兼ねて何隻か稼働しているようだが、今のところ実戦に投入されたという記録はなく、他の艦とともに哨戒任務についている。

 TS9の戦闘セクションで有名な人物と言えば、やはりダイナ・ランド少佐とミナス・ゴーダ少尉の二人だろう。
 DOLL対策チームに所属する彼女たちもまた、DOLLによる “同化” の被害者である。ダイナ少佐は自艦の指揮中にDOLLと遭遇、そして救援に来たミナス少尉もまた、DOLL化したダイナ少佐によってナノマシンをインプラントされ、DOLLにされたという。
 拘束された二人は装甲除去手術を受けて本来の自我を取り戻したが、少女の姿はそのまま固定され、その際に生じた少女人格も残存していると言われている。
 ちなみに現役DOLLのピナフォア嬢によると、ダイナ少佐は「ドジっ娘」、ミナス少尉は「ボクっ娘」というカテゴリーらしい。……意味はいまいちよく分からないが(笑)。


6.居住区画

 セントラルコアにある居住区は基本的にTS9職員用の「官舎」であり、プロムナードで商売している民間人は、自分の店舗に住み込んでいる。
 部屋のつくり等に佐官尉官の区別はないが、家族を持つ職員は優先的に広い部屋を割り当ててもらえるそうだ。
 必要な日用雑貨は購買部(いわゆるPX)で買うことができ、ここだけでしか売っていないお土産(TS9まんじゅう……とか)などもあるという。併設された集会所は申請さえあれば誰でも利用可能である。ただし濃い者揃いのTS9、隣のブースにどんな連中が集まっているかを事前に知っておくことは必須である(笑)。
 居住区の中は住人に閉塞感を与えないための環境が整備されており、気温や湿度も各々最適なものに調整されている。さまざまな種族がともに暮らすTSナンバー・ステーションでは、こういった配慮は必要不可欠と言えよう。
 アカデミーライブラリ分館のホロデッキは、基本的には学術用(図書館)なのだが、娯楽施設としても使用されている。
 居住区内にある医療室はTS9の「病院」であり、宇宙空間や港での突発的なアクシデントに対処すべく、スタッフは常日頃から救急体勢を維持している。医療施設としてもそれなりのものを備えており、未知のウィルスや遺失文明(ロストテクノロジー)による人体への影響等の調査、研究もおこなう。最近では技術部と協力して、「人間の性別を変化させる、“魔法” じみた薬品類」の解析を手がけたとか。

 医療部主任のライル・フォーレスト少佐は男女両方の姿を取れるタナリア人なのだが、何故か女性態でいることが多く、TS9では「女医」として知られている。タナリア人の艦隊士官は珍しく、さらにその中で軍医の職に就いている者といえば、彼女(……と言っていいのか?)くらいであろう。性格は「ろり」だのなんだのといろいろ言われているようだが、医者としては優秀な人物である。

 居住区で見かけるメイド服姿のクマ耳少女は、連合未確認種族ポリノーク人の難民、緒耶美嬢だ。
 ;種族が開発した初のワープシステム実験船のテストパイロットに選ばれた彼女だったが、テスト航行の際にエンジンが暴走し、母星からはるか彼方の宙域を漂流していたところをTS9の職員に救助されたそうである。
 航行記録がロストしていたため故郷へ帰ることもできず、紆余曲折の末ここに落ち着いた彼女は、現在は「命の恩人」でもあるTS9司令代理かわねこ少尉の庇護のもと、将来のことを模索しているという。
 優秀なアストロノーツでもあるので、おそらくはそちらの方面で身を立てることになるだろう。
(つい先頃、探査艦U.S.S.エテューによって彼女の母星がクラムダ連邦との境界宙域にあることが判明した。これが呼び水となって、クラムダとの正式な交流が始まることを緒耶美嬢のためにも切に願うものである……)



―― TS9購買部人気お土産ベスト5 ――

第5位 … 「文鎮にもなるTS9ステーションの置物」
 換装された古い装甲板から削り出されて作られた、航宙艦マニア垂涎の逸品。
 一時期、司令官直筆の「根性」「美少女」と書かれた木製のプレートが付属(笑)していたが、受けが悪いのでやめになった……らしい。

第4位 … 「絵はがき」
 TS9各所の風景や所属艦を活写したポストカード。手頃な値段なので、子どもたちにも人気がある。コレクション性も高い。
 お目当ての女性士官が写っているものを狙ってまとめ買いする、大人げない連中も多く、ほとんどトレカ状態(……笑)。

第3位 … 「宇宙温泉巡り」
 TS9の技術部が宇宙各地の温泉郷をリサーチして作った(……という触れ込みの)入浴剤セット。御進物に最適(笑)。
 「100袋にひとつ、性転換する成分入っている」という噂が飛び交い、“当たり” を求めて飛ぶように売れたことがあった……そうだ。

第2位 … 「TS9オールスターズ 『宇宙でひとつだけの花』」
 惑星連合のキャンペーンの一環で、地球の某曲を “参考” に作ったCD&ビデオ。副司令や司令代理、最年少少尉の歌声が聴ける!!
 なお、初回限定盤におまけでついていたブロマイドは、闇ルートで高額取引されているらしい(笑)。

第1位 … 「TS9まんじゅう・『萌』」
 一口まんじゅう。元はTS9や航宙艦のイラストが描かれていたのだが、女性士官の似顔絵に変わってから爆発的に売れるようになった。
 「保存用」「鑑賞用」「食用」と三つまとめて買っていく連中が多く、一時期「お一人様ひと箱限り」で売っていた……とか。



7.仮想野外多目的ホール

 かつてTS9の建造中に、地球の野生動物を密売しようとしたブローカーと結託した工事関係者が、メインコンピュータに細工してこの区画を司令部の管理から外れるようにしたことがあった。
 のちにここが “発見” された時には、密林状態になった環境で放置された数多くの動物(猛獣)が繁殖していたという。結局それらはTS9職員の手によって、全て地球に送還されたと記録されている。
 現在は整備改装され、イベント用の多目的スペースとして利用されている。行事に使われていない時は職員や居住者たちの憩いの場(公園)として開放されており、グラウンドでスポーツをやったり、園内を散策したりすることもできる。
 休日にはフリーマーケットが開かれたり、屋台が出たりもするそうだ。
 また、ホロデッキ技術を併用して四季折々の景観を演出することができ、春のお花見、秋の紅葉狩りなども楽しめるとか。
 セントラルコア最上部にあるラウンジ(後述)の展望室と並び、おすすめのデートスポット(?)でもあるといえよう。


8.独立環境ドーム

 セントラルコアの横にある巨大な半球状のブロックは、内部に独立した環境を構築することができる。区画専用のエネルギー・プラントと生命維持システムを有し、緊急時は避難シェルターとしても活用できるよう設計されている。
 周囲に連合加盟の惑星が存在しないTS9独特の施設であり、現在その中では「冬山」「常夏の海」の二つが再現されている。
 しかし、「極限環境下での各種訓練用」のはずの「冬山」にスキーリフトやナイター照明、露天風呂付き温泉旅館があったり、「海洋生物の研究および宇宙都市での水産資源養殖実験のため」という名目で設けられた「海(を思わせる超巨大造波プール)」の浜辺にヤシの木や浜茶屋、さらにはロマンチックな夕焼けや星空のホログラムまで用意されていたり……と、どう見ても「リゾート施設」にしか見えないのは何故だろう?

 「海」の監視員兼研究員としてここに住み込んでいるのは、連合未確認水棲ヒューマノイド、メロー嬢である。
 地球の伝説に登場する「人魚」を思わせる姿の彼女は、故郷の星の海で時空震(ごく稀に離れた空間同士がいきなり繋がってしまい、近くにいた人や物が一瞬のうちに別の空間に放り出される現象。いわゆる「神隠し」)に巻き込まれ、ここに転移してきたそうだ。
 彼女は記録上初めて時空震から生還した知的生命体といえるが、結局元の星へ戻るすべを見いだせず、前述したポリノーク人の緒耶美嬢と同様に難民として扱われている。
 目下の悩みはTS9の他の場所へ自力で行けないことと、彼女の「お姉さま」であるかわねこ少尉にくっついているクマ娘(緒耶美嬢のこと)の存在……なのだそうだ(笑)。


9.ラウンジ(職員食堂)


 TS9のラウンジは、職員だけでなく、居住者やここを訪れた全ての人々に開放されている。プロムナードからの直通転送ポートも完備されており、休憩所としてだけではなく、イベントやパーティの会場として、また商談の場所としても使われることも多い。
 併設された食堂はセルフサービスである。居住区で自炊したり、レプリケーターを使って料理を “作る(味は数段落ちる)” こともできるが、ほとんどの職員はここを利用している。
 メニューも他のTSステーションとは比べ物にならないくらい充実している(地球料理も味わえる)のだが、一番人気は何故か「お子さまランチ」だったりする(笑)。
 噂の最年少少女士官ライカ・フレイクス少尉と二人の現地協力員もこのラウンジの常連さんなので、運がよければここで彼女たちに会えるかもしれない。もっともライカ少尉は「地球駐留」が任務なので、TS9に帰ってくるのは週に2、3日ほどなのだそうだ。

 食堂を取り仕切る年齢不詳の女傑、通称「食堂のおばちゃん」には、「生魚の匂いで暴徒と化したキャロラット人の集団を、たったひとりで鎮圧した」だの、「DOLLの戦士とタイマン張って、究極のお子さまランチのレシピを奪い取った」だの、さまざまな逸話がある。
 もちろんそのほとんどは眉ツバな話なのだが、そういったことがまことしやかに語られるほどの存在感が彼女にあるということなのだろう。もちろんシェフとしての腕も一級である。
 白い割烹着にサンダル履き、おたまを手に持つそのスタイルに、一部では「地球人ではないか?」と言われているのだが……彼女自身は黙して何も語らない。



―― TS9職員食堂人気メニューベスト5 ――

第5位 … 「リサールナルきつねセット」
 甘く煮つけた大きなあぶらげ(油揚げ)がのったきつねうどんと、いなりずし二個のセットメニュー。
 リーズナブルな値段でおなか一杯になる人気の一品。「お持ち帰りセット」も好評である。

第4位 … 「キャロラット風朝定食」
 TS9の “朝定” といえばこれ。ご飯とお味噌汁、切り身の焼き魚、漬け物のセットで、お味噌汁の具と魚の種類は日替わりである。
 もちろん、お味噌汁をご飯にかけていただくのが正しい食べ方……だと、キャロラット人職員は力説している。

第3位 … 「緒耶美ちゃん印のパンケーキセット」
 ポリノーク人の緒耶美ちゃんが作ったハチミツがふんだんに使われた、TS9でしか味わえない絶品ホットケーキ。
 ワッフルセットもお薦め。……ただし、両方とも数に限りがあるのでお早めに。

第2位 … 「TS9特製カレー」
 宇宙各地から集められたスパイスを調合して作られた地球料理。各種族に合わせて微妙に調合が変えられている。
 「辛さ60倍を完食すると性転換する」「40倍を二人で食べると爆発して入れ替わる」という噂があり、挑戦者があとを絶たない……らしい。

第1位 … 「特製お子さまランチ」
 何故だか分からないけど一番人気のメニュー。種類も豊富で栄養バランスも良い。ダイエットメニューとしても二重丸。
 「小学生より上の方は注文できません」などという “野暮” な注意書きはないので、大きいお友だちも恥ずかしがらずに注文しよう(笑)。



10.プレラット大使館

 他のTSナンバー・ステーションに比べて、TS9はプレラット人の職員がとびぬけて多い。
 これはプレラットへの愛情、尊敬の念が強い司令官のかわねぎ中佐がいろいろと便宜を計ってくれるからだとか、彼等の間で「親を質草にしてでも食べるべし」と言われている逸品 “ひまわりの種” の原産地である地球がすぐそばにあるからだとも言われている。
 というわけで、この区画は「プレラット大使館」と銘打たれているが、早い話プレラット人職員専用の居住区なのである。当然テラン人をはじめとするヒューマノイドたちは、「玄関先」から中へ入ることはできない。
 プレラット人用の小さな小さな出入り口の奥に何があるのか……ここはある意味、TS9の中で最も謎に包まれた場所なのである(笑)。

 TS9にいるプレラット人職員の中で最も目立つ存在といえば、やはりめるてぃ嬢であろう。
 彼……いや彼女もまた、DOLLからの還元者である。コンテナ船の船長だった時にDOLLと遭遇、脱出ポッドで逃げ出したにもかかわらず捕まってDOLL化されたらしい(本人は強制冬眠状態に入っていたので、何もおぼえていなかったそうだ)。
 このことで、「知的生命体ならばどんな種族もDOLL化される」ということが判明。身長15センチメートルのハム耳ヒューマノイド少女と化した彼女は、装甲除去手術を受けたのち、TS9の準職員となり、現在はれも副司令のアシスタントを務めているそうだ。
 ちょっとしたミスでも顔を真っ赤にして恥じらうその姿に、なんとファンクラブまであるというのだから、全くおそれいる……


11.司令部

 セントラルコアの中心部、三本の連絡チューブが交差するあたりにTS9の心臓部たる司令室が存在する。
 TS9の施設に対するここでの主な仕事は、港湾区画の管制誘導やエネルギープラントの管理である。しかし、さまざまな艦船が出入りするTSナンバー・ステーションの例に洩れず、様々なトラブルに対処しなければならないこともある。
 特に辺境にあるTS9では、未踏宙域から持ち込まれた物品や未確認生命体、DOLL絡みの騒動、そして地球圏に不用意に持ち込まれた連合のテクノロジーが引き起こす事件などが頻繁……と言わないまでも数多くあり、司令部職員たちは結構多忙を極めているらしい。
 その割りには妙に “まったり” した雰囲気(一部職員を除く)が漂ってみえるのは、単なる気のせいだろうか?

 司令官のかわねぎ中佐が別口の任務で不在になりがちなので、TS9には「副司令」「司令代理」のポストが設けられている。
 副司令を務めるれも少佐は、惑星連合宇宙軍情報部の内偵セクションからかわねぎ中佐に引き抜かれた有能な士官で、司令の不在時はもとより、平時からTS9の全指揮を執っているそうだ。
 そして司令代理の任を立派にこなすキャロラット人のかわねこ少尉は、かのライカ少尉と同じ、弱冠11歳の少女士官である。
 何故一介の少尉が「司令代理」の権限を有しているのかは謎であるが、彼女はその愛らしい見た目とは裏腹に、基地管理の手腕はかわねぎ中佐と同様……いや、それ以上だと司令部の職員からは評されている才媛(笑)なのだそうだ。その活躍はTS9の中だけにとどまらず、他のTSナンバー・ステーションの司令官との折衝をもこなすといわれている。









 ……念のために言っておくが、ここは決して “観光地” などではない。
 しかし広大な宇宙を旅する人々のための、ほんのひとときの憩いの場となるべく、TS9では今日も多くの職員たちが働いている。
 もしも辺境コロニーへ赴くことがあるならば、一度はTS9に立ち寄ってみてはいかがだろう? きっと、宇宙……そして惑星連合に対する貴方の認識が大きく変わることになるだろうから(……笑)。





 MONDOです。

 いかがでしたか? TS9ガイド。
 小説のネタ元みたいなつもりで書いてみました。昔流行ったテーブルトークRPGのワールドガイド風のものを作ろうとしたのですが……なんか「世界まる見え」っぽいナレーション(?)ですね。野○圭一氏の声で読んでください(笑)。

 わたしのワガママにのっていただいて素晴らしいCGモデルを作り上げてくださった南文堂さんと、掲載を快諾してくださったかわねぎさんに、ここで改めて感謝の意を捧げます。ありがとうございました。

2003.12.6 MONDO


 またまたMONDOです。

 TS9ガイドに、「購買部人気お土産ベスト5」と「職員食堂人気メニューベスト5」を追加しました。
 これらをネタに、誰かがお話書いてくれないかな……(笑)。

 おまけに隠しファイルを設けてあります。さがしてみてください。

2004.1.21 MONDO


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